「意識障害」の版間の差分
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<font size="+1">[http://researchmap.jp/read0192888 野崎 和彦]</font><br> | <font size="+1">[http://researchmap.jp/read0192888 野崎 和彦]</font><br> | ||
''滋賀医科大学 脳神経外科''<br> | ''滋賀医科大学 脳神経外科''<br> | ||
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2013年4月15日 原稿完成日:2014年2月21日<br> | |||
担当編集委員:[http://researchmap.jp/read0141446/ 漆谷 真](京都大学 大学院医学研究科)<br> | |||
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担当編集委員:[http://researchmap.jp/read0141446/ 漆谷 真] | |||
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[[通過症候群]](transit syndrome)とは、大脳の器質的障害をうけた意識障害患者において、意識清明に回復する過程で呈する症候群であり、[[自発性喪失]]、[[感情]]不安定、[[健忘]]などが認められる可逆的な状態である。特定の病態を指すものでなく、混乱をきたしやすい概念のため近年あまり使用されなくなっている。 | [[通過症候群]](transit syndrome)とは、大脳の器質的障害をうけた意識障害患者において、意識清明に回復する過程で呈する症候群であり、[[自発性喪失]]、[[感情]]不安定、[[健忘]]などが認められる可逆的な状態である。特定の病態を指すものでなく、混乱をきたしやすい概念のため近年あまり使用されなくなっている。 | ||
== 脳死 == | == 脳死 == | ||
[[中枢神経系]]が不可逆的損傷を受け、大脳半球機能、脳幹機能のすべてが失われている状態を指す<ref><pubmed>12512174</pubmed></ref>(Schlotzhauer and Liang, 2002)。多くの国で「[[ヒト]]の死」とされているが、近年の[[ | [[中枢神経系]]が不可逆的損傷を受け、大脳半球機能、脳幹機能のすべてが失われている状態を指す<ref><pubmed>12512174</pubmed></ref>(Schlotzhauer and Liang, 2002)。多くの国で「[[ヒト]]の死」とされているが、近年の[[wikipedia:ja:人工呼吸|人工呼吸]]器や[[wikipedia:ja:昇圧剤|昇圧剤]]などによる全身管理により[[心臓]]の拍動が維持されうるため、本邦では、「ヒトの死」の解釈を巡り社会的問題となっている。 | ||
脳死(brain death)の判定は、竹内基準に基づいて6つの項目によって脳死判定が行われ、 | 脳死(brain death)の判定は、竹内基準に基づいて6つの項目によって脳死判定が行われ、 | ||
#深昏睡(JCS-300,GCS-3) | #深昏睡(JCS-300,GCS-3) | ||
#[[自発呼吸]]消失 | #[[自発呼吸]]消失 | ||
#[[ | #[[wikipedia:ja:瞳孔|瞳孔]]固定(瞳孔径は左右とも4mm以上) | ||
#[[脳幹反射]]の消失([[対光]]・[[角膜]]・[[網様体脊髄]]・[[眼球頭]]・[[前庭]]・[[咽頭]]・[[咳反射]]) | #[[脳幹反射]]の消失([[対光]]・[[角膜]]・[[網様体脊髄]]・[[眼球頭]]・[[前庭]]・[[咽頭]]・[[咳反射]]) | ||
#平坦[[脳波]](最低4導出で30分間) | #平坦[[脳波]](最低4導出で30分間) | ||
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除外例、慎重適応例として、 | 除外例、慎重適応例として、 | ||
#小児(6歳未満) | #小児(6歳未満) | ||
#脳死と類似した状態になりうる症例(急性薬物中毒、低体温、代謝・[[ | #脳死と類似した状態になりうる症例(急性薬物中毒、低体温、代謝・[[wikipedia:ja:内分泌|内分泌]]障害など) | ||
があげられる。 | があげられる。 | ||
判定上の留意点として、 | 判定上の留意点として、 | ||
#中枢神経抑制剤、[[ | #中枢神経抑制剤、[[wikipedia:ja:筋弛緩剤|筋弛緩剤]]などの影響を除外すること | ||
#[[深部反射]]・[[皮膚表在反射]]、[[脊髄反射]]はあってもよい | #[[深部反射]]・[[皮膚表在反射]]、[[脊髄反射]]はあってもよい | ||
#補助検査、たとえば[[脳幹誘発反応]]、[[CT]]、[[脳血管撮影]]、[[脳血流測定]]などは絶対必要なものでない | #補助検査、たとえば[[脳幹誘発反応]]、[[CT]]、[[脳血管撮影]]、[[脳血流測定]]などは絶対必要なものでない | ||
ことなどがあげられている。 | ことなどがあげられている。 | ||
脳死が社会的問題となる理由のひとつに、脳死患者からの[[ | 脳死が社会的問題となる理由のひとつに、脳死患者からの[[wikipedia:ja:臓器移植|臓器移植]]がある。本邦においては、1997年10月16日に[[wikipedia:ja:臓器移植法|臓器移植法]]が施行され、[[wj:心臓|心臓]]停止後の[[wikipedia:ja:腎臓|腎臓]]と[[wikipedia:ja:角膜|角膜]]の移植に加え、脳死からの心臓、[[wikipedia:ja:肺|肺]]、[[wikipedia:ja:肝臓|肝臓]]、腎臓、[[wikipedia:ja:膵臓|膵臓]]、[[wikipedia:ja:小腸|小腸]]などの移植が法律上可能になったが、脳死での臓器提供には、本人の書面による生前の意思表示と家族の承諾が必要であった。しかし、2010年7月17日に改正臓器移植法が全面施行され、本人の意思が不明な場合も、家族の承諾があれば臓器提供できるようになり、15歳未満の方からの脳死下での臓器提供ができるようになった。生後12週未満の幼児については、法的脳死判定の対象から除外され、生後12週~6歳未満の小児については脳死判定の間隔を24時間以上としている。2012年6月には、本邦で最初の6歳未満の脳死患者からの臓器提供が行われた。 | ||
== 関連項目 == | == 関連項目 == | ||
*[[閉じ込め症候群]] | *[[閉じ込め症候群]] | ||
*[[脳幹網様体賦活系]] | *[[脳幹網様体賦活系]] | ||
== 参考文献 == | == 参考文献 == | ||
<references /> | <references /> | ||