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<font size="+1">立川 正憲、[http://researchmap.jp/read0152088 内田 康雄]、[http://researchmap.jp/read0184908 寺崎哲也]</font><br> | |||
''東北大学 大学院薬学研究科 生命薬科学専攻 生命解析学講座 薬物送達学分野''<br> | |||
DOI XXXX/XXXX 原稿受付日:2013年3月11日 原稿完成日:2013年月日<br> | |||
担当編集委員:[http://researchmap.jp/haruokasai 河西 春郎](東京大学 大学院医学系研究科)<br> | |||
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英語名:Blood-brain barrier 独:Blut-Hirn-Schranke 仏:barrière hémato-encéphalique 英略称:BBB | 英語名:Blood-brain barrier 独:Blut-Hirn-Schranke 仏:barrière hémato-encéphalique 英略称:BBB | ||
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血液脳関門(Blood-brain barrier, BBB)の解剖学的実体は[[wikipedia:ja:脳毛細血管|脳毛細血管]]であり、[[脳室周囲器官]]を除いては、[[wikipedia:ja:内皮細胞|内皮細胞]]同士が[[密着結合]]で連結している。当初BBBは、この構造的特徴によって、細胞間隙を介した非特異的な中枢への侵入や、脳内産生物質の流出を阻止している物理的障壁と考えられてきた。しかし現在では、BBBは脳に必要な物質を血液中から選択して脳へ供給し、逆に脳内で産生された不要物質を血中に排出する「動的インターフェース」であるという新たな概念が確立している。BBBには、多様な[[トランスポーター]]や[[受容体]]が内皮細胞の脳血液側と脳側の[[細胞膜]]に極性をもって発現し、協奏的に働くことによって、循環血液と脳実質間でのベクトル輸送を厳密に制御している。中枢作用薬の開発には、良好な脳移行性を持った候補化合物の選択が必要であり、ヒトBBBの解明が不可欠である。近年、「機能タンパク質の絶対定量法(Quantitative Targeted Absolute Proteomics (QTAP)」によって、[[wikipedia:ja:ヒト|ヒト]]、[[wikipedia:ja:サル|サル]]、[[wikipedia:ja:マウス|マウス]]のBBBにおけるトランスポーター・受容体の質的及び量的な種差が解明された。BBB研究は、[[wikipedia:ja:げっ歯類|げっ歯類]]を中心とした発現の有無、BBBを透過するか否かといった定性的解析から、発現量、透過速度、輸送速度およびヒト-動物間の種差や正常-病態間の差などに基づく定量的解析へと大きく舵を切りつつある。 | 血液脳関門(Blood-brain barrier, BBB)の解剖学的実体は[[wikipedia:ja:脳毛細血管|脳毛細血管]]であり、[[脳室周囲器官]]を除いては、[[wikipedia:ja:内皮細胞|内皮細胞]]同士が[[密着結合]]で連結している。当初BBBは、この構造的特徴によって、細胞間隙を介した非特異的な中枢への侵入や、脳内産生物質の流出を阻止している物理的障壁と考えられてきた。しかし現在では、BBBは脳に必要な物質を血液中から選択して脳へ供給し、逆に脳内で産生された不要物質を血中に排出する「動的インターフェース」であるという新たな概念が確立している。BBBには、多様な[[トランスポーター]]や[[受容体]]が内皮細胞の脳血液側と脳側の[[細胞膜]]に極性をもって発現し、協奏的に働くことによって、循環血液と脳実質間でのベクトル輸送を厳密に制御している。中枢作用薬の開発には、良好な脳移行性を持った候補化合物の選択が必要であり、ヒトBBBの解明が不可欠である。近年、「機能タンパク質の絶対定量法(Quantitative Targeted Absolute Proteomics (QTAP)」によって、[[wikipedia:ja:ヒト|ヒト]]、[[wikipedia:ja:サル|サル]]、[[wikipedia:ja:マウス|マウス]]のBBBにおけるトランスポーター・受容体の質的及び量的な種差が解明された。BBB研究は、[[wikipedia:ja:げっ歯類|げっ歯類]]を中心とした発現の有無、BBBを透過するか否かといった定性的解析から、発現量、透過速度、輸送速度およびヒト-動物間の種差や正常-病態間の差などに基づく定量的解析へと大きく舵を切りつつある。 | ||
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