「脳神経倫理学」の版間の差分

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=== 臨床・応用的問題===
=== 臨床・応用的問題===
最初に述べたように、特に臨床・応用的問題に関しては、他の応用倫理学領域である生命倫理や医療倫理と一部重複する部分があるが、対象とする臓器が脳であるという理由から特異的であり社会的な影響も大きいため、以下では脳神経倫理固有の側面の説明を追加しながら紹介することにする。
====研究参加における偶発的所見====
====研究参加における偶発的所見====
 [[wj:臨床検査|臨床検査]]や治療の過程ではなく研究段階の被験者の脳画像に異変が偶然発見されることを指し、どこまで被験者にその結果をフィードバックするのか、とくに実験者が医師でない場合の判断基準が難しいとされる。現在では、[[MRI]]画像読影時にこの問題が生じる可能性が高く、どのような対処が妥当なのか検討されている。また関連して、被験者が研究に参加していることで検査や治療の機会だと誤解し、そのことを過剰に期待する「治療的誤認(therapeutic misconception )」も問題となっている。
 [[wj:臨床検査|臨床検査]]や治療の過程ではなく研究段階の被験者の脳画像に異変が偶然発見されることを指し、どこまで被験者にその結果をフィードバックするのか、とくに実験者が医師でない場合の判断基準が難しいとされる。現在では、[[MRI]]画像読影時にこの問題が生じる可能性が高く、どのような対処が妥当なのか検討されている。また関連して、被験者が研究に参加していることで検査や治療の機会だと誤解し、そのことを過剰に期待する「治療的誤認(therapeutic misconception )」も問題となっている。脳神経倫理特有のものとしては、MRIの発展や普及を背景とし、医師免許保有者以外の研究者(脳神経科学者や言語学者など)が研究を行うことで対応が必要になってきた。


====被験者・患者保護とインフォームド・コンセント(IC)====
====被験者・患者保護とインフォームド・コンセント(IC)====
 被験者や患者にどのように事前説明を行い、彼/彼女らを保護するのかに関わる問題である。被験者保護の問題は、生命倫理学や研究倫理などでも長年議論されており、研究・臨床問わず、被験者や患者へどのように事前説明を行い承諾を得るのか、またICによって被験者や患者はどのように保護されるべきかに関する問題である。
 被験者や患者にどのように事前説明を行い、彼/彼女らを保護するのかに関わる問題である。被験者保護の問題は、生命倫理学や研究倫理などでも長年議論されており、研究・臨床問わず、被験者や患者へどのように事前説明を行い承諾を得るのか、またICによって被験者や患者はどのように保護されるべきかに関する問題である。脳神経倫理特有の問題としては、上記で述べた「偶発的所見」と関わるが、偶発的所見が見つかった際に、その結果を被験者に返却するのか否か、もし返却するのであればどの程度の異変であれば行うのかについてICの段階で事前説明を充分に行い、被験者などから承諾をえる必要がある。


====安全性====
====安全性====
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