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心身症に関連した概念として、[[心身医学]](psychosomatic medicine)がある。心身医学は、身体症状・疾患などの身体面だけではなく、その背景にある心理社会的な側面や、脳(こころ)と身体の相互作用(心身相関)をベースにして、心-身を統合的に考察する全人的医学で、[[wj:デカルト|デカルト]]流の精神・身体を明確に区別した二元論的アプローチとは相反するものである。医療としての実践においては、本邦では心療内科、精神科、一般内科をはじめとする幅広い診療科において[[取り入れ]]られている。世界的にはドイツで誕生し、その後アメリカでは精神科を中心に発展した。 | 心身症に関連した概念として、[[心身医学]](psychosomatic medicine)がある。心身医学は、身体症状・疾患などの身体面だけではなく、その背景にある心理社会的な側面や、脳(こころ)と身体の相互作用(心身相関)をベースにして、心-身を統合的に考察する全人的医学で、[[wj:デカルト|デカルト]]流の精神・身体を明確に区別した二元論的アプローチとは相反するものである。医療としての実践においては、本邦では心療内科、精神科、一般内科をはじめとする幅広い診療科において[[取り入れ]]られている。世界的にはドイツで誕生し、その後アメリカでは精神科を中心に発展した。 | ||
この心身医学の背景には、[[wj:Freud|Freud]]による精神分析理論・力動的精神医学などの、複雑で微妙な人間の心理・行動をひもとく学問、[[wj:ウォルター・B・キャノン|Cannon]]の[[緊急反応]]や[[ホメオスターシス]]の概念、[[wj:ハンス・セリエ|Selye]]のストレス学説、[[wj:イワン・パブロフ|Pavlov]]の条件反射学、[[wj:バラス・スキナー|Skinner]]の[[ | この心身医学の背景には、[[wj:Freud|Freud]]による精神分析理論・力動的精神医学などの、複雑で微妙な人間の心理・行動をひもとく学問、[[wj:ウォルター・B・キャノン|Cannon]]の[[緊急反応]]や[[ホメオスターシス]]の概念、[[wj:ハンス・セリエ|Selye]]のストレス学説、[[wj:イワン・パブロフ|Pavlov]]の条件反射学、[[wj:バラス・スキナー|Skinner]]の[[オペラント条件づけ]]といった、脳・精神生理学、学習理論、精神神経内分泌、精神神経免疫などの、こころと身体に関する幅広い学問の統合がある。その上で、この心身医学の勃興の最終的な動機となったのは、現代の医学の専門化・細[[分化]]である。専門的に細分化された身体医学は、今日の医学の発展と患者への恩恵をもたらした反面で、身体偏重・臓器中心などの考え方に偏り、「病気をみて人を診ない」という医学・医療のありかたへの反省をもたらした。そのことから、心身両面からの全人的・統合的医療の必要性が唱えられるようになった。さらに、現代のストレス社会において、人々が受ける心理社会的ストレスは日々増大しており、それに伴ったストレス関連疾患や心身症が国民的な問題になってきた、という背景もある。 | ||
==機序== | ==機序== | ||
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===情動=== | ===情動=== | ||
心理社会的ストレスの中で、最も重要であると考えられるのが情動ストレスである。ヒトのみでなく[[wj:ネズミ|ネズミ]]の実験でも、この心理・情動ストレスを用いることができ、例えば[[ | 心理社会的ストレスの中で、最も重要であると考えられるのが情動ストレスである。ヒトのみでなく[[wj:ネズミ|ネズミ]]の実験でも、この心理・情動ストレスを用いることができ、例えば[[恐怖条件づけ]]や[[コミュニケーションボックス]](隣の[[マウス]]が電撃ストレスを受けているのを観察する)などの手法は心理的なストレスの代表的なものである。こうした実験的な心理・情動ストレスでは、[[扁桃体]]や[[視床下部]]などを中心とした情動ネットワークが関わっている。 | ||
===心身症の背景となる心理・性格的要因=== | ===心身症の背景となる心理・性格的要因=== |