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下丘のCICには,下位脳幹の聴覚神経核と同様,特定の周波数に応答する神経細胞が整然と配列する[[周波数局在構造]](tonotopic organization)がみられる。これは,音が蝸牛で各周波数成分に分解された後,周波数毎の投射線維を介して上位へ伝えられることによる。このことに一致して,CICではこれらの投射線維と神経細胞の[[樹状突起]] | 下丘のCICには,下位脳幹の聴覚神経核と同様,特定の周波数に応答する神経細胞が整然と配列する[[周波数局在構造]](tonotopic organization)がみられる。これは,音が蝸牛で各周波数成分に分解された後,周波数毎の投射線維を介して上位へ伝えられることによる。このことに一致して,CICではこれらの投射線維と神経細胞の[[樹状突起]]が層構造(laminae)を形成することが知られている。しかしながら,CICの神経細胞は蝸牛や下位脳幹の聴覚神経核の細胞に比べ,はるかに高い周波数選択性を示す。これには,CIC内のGABA性神経細胞を介した[[側方抑制]]機構が関わると考えられている<ref><pubmed> 16472635 </pubmed> </ref>。正確な音の[[周波数弁別]]には,このCICの神経細胞の高い周波数選択性が重要である。 | ||
下丘は,音の周波数弁別以外にも,音声言語や聴覚空間の認知を含め,様々な聴覚機能に関わる。このため,下丘には音刺激に対して特異的な応答特性を示す多様な神経細胞がみられる。例えば,片耳からの音にのみ応答するもの,音の[[wikipedia:JA:スペクトル|スペクトル]]に応答するもの,左右の耳に到達する音の時間差や音圧差に応答するもの,[[wikipedia:JA:振幅変調|振幅変調]](amplitude modulation, AM)音に応答するもの,[[wikipedia:JA:周波数変調|周波数変調]](frequency modulation, FM)音に応答するもの,さらに音の始まりや終わりに応答するものなどが知られる。これらの多様な応答特性は,下位脳幹の聴覚神経核からの入力を直接反映しているか,もしくはいくつかの神経核からの入力が修飾と統合を受けることによって新たに作られる。応答特性のよく似た神経細胞は,CICでは各周波数局在領域内でクラスター状に分布し,機能単位を形成することが知られている(nucleotopic organization)。一方,下丘へは聴覚以外の神経系からも入力があり,聴覚情報の修飾に関わる。例えば,ICXでは自己の声には応答せず,他者の声に対してのみ応答する細胞がみられ,これには体性感覚系からの抑制機構の関与が示唆されている。また,ICXやDCICへは大脳皮質から下行性の入力があり,これらは注意などによるゲート機構として働くと考えられている。 | 下丘は,音の周波数弁別以外にも,音声言語や聴覚空間の認知を含め,様々な聴覚機能に関わる。このため,下丘には音刺激に対して特異的な応答特性を示す多様な神経細胞がみられる。例えば,片耳からの音にのみ応答するもの,音の[[wikipedia:JA:スペクトル|スペクトル]]に応答するもの,左右の耳に到達する音の時間差や音圧差に応答するもの,[[wikipedia:JA:振幅変調|振幅変調]](amplitude modulation, AM)音に応答するもの,[[wikipedia:JA:周波数変調|周波数変調]](frequency modulation, FM)音に応答するもの,さらに音の始まりや終わりに応答するものなどが知られる。これらの多様な応答特性は,下位脳幹の聴覚神経核からの入力を直接反映しているか,もしくはいくつかの神経核からの入力が修飾と統合を受けることによって新たに作られる。応答特性のよく似た神経細胞は,CICでは各周波数局在領域内でクラスター状に分布し,機能単位を形成することが知られている(nucleotopic organization)。一方,下丘へは聴覚以外の神経系からも入力があり,聴覚情報の修飾に関わる。例えば,ICXでは自己の声には応答せず,他者の声に対してのみ応答する細胞がみられ,これには体性感覚系からの抑制機構の関与が示唆されている。また,ICXやDCICへは大脳皮質から下行性の入力があり,これらは注意などによるゲート機構として働くと考えられている。 |