「カテニン」の版間の差分

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 β–カテニンは一般的に体全身の多くの組織において発現が認められているが、[[wikipedia:ja:脂肪組織|脂肪組織]]や[[wikipedia:ja:副甲状腺|副甲状腺]]、扁桃腺といって一部の組織では発現が確認されていない。細胞レベルにおいては、β–カテニンは、α–カテニンと同様、細胞質タンパク質であるため、細胞質に一様な局在も示すが、カドヘリンを介した膜への局在が主である。[[Wnt]]シグナルの活性化状態では、β–カテニンは[[wikipedia:ja:核|核]]への局在が見られるようになる。
 β–カテニンは一般的に体全身の多くの組織において発現が認められているが、[[wikipedia:ja:脂肪組織|脂肪組織]]や[[wikipedia:ja:副甲状腺|副甲状腺]]、扁桃腺といって一部の組織では発現が確認されていない。細胞レベルにおいては、β–カテニンは、α–カテニンと同様、細胞質タンパク質であるため、細胞質に一様な局在も示すが、カドヘリンを介した膜への局在が主である。[[Wnt]]シグナルの活性化状態では、β–カテニンは[[wikipedia:ja:核|核]]への局在が見られるようになる。


 プラコグロビンも、β–カテニンと同様に多くの組織では発現が確認されているが、[[wikipedia:ja:副腎|副腎]]や、[[wikipedia:ja:耳|耳]](組織学的な単語をお使いください)、[[wikipedia:ja:唾液腺|唾液腺]]、[[wikipedia:ja:脾臓|脾臓]]、[[wikipedia:ja:臍帯|臍帯]]、[[wikipedia:ja:血管|血管]]といった一部の組織には発現が確認されていない。細胞レベルでは、デスモソームへの局在が顕著である。
 プラコグロビンも、β–カテニンと同様に多くの組織では発現が確認されているが、[[wikipedia:ja:副腎|副腎]]や、[[wikipedia:ja:唾液腺|唾液腺]]、[[wikipedia:ja:脾臓|脾臓]]、[[wikipedia:ja:臍帯|臍帯]]、[[wikipedia:ja:血管|血管]]といった一部の組織には発現が確認されていない。細胞レベルでは、デスモソームへの局在が顕著である。


===機能===
===機能===
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 F9細胞では&beta;–カテニンをノックアウトしてもプラコグロビンの発現が増加し、カドヘリンによる接着能は維持されるが、プラコグロビンもあわせてノックアウトするとその接着能は失われることが示されている<ref name=ref18><pubmed> 16357441 </pubmed></ref>。しかし、カドヘリンが発現していない細胞に、カドヘリンと&alpha;–カテニンとを融合したタンパク質を発現させれば、&beta;–カテニンが存在しなくてもカドヘリンの機能は発揮される<ref name=ref19><pubmed> 7929566 </pubmed></ref>。これらは、細胞間接着においてプラコグロビンが&beta;–カテニンの機能を補完する役割を担っており、また&beta;–カテニンの機能は、&alpha;–カテニンをカドヘリンに結合させることであることを示している。
 F9細胞では&beta;–カテニンをノックアウトしてもプラコグロビンの発現が増加し、カドヘリンによる接着能は維持されるが、プラコグロビンもあわせてノックアウトするとその接着能は失われることが示されている<ref name=ref18><pubmed> 16357441 </pubmed></ref>。しかし、カドヘリンが発現していない細胞に、カドヘリンと&alpha;–カテニンとを融合したタンパク質を発現させれば、&beta;–カテニンが存在しなくてもカドヘリンの機能は発揮される<ref name=ref19><pubmed> 7929566 </pubmed></ref>。これらは、細胞間接着においてプラコグロビンが&beta;–カテニンの機能を補完する役割を担っており、また&beta;–カテニンの機能は、&alpha;–カテニンをカドヘリンに結合させることであることを示している。


