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[[image:シナプトタグミン図3.jpg|thumb|300px|'''図3 シナプトタグミンファミリーの系統樹'''<br>CLUSTALWプログラムにより作成したシナプトタグミン1から15までの系統樹を示す。シナプトタグミンファミリーはアミノ酸配列の相同性からシナプトタグミン1/2/9(赤)、シナプトタグミン4/11(緑)、シナプトタグミン3/5/6/10(青)、およびそれ以外のシナプトタグミンに分類される。カルシウム結合能を持つアイソフォームを青色の四角で囲った。なお、シナプトタグミン4はカルシウム非結合型に分類されることが多いが、アストロサイトなど一部の細胞でカルシウムセンサーとして機能することが報告されている(点線の四角)。]] | [[image:シナプトタグミン図3.jpg|thumb|300px|'''図3 シナプトタグミンファミリーの系統樹'''<br>CLUSTALWプログラムにより作成したシナプトタグミン1から15までの系統樹を示す。シナプトタグミンファミリーはアミノ酸配列の相同性からシナプトタグミン1/2/9(赤)、シナプトタグミン4/11(緑)、シナプトタグミン3/5/6/10(青)、およびそれ以外のシナプトタグミンに分類される。カルシウム結合能を持つアイソフォームを青色の四角で囲った。なお、シナプトタグミン4はカルシウム非結合型に分類されることが多いが、アストロサイトなど一部の細胞でカルシウムセンサーとして機能することが報告されている(点線の四角)。]] | ||
ほ乳類には少なくとも17種類のアイソフォームが存在し、このうち[[シナプトタグミン1]], [[シナプトタグミン4|4]], [[シナプトタグミン7|7]], [[シナプトタグミン12|12]], [[シナプトタグミン14|14]]は[[ショウジョウバエ]]から[[wikipedia:ja:ほ乳類|ほ乳類]]に至るまで進化的に保存されている<ref name=ref2><pubmed>12801916</pubmed></ref><ref name=ref3><pubmed>20078875</pubmed></ref>。シナプトタグミンファミリーはアミノ酸配列の相同性からシナプトタグミン1/2/9、シナプトタグミン4/11、シナプトタグミン3/5/6/10、およびそれ以外のシナプトタグミンに分類される<ref name=ref10><pubmed>10531343</pubmed></ref>(図3)。なお、[[シナプトタグミン16]](元々の名称はStrep14)および[[シナプトタグミン17]](元々の名称はB/K)は膜貫通領域が欠損しているため、厳密にはシナプトタグミンファミリーの範疇には属さない<ref name=ref2><pubmed>12801916</pubmed></ref>。アミノ酸の相同性とは別に、カルシウム結合能の有無で機能的にカルシウム結合型とカルシウム非結合型に分類されることもある(図3)。シナプトタグミンファミリー間で機能領域と考えられているC2A領域およびC2B領域は高度に保存されているが、他の領域(内腔領域、膜貫通領域およびスペーサー領域)ではほとんど相同性を示さない。シナプトタグミン1, [[シナプトタグミン2|2]]では、細胞外に位置する内腔領域で[[N結合型糖鎖]]および[[O結合型糖鎖]]の修飾を受けている。また、多くのアイソフォームで膜貫通領域の近傍で[[アシル化]]による修飾([[システイン]]残基への[[脂肪酸]]の付加)を受け、オリゴマー形成が促進される<ref name= | ほ乳類には少なくとも17種類のアイソフォームが存在し、このうち[[シナプトタグミン1]], [[シナプトタグミン4|4]], [[シナプトタグミン7|7]], [[シナプトタグミン12|12]], [[シナプトタグミン14|14]]は[[ショウジョウバエ]]から[[wikipedia:ja:ほ乳類|ほ乳類]]に至るまで進化的に保存されている<ref name=ref2><pubmed>12801916</pubmed></ref><ref name=ref3><pubmed>20078875</pubmed></ref>。シナプトタグミンファミリーはアミノ酸配列の相同性からシナプトタグミン1/2/9、シナプトタグミン4/11、シナプトタグミン3/5/6/10、およびそれ以外のシナプトタグミンに分類される<ref name=ref10><pubmed>10531343</pubmed></ref>(図3)。