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== 認知地図 == | == 認知地図 == | ||
Tolman (1948)は、動物の空間行動を「認知地図」という概念によって説明した。これは、動物が空間内を移動するとき、その空間の地図用のイメージを描き、それを用いて餌探し行動や危険回避行動をするという考えである。認知地図に基づく行動は、環境内にある複数の刺激の空間的関係性と、複数の刺激と出来事との関係性の構築によって実行される。台車による受動的な移動経験によっても認知地図を獲得することができるという実験的証拠(McNamara, Long & Wike, 1956)や反応後に報酬が与えられないな場合にも認知地図が獲得されるという「潜在学習」(Tolman & Honzik, 1930)など、それまでの単純なS- | Tolman (1948)は、動物の空間行動を「認知地図」という概念によって説明した。これは、動物が空間内を移動するとき、その空間の地図用のイメージを描き、それを用いて餌探し行動や危険回避行動をするという考えである。認知地図に基づく行動は、環境内にある複数の刺激の空間的関係性と、複数の刺激と出来事との関係性の構築によって実行される。台車による受動的な移動経験によっても認知地図を獲得することができるという実験的証拠(McNamara, Long & Wike, 1956)や反応後に報酬が与えられないな場合にも認知地図が獲得されるという「潜在学習」(Tolman & Honzik, 1930)など、それまでの単純なS-R理論で説明することができない空間行動を、認知地図の概念によって説明することができた。 | ||
== | == 空間記憶の神経基盤 == | ||
海馬を含む側頭葉内側部の切除手術を受けたH.M.が宣言記憶の障害を示すという報告(Scoville & Millner, 1957)が引き金となり、齧歯類を対象とした海馬損傷研究が次々に報告された。この流れの中で、Tolmanの認知地図の概念はO'Keefe & Nadel (1978)によって海馬認知地図仮説へと発展し、海馬が空間認知の神経基盤であると考えられた。この仮説の中で、O'KeefeらはLocaleシステムとTaxonシステムという2つの記憶システムを提案し、それらのシステムと海馬の関係を論じた。Localeシステムは環境の中で自分の位置を特定する、いわゆる |
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