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==構造== | ==構造== | ||
ランヴィエの絞輪の長さは神経繊維の種類や太さにもよるが、典型的には1-2 μm程度で、間隔は1-2mm程度である。この間隔は、活動電位の伝播に必要最低限な間隔よりも短い。実際の間隔と必要最低限の間隔の比を安全率(safety factor)と呼ぶ。健常な繊維では、安全率は5- | ランヴィエの絞輪の長さは神経繊維の種類や太さにもよるが、典型的には1-2 μm程度で、間隔は1-2mm程度である。この間隔は、活動電位の伝播に必要最低限な間隔よりも短い。実際の間隔と必要最低限の間隔の比を安全率(safety factor)と呼ぶ。健常な繊維では、安全率は5-7程度と高い2。 | ||
中枢神経系では[[オリゴデンドロサイト]]が、末梢神経系では[[シュワン細胞]]が髄鞘形成を担うが、ランヴィエの絞輪の微細構造も、中枢と末梢では大きく異なる(図1)。例えば、末梢神経では、髄鞘をつくるシュワン細胞から多くの微絨毛が絞輪部まで伸び、その先端部はほぼ垂直に[[細胞膜]]近傍に位置する。これに対し、中枢神経では、アストロサイトがランヴィエの絞輪の近傍まで微細突起を伸ばしている事が多い。どちらにおいても軸索の太さは、ランヴィエの絞輪では細くなっている。 | |||
太い繊維においては、ランヴィエの絞輪部では、髄鞘が被っている部分(internode)における軸索径に比べて1/5の程度の細さにまでなる4。 | |||
またランヴィエの絞輪部の軸索にはintramembranous particles (IMP)と呼ばれる顆粒構造が存在し、これは電位依存性Na+チャネルを含んだものだと考えられている。 | |||
ランヴィエの絞輪の両端にはパラノード(paranode)とよばれる構造が隣接する。パラノード部では髄鞘が肥大し細胞質成分が観察され、paranodal loopと呼ばれる構造を示す。パラノード部では、40個以上のparanodal loopがらせん状に軸索と[[接着分子]]を介して密着し、電気的な絶縁と、分子の拡散障壁部を形成している。この構造は、ボルト(=軸索)とナット(=paranodal loop)にもたとえられる。パラノード部の両遠部には、傍パラノード部(juxtaparanode)があり、その両遠部がインターノード部(internode)となる。 | |||
==分子== | ==分子== | ||
ランヴィエの絞輪部には[[足場蛋白質]]としてスペクトリン、アンキリンGが存在する。これらを足場としてNav1.6、KCNQ等のチャネルやNa-K-ATPaseが集積する。この状況は、initial segmentと似ており、その相同性が示されている。パラノード部には、caspr, neruofasin などの接着分子が発現する。juxtaparanodeにはKv1.1、Kv1.2,などの[[電位依存性カリウムチャネル]]が存在する5, 6(図3)。Na+チャネル、[[K+チャネル]]がこのように空間的に相補的な発現をする事の生理学的意義については議論が続けられている。 | ランヴィエの絞輪部には[[足場蛋白質]]としてスペクトリン、アンキリンGが存在する。これらを足場としてNav1.6、KCNQ等のチャネルやNa-K-ATPaseが集積する。この状況は、initial segmentと似ており、その相同性が示されている。パラノード部には、caspr, neruofasin などの接着分子が発現する。juxtaparanodeにはKv1.1、Kv1.2,などの[[電位依存性カリウムチャネル]]が存在する5, 6(図3)。Na+チャネル、[[K+チャネル]]がこのように空間的に相補的な発現をする事の生理学的意義については議論が続けられている。 |