なお、[[シナプトタグミン16]](元々の名称はStrep14)および[[シナプトタグミン17]](元々の名称はB/K)は膜貫通領域が欠損しているため、厳密にはシナプトタグミンファミリーの範疇には属さない<ref name=ref2><pubmed>12801916</pubmed></ref>。アミノ酸の相同性とは別に、カルシウム結合能の有無で機能的にカルシウム結合型とカルシウム非結合型に分類されることもある(図3)。シナプトタグミンファミリー間で機能領域と考えられているC2A領域およびC2B領域は高度に保存されているが、他の領域(内腔領域、膜貫通領域およびスペーサー領域)ではほとんど相同性を示さない。シナプトタグミン1, [[シナプトタグミン2|2]]では、細胞外に位置する内腔領域で[[N結合型糖鎖]]および[[O結合型糖鎖]]の修飾を受けている。また、多くのアイソフォームで膜貫通領域の近傍で[[アシル化]]による修飾([[システイン]]残基への[[脂肪酸]]の付加)を受け、オリゴマー形成が促進される<ref name=ref11><pubmed>11514560</pubmed></ref>。なお、シナプトタグミン3/5/6/10はN末端側の内腔領域に保存されたシステイン残基を持ち、ジスルフィド結合を介してオリゴマーを形成する<ref name=ref10><pubmed>10531343</pubmed></ref>。シナプトタグミン1の二つのC2領域はアミノ酸レベルで40%以上の相同性を示すため、基本的には同様な立体構造を取り(8本の[[wikipedia:ja:βストランド|βストランド]]と3本のカルシウム結合ループにより構成)共にカルシウム結合能を示すが<ref name=ref11><pubmed>7697723</pubmed></ref><ref name=ref12><pubmed>11754837</pubmed></ref>、互いに異なる生化学的性質も示す。一例を挙げると、C2B領域にはカルシウム非依存的に[[イノシトールポリリン酸]]、[[アダプター複合体]]AP-2、[[ニューレキシン]](neurexin)などが結合し、またカルシウム依存的にC2B領域同士が結合し多量体を形成するが<ref name=ref13><pubmed>7961887</pubmed></ref><ref name=ref14><pubmed>9830048</pubmed></ref>、これらの性質はC2A領域には見られない(図2)。カルシウム依存的にC2領域に結合する分子とシナプトタグミン1の結合に必要なカルシウム濃度は5-100μMであり、この濃度は神経細胞で開口放出に必要とされるカルシウムイオン濃度とほぼ一致している<ref name=ref8><pubmed>11399430</pubmed></ref>。 | ||
なお、シナプトタグミンファミリーと同様にC末端側に2つのC2領域を持つタンパク質ファミリーとして[[Doc2]]/[[rabphilin]]ファミリーやシナプトタグミン様タンパク質(synaptotagmin-like protein, Slp)ファミリーが知られており、一部のものではシナプトタグミンとは異なるタイプのカルシウムセンサー(神経伝達物質放出の際の高親和性カルシウムセンサーなど)としての機能が提唱されている<ref name=ref16><pubmed>18726178</pubmed></ref><ref name=ref17><pubmed> 20150444</pubmed></ref>。 | なお、シナプトタグミンファミリーと同様にC末端側に2つのC2領域を持つタンパク質ファミリーとして[[Doc2]]/[[rabphilin]]ファミリーやシナプトタグミン様タンパク質(synaptotagmin-like protein, Slp)ファミリーが知られており、一部のものではシナプトタグミンとは異なるタイプのカルシウムセンサー(神経伝達物質放出の際の高親和性カルシウムセンサーなど)としての機能が提唱されている<ref name=ref16><pubmed>18726178</pubmed></ref><ref name=ref17><pubmed> 20150444</pubmed></ref>。 |
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