「学習障害」の版間の差分

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=== 教育的立場 ===
=== 教育的立場 ===
 教育的立場(文部科学省)における学習障害の定義<ref name=ref11>'''文部科学省'''<br>学習障害児に対する指導について(報告)<br>1998</ref>は次の通り。
 教育的立場(文部科学省)における学習障害の定義<ref name=ref11>'''文部科学省'''<br>[http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/03110701/005.pdf 学習障害児に対する指導について(報告)]<br>1998</ref>は次の通り。


 ''学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。学習障害は、その原因として、[[中枢神経系]]に何らかの機能障害があると推定されるが、[[視覚]]障害、[[聴覚]]障害、[[知的障害]]、[[情緒障害]]などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない。''
 ''学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。学習障害は、その原因として、[[中枢神経系]]に何らかの機能障害があると推定されるが、[[視覚]]障害、[[聴覚]]障害、[[知的障害]]、[[情緒障害]]などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない。''
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== 疫学 ==
== 疫学 ==
 国内における最も大規模な調査は平成24年に[[wj:文部科学省|文部科学省]]によって行われた調査<ref name=ref13>'''文部科学省'''<br>通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について<br>2012</ref>である。通常学級に在籍する児童・生徒53,882人を対象として、学習面で著しい困難を示す(学習障害)頻度は4.5%であった。
 国内における最も大規模な調査は平成24年に[[wj:文部科学省|文部科学省]]によって行われた調査<ref name=ref13>'''文部科学省'''<br>[http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/__icsFiles/afieldfile/2012/12/10/1328729_01.pdf 通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について]<br>2012</ref>である。通常学級に在籍する児童・生徒53,882人を対象として、学習面で著しい困難を示す(学習障害)頻度は4.5%であった。


 領域別では、「聞く」又は「話す」に著しい困難を示す頻度は1.7%(95%信頼区間1.5~1.8%)、「読む」又は「書く」に著しい困難を示す頻度は2.4%(同2.3~2.6%)「計算する」又は「推論する」に著しい困難を示す頻度は2.3%(同2.1~2.5%)である。
 領域別では、「聞く」又は「話す」に著しい困難を示す頻度は1.7%(95%信頼区間1.5~1.8%)、「読む」又は「書く」に著しい困難を示す頻度は2.4%(同2.3~2.6%)「計算する」又は「推論する」に著しい困難を示す頻度は2.3%(同2.1~2.5%)である。


 文部科学省が特別支援教育を開始する前に平成14年2月実施の調査結果<ref name=ref14>'''文部科学省'''<br>今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)<br>2003</ref>では、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」に著しい困難を示す(学習障害)頻度は4.5%であり、同等であった。領域別では、「聞く」又は「話す」に著しい困難を示す頻度が1.1%、「読む」又は「書く」に著しい困難を示す頻度が2.5%、「計算する」又は「推論する」に著しい困難を示す頻度が2.8%であった。
 文部科学省が特別支援教育を開始する前に平成14年2月実施の調査結果<ref name=ref14>'''文部科学省'''<br>[http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/018/toushin/030301.htm 今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)]<br>2003</ref>では、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」に著しい困難を示す(学習障害)頻度は4.5%であり、同等であった。領域別では、「聞く」又は「話す」に著しい困難を示す頻度が1.1%、「読む」又は「書く」に著しい困難を示す頻度が2.5%、「計算する」又は「推論する」に著しい困難を示す頻度が2.8%であった。


 米国においては、20%近い児童が程度の差はあり学習障害を疑われるという報告もある。
 米国においては、20%近い児童が程度の差はあり学習障害を疑われるという報告もある。
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 とに大別できる<ref name=ref17 />。前者の例としては、dyslexia の治療に用いられる音素の読み取り・再構成の訓練があげられる。日本においても[[発達性読み書き障害]]<ref name=ref8 />に対して、同様の手法が開発されている。後者の例としては、読み障害においては読み取る能力に問題があっても聞きとる能力には問題がないので学習内容の読み聞かせがよい支援<ref name=ref17 />となり得る。
 とに大別できる<ref name=ref17 />。前者の例としては、dyslexia の治療に用いられる音素の読み取り・再構成の訓練があげられる。日本においても[[発達性読み書き障害]]<ref name=ref8 />に対して、同様の手法が開発されている。後者の例としては、読み障害においては読み取る能力に問題があっても聞きとる能力には問題がないので学習内容の読み聞かせがよい支援<ref name=ref17 />となり得る。


 文部科学省は平成19年度より[[wj:特別支援教育|特別支援教育]]<ref name=ref18>'''文部科学省'''<br>特別支援教育の推進について(通知)<bR>2007</ref>を開始した。特別支援教育の開始にあたって[[wj:学校教育法|学校教育法]]の改訂がなされ、学習障害の子どもも特別支援教育の対象となった。校長の責務を明確化し、[[wj;特別支援コーディネータ|特別支援コーディネータ]]の配置をすすめている。また、[[wj:特別支援学校|特別支援学校]]に地域支援の役割分担を求めている。また、[[wj:日本LD学会|日本LD学会]]は[[特別支援教育士]]<ref name=ref19>[http://www.sens.or.jp/ 一般財団法人特別支援教育士資格認定協会]</ref>の資格を提唱している。
 文部科学省は平成19年度より[[wj:特別支援教育|特別支援教育]]<ref name=ref18>'''文部科学省'''<br>[http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/07050101/001.pdf 特別支援教育の推進について(通知)]<bR>2007</ref>を開始した。特別支援教育の開始にあたって[[wj:学校教育法|学校教育法]]の改訂がなされ、学習障害の子どもも特別支援教育の対象となった。校長の責務を明確化し、[[wj;特別支援コーディネータ|特別支援コーディネータ]]の配置をすすめている。また、[[wj:特別支援学校|特別支援学校]]に地域支援の役割分担を求めている。また、[[wj:日本LD学会|日本LD学会]]は[[特別支援教育士]]<ref name=ref19>[http://www.sens.or.jp/ 一般財団法人特別支援教育士資格認定協会]</ref>の資格を提唱している。


 学習障害に対して有用な薬物療法は知られていない。注意欠陥・多動性障害などの合併障害に対して薬物療法が行われている。
 学習障害に対して有用な薬物療法は知られていない。注意欠陥・多動性障害などの合併障害に対して薬物療法が行われている。

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