「蓋板」の版間の差分

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30 バイト追加 、 2013年9月2日 (月)
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<font size="+1">岡 雄一郎、[http://researchmap.jp/read0185568 佐藤 真]</font><br>
<font size="+1">岡 雄一郎、[http://researchmap.jp/read0185568 佐藤 真]</font><br>
''福井大学''<br>
''福井大学''<br>
DOI XXXX/XXXX 原稿受付日:2013年3月27日 原稿完成日:2013年月日<br>
DOI XXXX/XXXX 原稿受付日:2013年3月27日 原稿完成日:2013年9月2日<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/noriko1128 大隅 典子](東北大学 大学院医学系研究科 附属創生応用医学研究センター 脳神経科学コアセンター 発生発達神経科学分野)<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/noriko1128 大隅 典子](東北大学 大学院医学系研究科 附属創生応用医学研究センター 脳神経科学コアセンター 発生発達神経科学分野)<br>
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 終脳領域では蓋板を含む背側正中領域は陥入して2つの大脳半球の間に潜り込む。蓋板は後に[[脈略叢]]および[[cortical hem]]となる。Gdf7-DTAマウスで終脳の蓋板を破壊すると、脈略叢とcortical hemの細胞が劇的に減少するだけでなく、隣接する皮質領域も低形成となり、Lhx2の発現が低下する。すなわち、脈略叢とcortical hemはLhx2発現領域のパターニングに重要である。
 終脳領域では蓋板を含む背側正中領域は陥入して2つの大脳半球の間に潜り込む。蓋板は後に[[脈略叢]]および[[cortical hem]]となる。Gdf7-DTAマウスで終脳の蓋板を破壊すると、脈略叢とcortical hemの細胞が劇的に減少するだけでなく、隣接する皮質領域も低形成となり、Lhx2の発現が低下する。すなわち、脈略叢とcortical hemはLhx2発現領域のパターニングに重要である。


 蓋板とそれに由来する脈略叢とcortical hemにはBMPやWNTのシグナル分子が発現している。BMPシグナルの終脳背側のパターニングへの関与を示すデータとしては、外来性のBMPがニワトリ前脳のパターニングに異常を引き起こすこと<ref><pubmed>10051661</pubmed></ref>、[[Bmp5]]/Bmp7のダブルノックアウトマウスやBMPシグナルの[[アンタゴニスト]]である[[Chordin]]あるいはNogginを投与したマウスにおいて前脳の低形成あるは形成異常が認められること<ref><pubmed>10079236</pubmed></ref><ref><pubmed>10688202</pubmed></ref>などがある。また、[[Foxg1]]-[[Cre]]マウスを用いてBMPレセプターBmpr1aを終脳特異的に欠失させると、脈略叢が特異的に失われた<ref><pubmed>12354394</pubmed></ref>。一方、[[nestinエンハンサー]]を用いて活性型のBmpr1aを強制発現させると終脳の翼板(神経管の背側半分)がすべて脈略叢になった<ref><pubmed>11511541</pubmed></ref>。これらの結果は、終脳においてはBMPシグナルは広い領域に濃度依存的に作用するのではなく、正中領域のパターニングのみに必要であることを示唆している。  
 蓋板とそれに由来する脈略叢とcortical hemにはBMPやWNTのシグナル分子が発現している。BMPシグナルの終脳背側のパターニングへの関与を示すデータとしては、外来性のBMPがニワトリ前脳のパターニングに異常を引き起こすこと<ref><pubmed>10051661</pubmed></ref>、[[Bmp5]]/Bmp7のダブルノックアウトマウスやBMPシグナルの[[アンタゴニスト]]である[[Chordin]]あるいはNogginを投与したマウスにおいて前脳の低形成あるは形成異常が認められること<ref><pubmed>10079236</pubmed></ref><ref><pubmed>10688202</pubmed></ref>などがある。また、[[Foxg1]]-[[Cre]]マウスを用いてBMPレセプターBmpr1aを終脳特異的に欠失させると、脈略叢が特異的に失われた<ref><pubmed>12354394</pubmed></ref>。一方、[[nestinエンハンサー]]を用いて活性型のBmpr1aを強制発現させると終脳の[[翼板]](神経管の背側半分)がすべて脈略叢になった<ref><pubmed>11511541</pubmed></ref>。これらの結果は、終脳においてはBMPシグナルは広い領域に濃度依存的に作用するのではなく、正中領域のパターニングのみに必要であることを示唆している。  


 ニワトリ神経板の吻側部あるいは全胚に様々な濃度のWntやWntシグナルのアンタゴニストである[[frizzled receptor 8]]タンパク質の可溶性フラグメントを添加すると、腹側性の細胞運命を抑え、Pax6やNgn2の発現など、終脳の初期の背側性の性質を誘導する<ref><pubmed>12766771</pubmed></ref>。その後、WntシグナルとFgfシグナルが共存することによって終脳背側に決定されたEmx1陽性の細胞が誘導される。Fgfシグナルは背側正中領域の細胞の産生にも重要である<ref><pubmed>11734354</pubmed></ref><ref><pubmed>12574514</pubmed></ref>。正中領域が決定された後、Wnt3aはcortical hemに発現する。Wnt3aノックアウトマウスではcortical hemの隣から分化する海馬が完全に欠失する<ref><pubmed>10631167</pubmed></ref>。
 ニワトリ神経板の吻側部あるいは全胚に様々な濃度のWntやWntシグナルのアンタゴニストである[[frizzled receptor 8]]タンパク質の可溶性フラグメントを添加すると、腹側性の細胞運命を抑え、Pax6やNgn2の発現など、終脳の初期の背側性の性質を誘導する<ref><pubmed>12766771</pubmed></ref>。その後、WntシグナルとFgfシグナルが共存することによって終脳背側に決定されたEmx1陽性の細胞が誘導される。Fgfシグナルは背側正中領域の細胞の産生にも重要である<ref><pubmed>11734354</pubmed></ref><ref><pubmed>12574514</pubmed></ref>。正中領域が決定された後、Wnt3aはcortical hemに発現する。Wnt3aノックアウトマウスではcortical hemの隣から分化する海馬が完全に欠失する<ref><pubmed>10631167</pubmed></ref>。
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*[[底板]]
*[[底板]]
*[[翼板]]
*[[翼板]]
*[[基板]]
*[[蓋板]]
*[[神経堤]]
*[[神経堤]]


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