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===言語機能との関わり=== | ===言語機能との関わり=== | ||
====遺伝子変異==== | ====遺伝子変異==== | ||
KE家の遺伝子変異はFOXP2配列の553番目の塩基が[[アルギニン]]から[[ヒスチジン]]に変わっており(R553H)、この遺伝子変異はKE家の中でも障害を抱えるメンバーのみに起こり、障害を抱えないKE家のメンバーは健常者と同様に遺伝子変異は見られなかった<ref name=French_2007><pubmed> 17619227 </pubmed></ref>。FOX遺伝子ファミリーにおいて、この553番目のアルギニンは不変部位であり、このアルギニンの隣には、Forkheadドメインの第3ヘリックスを構成するヒスチジンがある<ref><pubmed> 8332212 </pubmed></ref>。一方、C.S.氏の遺伝子変異はKE家の遺伝子変異とは異なり、FOXP2遺伝子上にて転座が生じたためにDNA結合領域が壊されている <ref name=Lai_2001 />。 | |||
Foxp2の生体における機能を知るため、発生工学的に遺伝子機能を欠損させたノックアウトマウスや<ref name=French_2007 />、KE家に見られる遺伝子変異(R552H)を挿入したノックインマウス<ref name=Fujita_2008><pubmed> 18287060 </pubmed></ref> <ref name=Groszer_2008><pubmed> 18328704 </pubmed></ref>が作製された。Foxp2のノックアウトマウスでは小脳の縮小が見られた <ref name=French_2007 />。同様にFoxp2の変異ノックインホモ接合マウス(R552H/R552H)でも小脳の縮小、小脳[[プルキンエ細胞]]数の減少、さらに[[樹状突起]]のシナプス後部に発現する[[シナプトフィジン]]の発現も減少していた<ref name=Fujita_2008 />。またR552H/R552Hマウスは新生仔が発する[[wikipedia:ja:超音波|超音波]]による鳴き声([[ultrasonic vocalization]], USV)の減少という表現型が得られた<ref name=Fujita_2008 />。一方、ヘテロ接合ノックインマウスR552H/+では、形態的に小脳は正常なマウスとほとんど変わらなかったが、行動学的には、全般的な[[運動機能]]の障害や、線条体と小脳の神経回路における[[シナプス可塑性]]の異常、ホモ接合ノックインマウスR552H/ R552H に比べてマイルドなUSVの異常が見られた<ref name=Fujita_2008 /> <ref name=Groszer_2008 />。 | Foxp2の生体における機能を知るため、発生工学的に遺伝子機能を欠損させたノックアウトマウスや<ref name=French_2007 />、KE家に見られる遺伝子変異(R552H)を挿入したノックインマウス<ref name=Fujita_2008><pubmed> 18287060 </pubmed></ref> <ref name=Groszer_2008><pubmed> 18328704 </pubmed></ref>が作製された。Foxp2のノックアウトマウスでは小脳の縮小が見られた <ref name=French_2007 />。同様にFoxp2の変異ノックインホモ接合マウス(R552H/R552H)でも小脳の縮小、小脳[[プルキンエ細胞]]数の減少、さらに[[樹状突起]]のシナプス後部に発現する[[シナプトフィジン]]の発現も減少していた<ref name=Fujita_2008 />。またR552H/R552Hマウスは新生仔が発する[[wikipedia:ja:超音波|超音波]]による鳴き声([[ultrasonic vocalization]], USV)の減少という表現型が得られた<ref name=Fujita_2008 />。一方、ヘテロ接合ノックインマウスR552H/+では、形態的に小脳は正常なマウスとほとんど変わらなかったが、行動学的には、全般的な[[運動機能]]の障害や、線条体と小脳の神経回路における[[シナプス可塑性]]の異常、ホモ接合ノックインマウスR552H/ R552H に比べてマイルドなUSVの異常が見られた<ref name=Fujita_2008 /> <ref name=Groszer_2008 />。 |