 細胞接着においてプラコグロビンはデスモソ-ムカドヘリンと細胞骨格の一つである中間径フィラメントの結合タンパク質である[[プラモプラーキン]]の両方と同時に結合し、デスモソームの構造体として機能する。プラコグロビンのC末端領域の欠損した培養細胞では、細胞のラテラル面(コメント:ききなれない言い方ですので、他の言い回しはないでしょうか?側面?接触面?)でのデスモソームの融合が見られ、結果としてデスモソームのサイズの増大が起こる。また、プラコグロビンは、接着結合とデスモソーム間の分子のクロストークの制御に寄与していることが示唆されている。プラコグロビンの[[ノックアウトマウス]]の[[wikipedia:ja:心筋|心筋]]組織では接着結合の構成因子とデスモソームの構成因子とが混在してラテラル面(?)に局在するようになってしまう<ref name=ref20><pubmed> 19262118 </pubmed></ref>。
 細胞接着においてプラコグロビンはデスモソ-ムカドヘリンと細胞骨格の一つである中間径フィラメントの結合タンパク質である[[プラモプラーキン]]の両方と同時に結合し、デスモソームの構造体として機能する。プラコグロビンのC末端領域の欠損した培養細胞では、細胞のラテラル面(極性をもつ細胞の頂端と基底部分の間に位置し、隣り合う細胞膜(ラテラル膜)がなす面)(コメントH3)でのデスモソームの融合が見られ、結果としてデスモソームのサイズの増大が起こる。また、プラコグロビンは、接着結合とデスモソーム間の分子のクロストークの制御に寄与していることが示唆されている。プラコグロビンの[[ノックアウトマウス]]の[[wikipedia:ja:心筋|心筋]]組織では接着結合の構成因子とデスモソームの構成因子とが混在してラテラル面に局在するようになってしまう<ref name=ref20><pubmed> 19262118 </pubmed></ref>。
====転写制御====
====転写制御====
 &beta;–カテニンは、発生における遺伝子発現の制御にも重要な役割がある。Wntシグナルがない状態では、細胞質の&beta;–カテニン(カドヘリン・カテニン複合体中のものとは別である)はGSK3&beta;によりリン酸化され、それを標的とした[[ユビキチン化]]により、[[プロテアソーム]]によるタンパク質分解をうけることで、その量が低く保たれている。WntシグナルがやってくればGSK3&beta;による[[リン酸化]]が抑制され、&beta;–カテニンは核内へ移行し、TCF/LEFと複合体を形成し、[[細胞周期]]関連因子や[[体軸]]決定因子などの標的遺伝子を活性化する<ref name=ref4><pubmed> 22617422 </pubmed></ref>。これは、[[wikipedia:ja:ウニ|ウニ]]の発生を初めとし[[wikipedia:ja:無脊椎動物|無脊椎動物]]、[[wikipedia:ja:脊椎動物|脊椎動物]]両方において報告されている<ref name=ref4><pubmed> 22617422 </pubmed></ref>。
 &beta;–カテニンは、発生における遺伝子発現の制御にも重要な役割がある。Wntシグナルがない状態では、細胞質の&beta;–カテニン(カドヘリン・カテニン複合体中のものとは別である)はGSK3&beta;によりリン酸化され、それを標的とした[[ユビキチン化]]により、[[プロテアソーム]]によるタンパク質分解をうけることで、その量が低く保たれている。WntシグナルがやってくればGSK3&beta;による[[リン酸化]]が抑制され、&beta;–カテニンは核内へ移行し、TCF/LEFと複合体を形成し、[[細胞周期]]関連因子や[[体軸]]決定因子などの標的遺伝子を活性化する<ref name=ref4><pubmed> 22617422 </pubmed></ref>。これは、[[wikipedia:ja:ウニ|ウニ]]の発生を初めとし[[wikipedia:ja:無脊椎動物|無脊椎動物]]、[[wikipedia:ja:脊椎動物|脊椎動物]]両方において報告されている<ref name=ref4><pubmed> 22617422 </pubmed></ref>。
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