「中枢パターン生成器」の版間の差分

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[[image:F4-Lamprey-ion.jpg|thumb|250px|'''図4.ヤツメウナギのCPGニューロンのリズム形成のしくみ''']]
[[image:F4-Lamprey-ion.jpg|thumb|250px|'''図4.ヤツメウナギのCPGニューロンのリズム形成のしくみ''']]


 [[wikipedia:ja:ヤツメウナギ|ヤツメウナギ]] の中枢神経系および脊髄の構造はより高次の脊椎動物と似ている点が多く、脊椎動物のなかでは、比較的単純な運動のCPGモデルとして機能解析が進んでいる。ヤツメウナギは100程度の[[体節]]からなる。左右の体節の筋は対応する脊髄髄節に局在する運動ニューロンに支配されている。一つの[[髄節]]には約 1000 個のニューロンが局在しており、それぞれの脊髄髄節には同側の運動ニューロンを興奮させる[[興奮性ニューロン]]群([[グルタミン酸]]作動性)と脊髄の反対側の回路を抑制する抑制性ニューロン群([[グリシン]]作動性)からなる局所回路がある(図3)。この髄節ごとの局所回路が互いに結合し、動物が前進するときには吻側から尾側に興奮の波が伝えられる。これによって、吻尾方向に体節の左右の筋が交互に収縮し、S字状に体を動かすこととで推進力を生み出す<ref name=ref7><pubmed>7571002</pubmed></ref>。この際の リズミックな運動出力は、上述のグルタミン酸を介した興奮シナプス入力とグリシンを介した抑制性シナプス入力によって生み出されている(図4)。強い興奮性シナプス入力によってニューロンの細胞膜が脱分極し発火するとともに[[NMDA型グルタミン酸受容体]]および電位依存性L型[[カルシウムチャンネル]]が活性化され、[[カルシウムイオン]]が細胞内に流入する。この細胞内カルシウムイオン濃度の上昇が、[[カルシウムイオン依存性カリウムチャンネル]]を活性化し、細胞膜は再分極し始める。そして抑制性シナプス入力によってニューロンの興奮が抑制される<ref name=ref7><pubmed>7571002</pubmed></ref>。
 [[wikipedia:ja:ヤツメウナギ|ヤツメウナギ]] の中枢神経系および脊髄の構造はより高次の脊椎動物と似ている点が多く、脊椎動物のなかでは、比較的単純な運動のCPGモデルとして機能解析が進んでいる。ヤツメウナギは100程度の[[体節]]からなる。左右の体節の筋は対応する脊髄髄節に局在する運動ニューロンに支配されている。一つの[[髄節]]には約 1000 個のニューロンが局在しており、それぞれの脊髄髄節には同側の運動ニューロンを興奮させる[[興奮性ニューロン]]群([[グルタミン酸]]作動性)と脊髄の反対側の回路を抑制する抑制性ニューロン群([[グリシン]]作動性)からなる局所回路がある(図3)。この髄節ごとの局所回路が互いに結合し、動物が前進するときには吻側から尾側に興奮の波が伝えられる。これによって、吻尾方向に体節の左右の筋が交互に収縮し、S字状に体を動かすこととで推進力を生み出す<ref name=ref7><pubmed>7571002</pubmed></ref>。この際の リズミックな運動出力は、上述のグルタミン酸を介した興奮シナプス入力とグリシンを介した抑制性シナプス入力によって生み出されている(図4)。強い興奮性シナプス入力によってニューロンの細胞膜が脱分極し発火するとともに[[NMDA型グルタミン酸受容体]]および[[L型電位依存性カルシウムチャネル]]が活性化され、[[カルシウムイオン]]が細胞内に流入する。この細胞内カルシウムイオン濃度の上昇が、[[カルシウムイオン依存性カリウムチャネル]]を活性化し、細胞膜は再分極し始める。そして抑制性シナプス入力によってニューロンの興奮が抑制される<ref name=ref7><pubmed>7571002</pubmed></ref>。


===ゼブラフィッシュの泳動CPG===
===ゼブラフィッシュの泳動CPG===

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