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<font size="+1">[http://researchmap.jp/read0201548 上田 敬太]、[http://researchmap.jp/t-murai 村井 俊哉]</font><br> | |||
''京都大学 大学院医学研究科''<br> | |||
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2013年4月17日 原稿完成日:2013年5月24日<br> | |||
担当編集委員:[http://researchmap.jp/tadafumikato 加藤 忠史](独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター)<br> | |||
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[[精神疾患]]のうち、[[wikipedia:ja:内分泌疾患|内分泌疾患]]などの結果として脳機能に影響を与えるものや[[脳外傷]]や[[脳梗塞]]などのように、直接脳そのものを障害するものがあり、これらをまとめて器質性精神障害とよぶ。一方、DSM-IVでは使用されていないが、これは、器質性としたもの以外の精神障害が、まるで器質(脳器質)が関係していないかのような誤解を防ぐためのものである。治療には原因物質に対する加療が優先され、精神症状に対する治療は対症療法に過ぎない。 | [[精神疾患]]のうち、[[wikipedia:ja:内分泌疾患|内分泌疾患]]などの結果として脳機能に影響を与えるものや[[脳外傷]]や[[脳梗塞]]などのように、直接脳そのものを障害するものがあり、これらをまとめて器質性精神障害とよぶ。一方、DSM-IVでは使用されていないが、これは、器質性としたもの以外の精神障害が、まるで器質(脳器質)が関係していないかのような誤解を防ぐためのものである。治療には原因物質に対する加療が優先され、精神症状に対する治療は対症療法に過ぎない。 | ||
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== 器質性精神障害とは== | == 器質性精神障害とは== | ||
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あらゆる脳疾患が器質性精神障害の原因となりうるが、現代社会で大きな問題となっている一例として、交通外傷による脳損傷がある。外傷性脳損傷は大きく、局所脳損傷と[[びまん性軸索損傷]]に分類することができる。 | あらゆる脳疾患が器質性精神障害の原因となりうるが、現代社会で大きな問題となっている一例として、交通外傷による脳損傷がある。外傷性脳損傷は大きく、局所脳損傷と[[びまん性軸索損傷]]に分類することができる。 | ||
局所脳損傷では、直達外力により同側の、あるいはコントラ・クー(Contrecoup)により対側の、頭蓋骨に接した脳領域に挫傷が生じる。多くの場合、[[wikipedia:ja:頭蓋骨|頭蓋骨]]の底面の構造的特徴のため、前頭葉眼窩面、[[側頭極|側頭葉]]を中心とした脳部位に挫傷が生じる。 | |||
一方で、びまん性軸索損傷は、回転によって生じる剪断力のために、[[白質]]の[[軸索]]が損傷をうける。多くの場合、深部白質や[[脳梁]]を中心とした損傷を生じ、損傷後数年の間に、[[脳萎縮]]が進行する。灰白質の萎縮も、主に中心構造に生じるようである。これら外傷性精神障害の二型は、いずれのタイプも特徴的な脳損傷部位を有しており、その意味で、結果として生じる精神障害も症候群としての特徴を有するものであることが想定されている。 | 一方で、びまん性軸索損傷は、回転によって生じる剪断力のために、[[白質]]の[[軸索]]が損傷をうける。多くの場合、深部白質や[[脳梁]]を中心とした損傷を生じ、損傷後数年の間に、[[脳萎縮]]が進行する。灰白質の萎縮も、主に中心構造に生じるようである。これら外傷性精神障害の二型は、いずれのタイプも特徴的な脳損傷部位を有しており、その意味で、結果として生じる精神障害も症候群としての特徴を有するものであることが想定されている。 | ||
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4. '''エーミール・クレペリン 西丸四方 遠藤みどり訳'''<br> 精神医学総論<br> ''みすず書房'' 1994年 | 4. '''エーミール・クレペリン 西丸四方 遠藤みどり訳'''<br> 精神医学総論<br> ''みすず書房'' 1994年 | ||