「Forkhead box protein P2」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
編集の要約なし
編集の要約なし
編集の要約なし
18行目: 18行目:
 FOXP2/Foxp2の発現部位に関しては、齧歯類の胚と成体、[[胎生期]]のヒトにおいて解析が為されている(鳴禽については別の項で記述する)。FOXP2/Foxp2は、感覚神経核、辺縁系神経核、大脳新皮質、そして運動機能に関わる領域(小脳や線条体、橋など)において広範な発現パターンを示す (図1) <ref name=Ferland_2003 /> <ref name=Gray_2008><pubmed> 18218908 </pubmed></ref> <ref><pubmed> 12876151 </pubmed></ref> <ref><pubmed> 19463901 </pubmed></ref> <ref><pubmed> 12815709 </pubmed></ref> <ref name=Teramitsu_2004 />。
 FOXP2/Foxp2の発現部位に関しては、齧歯類の胚と成体、[[胎生期]]のヒトにおいて解析が為されている(鳴禽については別の項で記述する)。FOXP2/Foxp2は、感覚神経核、辺縁系神経核、大脳新皮質、そして運動機能に関わる領域(小脳や線条体、橋など)において広範な発現パターンを示す (図1) <ref name=Ferland_2003 /> <ref name=Gray_2008><pubmed> 18218908 </pubmed></ref> <ref><pubmed> 12876151 </pubmed></ref> <ref><pubmed> 19463901 </pubmed></ref> <ref><pubmed> 12815709 </pubmed></ref> <ref name=Teramitsu_2004 />。


[[ファイル:Sugiyama&Osumi_fig_1.jpg]]
[[ファイル:Sugiyama&Osumi_fig1.jpg]]


なお、Foxp2は脳だけでなく、肺や[[心臓]]、腸にも発現が見られ <ref name=Shu_2001 />、肺発生においては肺上皮細胞の[[分化]]にFoxp2が関与していることが報告されている <ref name=Shu_2001 />。またFoxp2は呼吸中枢の橋背側部にも発現が認められている <ref name=Gray_2008 />。図2にマウス脳におけるFoxp2の発現パターンの例を示す。
なお、Foxp2は脳だけでなく、肺や[[心臓]]、腸にも発現が見られ <ref name=Shu_2001 />、肺発生においては肺上皮細胞の[[分化]]にFoxp2が関与していることが報告されている <ref name=Shu_2001 />。またFoxp2は呼吸中枢の橋背側部にも発現が認められている <ref name=Gray_2008 />。図2にマウス脳におけるFoxp2の発現パターンの例を示す。


[[ファイル:Sugiyama&Osumi_fig_2.jpg]]
[[ファイル:Sugiyama&Osumi_fig2.jpg]]


==FOXP2発現に依拠した神経回路モデル==
==FOXP2発現に依拠した神経回路モデル==
31行目: 31行目:
 鳴禽の歌学習に関わる神経回路においてFoxp2が発現していることは非常に興味深い。ヒトの前頭葉-線条体経路と相同の神経回路が鳴禽の脳内に存在する。ヒトの[[大脳皮質]]に相当する鳥類の皮質領野(high vocal center: HVC)とヒトの線条体に相当する鳥類の領野XにFoxp2が発現している <ref name=Haesler_2004 />。HVCから領野Xへ、領野Xは視床の背外側視床の内側核(DLM核)へ、DLM核は皮質の前線条体の外側大細胞部(LMAN核)へと軸索が投射され、LMAN核は歌の生成に関わる神経回路に軸索投射する(図4) <ref name=Scharff_2004><pubmed> 15313783 </pubmed></ref>。またFoxp2は領野Xに発現があるだけでなく、鳴禽の歌学習時に発現量が上昇する<ref name=Haesler_2004 />。HVCとLMANからの投射がある[[終脳]]核(robustus arcopallialis: RA)は歌の機能に関わる[[運動ニューロン]]に投射する <ref name=Scharff_2004 /> <ref name=Teramitsu_2004 />。
 鳴禽の歌学習に関わる神経回路においてFoxp2が発現していることは非常に興味深い。ヒトの前頭葉-線条体経路と相同の神経回路が鳴禽の脳内に存在する。ヒトの[[大脳皮質]]に相当する鳥類の皮質領野(high vocal center: HVC)とヒトの線条体に相当する鳥類の領野XにFoxp2が発現している <ref name=Haesler_2004 />。HVCから領野Xへ、領野Xは視床の背外側視床の内側核(DLM核)へ、DLM核は皮質の前線条体の外側大細胞部(LMAN核)へと軸索が投射され、LMAN核は歌の生成に関わる神経回路に軸索投射する(図4) <ref name=Scharff_2004><pubmed> 15313783 </pubmed></ref>。またFoxp2は領野Xに発現があるだけでなく、鳴禽の歌学習時に発現量が上昇する<ref name=Haesler_2004 />。HVCとLMANからの投射がある[[終脳]]核(robustus arcopallialis: RA)は歌の機能に関わる[[運動ニューロン]]に投射する <ref name=Scharff_2004 /> <ref name=Teramitsu_2004 />。


[[ファイル:Sugiyama&Osumi_fig_4.jpg]]
[[ファイル:Sugiyama&Osumi_fig4.jpg]]


==FOXP2の進化==
==FOXP2の進化==

案内メニュー