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<font size="+1">[http://researchmap.jp/read0184751 島添 隆雄]</font><br> | <font size="+1">[http://researchmap.jp/read0184751 島添 隆雄]</font><br> | ||
''九州大学 大学院薬学府''<br> | ''九州大学 大学院薬学府''<br> | ||
DOI XXXX/XXXX 原稿受付日:2013年8月19日 原稿完成日:2013年月日<br> | DOI [[XXXX]]/XXXX 原稿受付日:2013年8月19日 原稿完成日:2013年月日<br> | ||
担当編集委員:[http://researchmap.jp/tadafumikato 加藤 忠史](独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター)<br> | 担当編集委員:[http://researchmap.jp/tadafumikato 加藤 忠史](独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター)<br> | ||
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カフェインはメチルキサンチン類に属するアルカロイドである。紅茶、茶等に含まれるが、コーヒーに最も多い。メチルキサンチン類は、非選択的なホスホジエステラーゼ阻害作用を有し、cAMPを増加させる。主にCYP1A2により肝で代謝を受け、3種類のジメチルキサンチン(パラキサンチン、テオブロミン、テオフィリン)になる。これらの化合物も、やはりホスホジエステラーゼを非特異的に阻害する。したがって、カフェインはCYP1A2を阻害する薬剤(シメチジン、フルボキサミン、オランザピンなど)との併用では中枢作用が増強されることがある。また、モノアミン酸化酵素でも代謝され、モノアミン酸化酵素阻害薬との併用では頻脈・血圧上昇が見られやすい。}} | カフェインはメチルキサンチン類に属するアルカロイドである。紅茶、茶等に含まれるが、コーヒーに最も多い。メチルキサンチン類は、非選択的なホスホジエステラーゼ阻害作用を有し、cAMPを増加させる。主にCYP1A2により肝で代謝を受け、3種類のジメチルキサンチン(パラキサンチン、テオブロミン、テオフィリン)になる。これらの化合物も、やはりホスホジエステラーゼを非特異的に阻害する。したがって、カフェインはCYP1A2を阻害する薬剤(シメチジン、フルボキサミン、オランザピンなど)との併用では中枢作用が増強されることがある。また、モノアミン酸化酵素でも代謝され、モノアミン酸化酵素阻害薬との併用では頻脈・血圧上昇が見られやすい。}} | ||
== | ==概要== | ||
カフェインは、天然に存在するメチルキサンチン類に属するアルカロイドで、さまざまな植物に含まれるが、コーヒー、茶などに多く含まれ、中でもコーヒーに最も多く含まれている。天然に存在するメチルキサンチンとしては、他にテオフィリン、テオブロミンなどがある。カフェインは、1819年にドイツのフリードリヒ・ルンゲによって、コーヒーから単離された。コーヒー等の天然由来成分として摂取されている他、清涼飲料水にも含まれていることがある。また、市販の総合感冒薬、解熱鎮痛薬などにも含まれている。 | |||
== 薬理作用 == | |||
中枢神経刺激作用があり、覚醒作用があり、精神作業効率を高め、疲労感を減弱させる<ref><pubmed> 12204388 </pubmed></ref>。一方、離脱症状として、頭痛、易疲労感、眠気、不快気分、いらいら、集中困難、吐き気、筋のこわばりなどがある<ref>American Psychiatric Association (2013) Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders. Fifth Edition. </ref>。 | |||
[[大脳皮質]]の感覚受容器、運動中枢に作用。用量増加により延髄の呼吸中枢刺激。延髄の[[迷走神経]]中枢刺激。弱いが精神的依存を誘発する。 | |||
==適用== | ==適用== | ||
==作用機序== | ==作用機序== | ||
メチルキサンチン類は、非選択的なホスホジエステラーゼ阻害作用を有し、[[cAMP]]を増加させる<ref>Weinberg, BA; BK Bealer<br>The World of Caffeine. Routledge. ISBN 0-415-92722-6, 2001</ref>。 | |||
==代謝== | ==代謝== | ||
カフェインは、主にCYP1A2により肝で代謝を受け、3種類のジメチルキサンチン(パラキサンチン、テオブロミン、テオフィリン)になる。これらの化合物も、やはりホスホジエステラーゼを非特異的に阻害する。したがって、カフェインはCYP1A2を阻害する薬剤(シメチジン、[[フルボキサミン]]、[[オランザピン]]など)との併用では中枢作用が増強されることがある。また、[[モノアミン酸化酵素]]でも代謝され、[[モノアミン酸化酵素阻害薬]]との併用では頻脈・血圧上昇が見られやすい。 | |||
==副作用== | ==副作用== | ||
カフェインは中枢興奮作用を有するため、過剰摂取の代表的症状としては、不眠を誘発する。カフェインの摂取は、[[パニック障害]]を悪化させる可能性があるが、これはアデノシン産生低下に起因する。 | |||
== ホスホジエステラーゼ == | == ホスホジエステラーゼ == | ||
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===ホスホジエステラーゼ1ファミリー=== | ===ホスホジエステラーゼ1ファミリー=== | ||
[[カルシウム]]およびカルモデュリン依存性のホスホジエステラーゼで、さらに1A、1B、1Cに分類される<ref><pubmed> 4331465 </pubmed></ref>。ホスホジエステラーゼ1Aは、数種の細胞機能において、フィードバックをかけながら調節している。ホスホジエステラーゼ1Bノックアウトマウスは、自発運動量が増加し、記憶・学習能力が低下する<ref><pubmed>12077213 </pubmed></ref>。 | |||
===ホスホジエステラーゼ2ファミリー=== | ===ホスホジエステラーゼ2ファミリー=== | ||
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===ホスホジエステラーゼ3ファミリー=== | ===ホスホジエステラーゼ3ファミリー=== | ||
ホスホジエステラーゼ[[3a|3A]]と3Bに分類される。ホスホジエステラーゼ3阻害剤には、シロスタゾール、ミルリノン、アムリノンなどが循環器疾患に用いられる薬物が広く知られるが、中枢作用は比較的少ない。 | |||
===ホスホジエステラーゼ4ファミリー=== | ===ホスホジエステラーゼ4ファミリー=== | ||
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===ホスホジエステラーゼ9ファミリー=== | ===ホスホジエステラーゼ9ファミリー=== | ||
PDE9阻害剤であるBAY73- | PDE9阻害剤であるBAY73-6691が、[[アルツハイマー病]]治療に有効である可能性があり、研究が進められている<ref><pubmed>16150925</pubmed></ref>。また、他のPDE9阻害剤が、動物モデルにおける長期増強現象ならびに認知機能の改善効果があることが報告されている(Hendrix, 2005)。 | ||
===ホスホジエステラーゼ10ファミリー=== | ===ホスホジエステラーゼ10ファミリー=== | ||
PDE10は中枢疾患治療のターゲットになりうる。PDE10阻害剤であるpapavarineは、統合失調症によって誘発される認知機能障害を改善する。その他、長期増強現象、[[ハンチントン病]]、にも関与している。 | |||
===ホスホジエステラーゼ11ファミリー=== | ===ホスホジエステラーゼ11ファミリー=== |