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[[image:シナプトタグミン図2.jpg|thumb|300px|'''図2 シナプトタグミンの構造'''<br>シナプトタグミンはN末端側に膜貫通領域を持つ1回膜貫通型の膜タンパク質で、C末端側の細胞質領域にはC2領域と呼ばれるタンパク質モチーフを2つ持っている(N末端側から、内腔領域、膜貫通領域、スペーサー領域、C2A領域、C2B領域と命名)。]] | [[image:シナプトタグミン図2.jpg|thumb|300px|'''図2 シナプトタグミンの構造'''<br>シナプトタグミンはN末端側に膜貫通領域を持つ1回膜貫通型の膜タンパク質で、C末端側の細胞質領域にはC2領域と呼ばれるタンパク質モチーフを2つ持っている(N末端側から、内腔領域、膜貫通領域、スペーサー領域、C2A領域、C2B領域と命名)。]] | ||
シナプトタグミンはN末端側に膜貫通領域を持つ1回膜貫通型の膜タンパク質で、C末端側の細胞質領域にはC2領域と呼ばれる[[プロテインキナーゼC]] | シナプトタグミンはN末端側に膜貫通領域を持つ1回膜貫通型の膜タンパク質で、C末端側の細胞質領域にはC2領域と呼ばれる[[プロテインキナーゼC]]のC2調節領域に由来するタンパク質モチーフを2つ持っている(N末端側から、内腔領域、膜貫通領域、スペーサー領域、C2A領域、C2B領域と命名)(図2)。シナプトタグミン1の二つのC2領域はアミノ酸レベルで40%以上の相同性を示すため、基本的には同様な立体構造を取り(8本の[[wikipedia:ja:βストランド|βストランド]]と3本のカルシウム結合ループにより構成)共にカルシウム結合能を示すが<ref name=ref12><pubmed>7697723</pubmed></ref><ref name=ref13><pubmed>11754837</pubmed></ref>、互いに異なる生化学的性質も示す。一例を挙げると、C2B領域にはカルシウム非依存的に[[イノシトールポリリン酸]]、[[アダプター複合体]]AP-2、[[ニューレキシン]](neurexin)などが結合し、またカルシウム依存的にC2B領域同士が結合し多量体を形成するが<ref name=ref14><pubmed>7961887</pubmed></ref><ref name=ref15><pubmed>9830048</pubmed></ref>、これらの性質はC2A領域には見られない(図2)。カルシウム依存的にC2領域に結合する分子とシナプトタグミン1の結合に必要なカルシウム濃度は5-100μMであり、この濃度は神経細胞で開口放出に必要とされるカルシウムイオン濃度とほぼ一致している<ref name=ref8><pubmed>11399430</pubmed></ref>。 | ||
==ファミリー== | ==ファミリー== | ||
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シナプトタグミン1, [[シナプトタグミン2|2]]では、細胞外に位置する内腔領域で[[N結合型糖鎖]]および[[O結合型糖鎖]]の修飾を受けている。また、多くのアイソフォームで膜貫通領域の近傍で[[アシル化]]による修飾([[システイン]]残基への[[脂肪酸]]の付加)を受け、オリゴマー形成が促進される<ref name=ref11><pubmed>11514560</pubmed></ref>。なお、シナプトタグミン3/5/6/10はN末端側の内腔領域に保存されたシステイン残基を持ち、ジスルフィド結合を介してオリゴマーを形成する<ref name=ref10><pubmed>10531343</pubmed></ref>。 | シナプトタグミン1, [[シナプトタグミン2|2]]では、細胞外に位置する内腔領域で[[N結合型糖鎖]]および[[O結合型糖鎖]]の修飾を受けている。また、多くのアイソフォームで膜貫通領域の近傍で[[アシル化]]による修飾([[システイン]]残基への[[脂肪酸]]の付加)を受け、オリゴマー形成が促進される<ref name=ref11><pubmed>11514560</pubmed></ref>。なお、シナプトタグミン3/5/6/10はN末端側の内腔領域に保存されたシステイン残基を持ち、ジスルフィド結合を介してオリゴマーを形成する<ref name=ref10><pubmed>10531343</pubmed></ref>。 | ||
なお、シナプトタグミンファミリーと同様にC末端側に2つのC2領域を持つタンパク質ファミリーとして[[Doc2]]/[[rabphilin]]ファミリーやシナプトタグミン様タンパク質(synaptotagmin-like protein, Slp)ファミリーが知られており、一部のものではシナプトタグミンとは異なるタイプのカルシウムセンサー(神経伝達物質放出の際の高親和性カルシウムセンサーなど)としての機能が提唱されている<ref name=ref16><pubmed>18726178</pubmed></ref><ref name=ref17><pubmed> 20150444</pubmed></ref>。 | なお、シナプトタグミンファミリーと同様にC末端側に2つのC2領域を持つタンパク質ファミリーとして[[Doc2]]/[[rabphilin]]ファミリーやシナプトタグミン様タンパク質(synaptotagmin-like protein, Slp)ファミリーが知られており、一部のものではシナプトタグミンとは異なるタイプのカルシウムセンサー(神経伝達物質放出の際の高親和性カルシウムセンサーなど)としての機能が提唱されている<ref name=ref16><pubmed>18726178</pubmed></ref><ref name=ref17><pubmed> 20150444</pubmed></ref>。 | ||
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|style="background-color:#d3d3d3; text-align:center" |細胞内局在 | |style="background-color:#d3d3d3; text-align:center" |細胞内局在 | ||
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|シナプトタグミン 1 | |[http://mouse.brain-map.org/experiment/show/1015 シナプトタグミン 1] | ||
| | |[[大脳]]、[[嗅球]]などの神経細胞 | ||
| | |シナプス小胞、[[成長円錐]]小胞 | ||
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|シナプトタグミン 2 | |[http://mouse.brain-map.org/experiment/show/71152527 シナプトタグミン 2] | ||
| | |[[小脳]]、[[脳幹]]などの神経細胞 | ||
|シナプス小胞 | |シナプス小胞 | ||
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|シナプトタグミン 4 | |[http://mouse.brain-map.org/experiment/show/2652 シナプトタグミン 4] | ||
| | |脳組織全般の神経細胞、[[アストロサイト]]([[グリア細胞]]) | ||
| | |[[ゴルジ体]]、[[有芯小胞]] | ||
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|シナプトタグミン 7 | |[http://mouse.brain-map.org/experiment/show/1036 シナプトタグミン 7] | ||
| | |脳組織全般、[[交感神経]]細胞 | ||
| | |[[シナプス前膜]]、[[リソソーム]] | ||
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|シナプトタグミン 9 | |[http://mouse.brain-map.org/experiment/show/69887529 シナプトタグミン 9] | ||
| | |[[大脳辺縁系]]、[[線条体]]の神経細胞 | ||
|シナプス小胞、有芯小胞 | |シナプス小胞、有芯小胞 | ||
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|シナプトタグミン 10 | |[http://mouse.brain-map.org/gene/show/79394156 シナプトタグミン 10] | ||
|嗅球の神経細胞 | |嗅球の神経細胞 | ||
|有芯小胞 | |有芯小胞 | ||
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|シナプトタグミン 12 | |[http://mouse.brain-map.org/experiment/show/79544874 シナプトタグミン 12] | ||
|脳組織全般 | |脳組織全般 | ||
|シナプス小胞 | |シナプス小胞 | ||
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|} | |} | ||
タンパク質名はAllen Brain Atlasヘリンクしている。 | |||
==機能== | ==機能== |