「産褥期精神障害」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
編集の要約なし
75行目: 75行目:
=== 神経活性ステロイド===  
=== 神経活性ステロイド===  


 近年、[[allopregnanolone]]、[[3α,5α-tetrahydoprogesterone]] (3α,5α-THP)、 [[3α,5α-tetrahydrodeoxycorticosterone]] (3α,5α-THDOC)などの向神経活性代謝物や[[プロゲステロン]]前駆体と気分変動との関連が注目されている<ref><pubmed>2539888</pubmed></ref>。これらのステロイドは神経細胞の活動に応じて産生され、膜内の神経伝達物質受容体の調節や[[MAP2]](微小管結合タンパク質2:microtubule-associated protein 2)への作用を介して[[微小管]]のダイナミクスを変化させることが示されている。
 近年、[[allopregnanolone]]、[[3α,5α-tetrahydoprogesterone]] (3α,5α-THP)、 [[3α,5α-tetrahydrodeoxycorticosterone]] (3α,5α-THDOC)などの向神経活性代謝物や[[プロゲステロン]]前駆体と気分変動との関連が注目されている<ref><pubmed>2539888</pubmed></ref>。これらのステロイドは神経細胞の活動に応じて産生され、膜内の神経伝達物質受容体の調節や[[微小管結合タンパク質2]] ([[microtubule-associated protein 2]], [[MAP2]])への作用を介して[[微小管]]のダイナミクスを変化させることが示されている。
 
 
 神経活性ステロイドのレベルはエストロゲンやプロゲステロンといったprimary hormoneのレベルによって変動し、感情変化に寄与する。また、神経活性ステロイドは[[GABA<sub>A</sub>]]受容体の[[アロステリックモジュレーター]]として機能し、その抑制作用を増強することで神経細胞の興奮性を弱めるとされる。さらに、大うつ病性障害の患者では、3β,5α-THPレベルが上昇するにつれて、3α,5α-THPや3α,5β-THPレベルが低下すること、これらのレベルは抗うつ薬投与により正常化することも示されている。以上の知見から、神経活性ステロイドの平衡障害は、うつ病の病態生理に関わる因子として提唱されており<ref><pubmed>9659856</pubmed></ref>、そのレベルは性ホルモンの影響をうけることを鑑みると、産褥期うつ病にも関与することが予想される。
 神経活性ステロイドのレベルはエストロゲンやプロゲステロンといったprimary hormoneのレベルによって変動し、感情変化に寄与する。また、神経活性ステロイドは[[GABA受容体|GABA<sub>A</sub>受容体]][[アロステリックモジュレーター]]として機能し、その抑制作用を増強することで神経細胞の興奮性を弱めるとされる。さらに、大うつ病性障害の患者では、3β,5α-THPレベルが上昇するにつれて、3α,5α-THPや3α,5β-THPレベルが低下すること、これらのレベルは抗うつ薬投与により正常化することも示されている。以上の知見から、神経活性ステロイドの平衡障害は、うつ病の病態生理に関わる因子として提唱されており<ref><pubmed>9659856</pubmed></ref>、そのレベルは性ホルモンの影響をうけることを鑑みると、産褥期うつ病にも関与することが予想される。


=== オキシトシン ===  
=== オキシトシン ===  

案内メニュー