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クロナゼパムなどの[[ベンゾジアゼピン]]系[[抗不安薬]]も有効である。[[認知行動療法]]([[CBT]])とりわけ暴露療法の効果は十分に認められており、その平均効果量は1.8と薬物療法より高い。一般に、SSRIでは効果発現がより速く、CBTでは効果がより持続的である。両者の併用療法が単独療法より勝るかどうかは検証されていない。[[恐怖学習]]の消去作用を有する[[D-サイクロセリン|<small>D</small>-サイクロセリン]]の暴露療法での併用が注目されている。[[モノアミン酸化酵素阻害薬]]の効果は検証されているが、副作用が出やすいので本邦では使用されていない。 | クロナゼパムなどの[[ベンゾジアゼピン]]系[[抗不安薬]]も有効である。[[認知行動療法]]([[CBT]])とりわけ暴露療法の効果は十分に認められており、その平均効果量は1.8と薬物療法より高い。一般に、SSRIでは効果発現がより速く、CBTでは効果がより持続的である。両者の併用療法が単独療法より勝るかどうかは検証されていない。[[恐怖学習]]の消去作用を有する[[D-サイクロセリン|<small>D</small>-サイクロセリン]]の暴露療法での併用が注目されている。[[モノアミン酸化酵素阻害薬]]の効果は検証されているが、副作用が出やすいので本邦では使用されていない。 | ||
[[image:不安障害4.png|thumb|300px|'''図1.社交不安症の生涯有病率と他の不安障害および気分障害との生涯併発率'''<br>社交不安障害の発症年齢は10歳前後、その生涯有病率は5.0%、何らかの不安障害の併発は55.0%、特定の恐怖症の併発は36.4%、全般性不安障害の併発は21.6%、パニック障害の併発は20.4%、大うつ病の併発は33.4%、何らかの気分障害の併発は55.0% ]] | |||
==疫学 == | ==疫学 == | ||
[[wikipedia:世界精神保健|世界精神保健]](WMH)日本調査2002-2006(最終データ4134名)<ref name=ref7>'''川上憲人'''<br>平成18年度厚生労働科学研究費補助金(こころの健康科学研究事業)こころの健康についての疫学調査に関する研究</ref>における社交不安症の重みづけ後の12ヶ月有病率は0.7で、生涯有病率は1.4であった。この生涯有病率は米国(6.8)や欧州(7.7)に比べ著しく低い。また同じ調査で、社交不安症がその後の[[大うつ病障害発症]]に及ぼすハザード比は7.2と顕著に高い。米国の[[アルコール症]]とその関連疾患の疫学調査<ref name=ref8><pubmed>16420070</pubmed></ref>では社交不安症は男性より女性に多く(約1.5倍)、平均発症年齢は15.1歳、平均罹病期間16.3年で、80%以上は治療を受けず、初診時平均年齢は27.2歳であった。 | [[wikipedia:世界精神保健|世界精神保健]](WMH)日本調査2002-2006(最終データ4134名)<ref name=ref7>'''川上憲人'''<br>平成18年度厚生労働科学研究費補助金(こころの健康科学研究事業)こころの健康についての疫学調査に関する研究</ref>における社交不安症の重みづけ後の12ヶ月有病率は0.7で、生涯有病率は1.4であった。この生涯有病率は米国(6.8)や欧州(7.7)に比べ著しく低い。また同じ調査で、社交不安症がその後の[[大うつ病障害発症]]に及ぼすハザード比は7.2と顕著に高い。米国の[[アルコール症]]とその関連疾患の疫学調査<ref name=ref8><pubmed>16420070</pubmed></ref>では社交不安症は男性より女性に多く(約1.5倍)、平均発症年齢は15.1歳、平均罹病期間16.3年で、80%以上は治療を受けず、初診時平均年齢は27.2歳であった。 | ||
社交不安症の他の不安障害および気分障害との生涯併発率は図1を参照。その他の注目すべき合併しやすい精神障害は、[[双極性障害I型]]、[[回避性人格障害]]及び[[依存性人格障害]]であった。また、平均7つの恐怖対象状況があり、多くはパーフォーマンス場面であった。欧米では社交不安症は[[wikipedia:不登校|不登校]]の大きな原因とされている。 | |||
==関連項目== | |||
*[[不安障害]] | |||
== 参考文献 == | == 参考文献 == |