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===pH感受性GFP(pHluorin)を用いたシナプス小胞リサイクリングの解析=== | ===pH感受性GFP(pHluorin)を用いたシナプス小胞リサイクリングの解析=== | ||
緑色蛍光蛋白質(GFP)の蛍光強度は溶液のpHにより変化する。GFPの遺伝子に変異を加え蛍光強度のpH依存的変化を増幅させた変異体がpHluorinである<ref name=ref44><pubmed>9671304 | 緑色蛍光蛋白質(GFP)の蛍光強度は溶液のpHにより変化する。GFPの遺伝子に変異を加え蛍光強度のpH依存的変化を増幅させた変異体がpHluorinである<ref name=ref44><pubmed>9671304</pubmed></ref>。pHluorinは7.1程度のpKa値を示し、中性域では強い蛍光を発するが、弱酸性域では蛍光が減弱する。この蛍光変化は可逆的である。シナプス小胞内腔はV-ATPaseの働きにより弱酸性に保たれているため、pHluorinをシナプス小胞タンパク質の内腔側に融合させて遺伝子導入させると、小胞内腔に存在する時は蛍光を発せず、エキソサイトーシスに伴って細胞外の中性溶液に暴露された時に強い蛍光を発する。その後形質膜に移行したpHluorinを持つシナプス小胞タンパク質がエンドサイトーシスによって新たな小胞に回収されると、小胞内腔が酸性化され、再び蛍光が消失する。最初に用いられたSynaptobrevinに融合させたSynaptopHluorinは細胞表面への局在が多くシグナル−ノイズ比が低いことが問題となっていたが、その後SynaptophysinやVGLUT1の内腔側に融合させた改良版が作られ<ref name=ref45><pubmed>16982422</pubmed></ref> <ref name=ref46><pubmed>16815333</pubmed></ref>、1小胞イメージングなども可能となり、エンドサイトーシスや小胞酸性化の動態や速度論的解析が現在活発に進められている<ref name=ref47><pubmed>18077369</pubmed></ref>。ただし、厳密に言えばpHluorinを融合させたタンパク質の動態を観察しているのであり、小胞「膜」のエンドサイトーシスを直接観察している訳ではないことに留意する必要がある。 | ||
== 有芯顆粒 == | == 有芯顆粒 == |