「利他的行動」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
編集の要約なし
編集の要約なし
編集の要約なし
1行目: 1行目:
<div align="right"> 
<font size="+1">[http://researchmap.jp/keiseizuma 出馬 圭世]</font><br>
''California Institute of Technology, Pasadena, USA''<br>
DOI XXXX/XXXX 原稿受付日:2012年6月29日 原稿完成日:2012年7月9日<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/read0048432 定藤 規弘](自然科学研究機構 生理学研究所 大脳皮質機能研究系)<br>
</div>
英語名:altruism 独:Altruismus 仏:altruisme
英語名:altruism 独:Altruismus 仏:altruisme


12行目: 19行目:


 他にも利他的行動を促すメカニズムとして“[[共感]]”があげられる<ref name="ref6">'''Batson, C. D.'''<br>The altruism question: Toward a social-psychological answer.<br>Hillsdale, NJ: ''Erlbaum.'', 1991.</ref>。困っている他者を見てその他者の痛みをあたかも自分の痛みのように感じ、助けてあげたいと思うような場合である。Heinら<ref name="ref7"><pubmed>20920798</pubmed></ref>はこの共感に基づいた利他的行動の神経基盤をfMRIを用いて検討し、他者が痛みを受けているのを見た時に左[[島皮質]]の活動が高い個人ほど後にその他者を助けるということを報告している。この左島皮質は自分が痛みを受けた場合にも活動を示すことから、他人の痛みをどれだけ自分の痛みとして感じられるかが利他的行動に影響し、特に左島皮質が共感に基づく利他的行動において重要な役割を果たすことを示している。  
 他にも利他的行動を促すメカニズムとして“[[共感]]”があげられる<ref name="ref6">'''Batson, C. D.'''<br>The altruism question: Toward a social-psychological answer.<br>Hillsdale, NJ: ''Erlbaum.'', 1991.</ref>。困っている他者を見てその他者の痛みをあたかも自分の痛みのように感じ、助けてあげたいと思うような場合である。Heinら<ref name="ref7"><pubmed>20920798</pubmed></ref>はこの共感に基づいた利他的行動の神経基盤をfMRIを用いて検討し、他者が痛みを受けているのを見た時に左[[島皮質]]の活動が高い個人ほど後にその他者を助けるということを報告している。この左島皮質は自分が痛みを受けた場合にも活動を示すことから、他人の痛みをどれだけ自分の痛みとして感じられるかが利他的行動に影響し、特に左島皮質が共感に基づく利他的行動において重要な役割を果たすことを示している。  
<br>


== 外部リンク  ==
== 外部リンク  ==
21行目: 26行目:
== 参考文献  ==
== 参考文献  ==


<references />  
<references />
 
(執筆者:出馬圭世 担当編集委員:定藤規弘)

案内メニュー