「グリア細胞」の版間の差分

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[[ファイル:Kudo Fig4.png|thumb|right|350px|'''図4 アストロサイトに発現する多様な神経伝達物質トランスポーター'''<br>Uptake2(モノアミントランスポーター)以外はすべてNa+を共輸送する。グリシントランスポーターとUptake1はCl-を共輸送する。特にグルタミン酸トランスポーターでは陽イオンの共輸送が大きくとりこみにより電位が発生する(起電性)。]]
[[ファイル:Kudo Fig4.png|thumb|right|350px|'''図4 アストロサイトに発現する多様な神経伝達物質トランスポーター'''<br>Uptake2(モノアミントランスポーター)以外はすべてNa+を共輸送する。グリシントランスポーターとUptake1はCl-を共輸送する。特にグルタミン酸トランスポーターでは陽イオンの共輸送が大きくとりこみにより電位が発生する(起電性)。]]
====神経伝達物質の取り込み====
====神経伝達物質の取り込み====
 神経信号の伝達の際にシナプス周辺には[[神経伝達物質]]が大量に放出される。信号伝達後、過剰な伝達物質は早急にシナプス部位から排除されることが必要である。[[アセチルコリン]]や[[ATP]]は特殊な分解酵素によって速やかに排除される。しかし、中枢神経系の約70%シナプスにおいて興奮性神経伝達物質して機能している[[グルタミン酸]]をはじめとして、多くの伝達物質は特殊な[[トランスポーター]]によってシナプス周辺から除去される(図4)。グルタミン酸の取り込みには[[興奮性アミノ酸トランスポーター]](Excitatory amino acid transporter: EAAT)が使われる。ニューロンにも存在するが、アストロサイトに発現する[[EAAT1]]([[Glutamate aspartate transporter]]、[[GLAST]])とEAAT2(GLT-1: Glutamate transporter-1)が主なグルタミン酸取り込み経路となっている。これらのトランスポーターは細胞内外のイオン濃度勾配を利用してグルタミン酸を輸送する。図4に示すように、グルタミン酸一分子の取り込みには2 - 3個のNaイオンと1個のHイオンが共輸送され、1個のKイオンが排出される。結果として、この取り込みの際にはアストロサイトは脱分極する(起電性トランスポーター:electrogenic transporter)<ref><pubmed>21752877</pubmed></ref>。
 神経信号の伝達の際にシナプス周辺には[[神経伝達物質]]が大量に放出される。信号伝達後、過剰な伝達物質は早急にシナプス部位から排除されることが必要である。[[アセチルコリン]]や[[ATP]]は特異的分解酵素によって速やかに排除される。しかし、中枢神経系の約70%シナプスにおいて興奮性神経伝達物質して機能している[[グルタミン酸]]をはじめとして、多くの伝達物質は特異的[[トランスポーター]]によってシナプス周辺から除去される(図4)。グルタミン酸は[[興奮性アミノ酸トランスポーター]](Excitatory amino acid transporter: EAAT)により取り込まれる。興奮性アミノ酸トランスポーターはニューロンにも存在するが、アストロサイトに発現する[[EAAT1]]([[Glutamate aspartate transporter]]、[[GLAST]])と[[EAAT2]]([[Glutamate transporter-1]], [[GLT-1]])が主なグルタミン酸取り込み経路となっている。これらのトランスポーターは細胞内外のイオン濃度勾配を利用してグルタミン酸を輸送する。グルタミン酸一分子の取り込みには2 - 3個のNa<sup>+</sup>イオンと1個のH<sup>+</sup>イオンが共輸送され、1個のK<sup>+</sup>イオンが排出される(図4)。結果として、この取り込みの際にはアストロサイトは脱分極する([[起電性トランスポーター]])<ref><pubmed>21752877</pubmed></ref>。
 アストロサイトには抑制性伝達物質GABAおよびグリシンに対するトランスポーターも発現する。前者はGAT-3と呼ばれ、一分子のGABAの取り込みに2個のNaイオンの共輸送を必要とする。後者はGLYT-1と呼ばれ、一分子のグリシンの取り込みに2個のNaイオンと1個のClイオン の共輸送が必要とされる<ref><pubmed>24273530</pubmed></ref>。その他、アストロサイトにはタウリントランスポーターも発現している。
 
 さらに中枢におけるuptake1と呼ばれるNaイオン依存性およびコカイン感受性の神経型モノアミントランスポーターに加えて、uptake2と呼ばれるNaイオンに依存しないステロイド感受性のモノアミントランスポーターが存在することが明らかにされている。アストロサイトにはuptake1もuptake2も存在し、モノアミン除去に重要な役割を果たしている。モノアミントランスポーターとして、ドーパミントランスポーター(DAT)、ノルエピネフリントランスポーター(NET)およびセロトニントランスポーター(SET)のcDNAがクローニングされている。その他、アストロサイトにはヒスタミントランスポーターの存在も同定されている<ref><pubmed>13677912</pubmed></ref>、<ref>'''A Verkhratsky, A Butt'''<br>Glial Neurobiology A Textbook<br>''Wiley(England)''2007</ref>
 アストロサイトには[[抑制性伝達物質]][[GABA]]および[[グリシン]]に対するトランスポーターも発現する。前者は[[GAT-3]]と呼ばれ、一分子のGABAの取り込みに2個のNa<sup>+</sup>イオンの[[共輸送]]を必要とする。後者は[[GLYT-1]]と呼ばれ、一分子のグリシンの取り込みに2個のNa<sup>+</sup>イオンと1個のCl<sup>-</sup>イオン の共輸送が必要とされる<ref><pubmed>24273530</pubmed></ref>。その他、アストロサイトには[[タウリントランスポーター]]も発現している。
 
 さらに中枢における[[uptake 1]]と呼ばれるNa<sup>+</sup>イオン依存性および[[コカイン]]感受性の神経型[[モノアミントランスポーター]]に加えて、[[uptake 2]]と呼ばれるNa<sup>+</sup>イオンに依存しない[[ステロイド]]感受性のモノアミントランスポーターが存在することが明らかにされている。アストロサイトにはuptake 1もuptake 2も存在し、モノアミン除去に重要な役割を果たしている。モノアミントランスポーターとして、[[ドーパミントランスポーター]]([[DAT]])、[[ノルエピネフリントランスポーター]]([[NET]])および[[セロトニントランスポーター]]([[SET]])の[[cDNA]]がクローニングされている。その他、アストロサイトには[[ヒスタミントランスポーター]]の存在も同定されている<ref><pubmed>13677912</pubmed></ref>、<ref>'''A Verkhratsky, A Butt'''<br>Glial Neurobiology A Textbook<br>''Wiley(England)''2007</ref>。(uptake 1、2の分類とクローニングされたトランスポーターとの関連を御記述下さい)。


====グリア細胞が合成し遊離する分子====
====グリア細胞が合成し遊離する分子====

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