「誘発電位および誘発脳磁界」の版間の差分

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'''誘発電位(誘発脳磁界)の波形'''
'''誘発電位(誘発脳磁界)の波形'''


誘発電位の波形にはいくつかの頂点があり、各頂点の名称(成分)は波形の極性と潜時で表す。例えば、極性が陰性で潜時が30 msec ならN30、極性が陽性で潜時が300msecならP300という記載になる。また頂点が出現する順と極性によって記載する場合もあり、この場合は最初の陰性の頂点をN1、3番目の陽性の頂点ならP3と記載する。しかしながら、物理刺激の種類や個体差、年齢など様々な要因により波形は変化するため誘発電位の名称に関しては不統一のこともあるため注意が必要である。誘発脳磁界の場合は誘発電位の名称の最後に”m”をつける。例えば誘発電位のN30は誘発脳磁界ではN30mと記載する。この誘発電位波形の頂点の潜時によって短潜時(short latency)、中潜時(middle latency)、長潜時(long latency)反応と分類されることもある。一般的に、短潜時反応は脳幹や間脳などで発生する電位を反映しており、注意や[[睡眠]]、薬物などの影響を受けにくいが、長潜時反応は課題や意識の状態、刺激間時間間隔(inter-stimulus interval)などの影響を受けやすい[5]。デジタル記録する場合は短潜時反応や周期の短い反応を記録したい場合はサンプリング周波数を高く設定することに留意する必要がある。
誘発電位の波形にはいくつかの頂点があり、各頂点の名称(成分)は波形の極性と潜時で表す。例えば、極性が陰性で潜時が30 ms ならN30、極性が陽性で潜時が300msならP300という記載になる。また頂点が出現する順と極性によって記載する場合もあり、この場合は最初の陰性の頂点をN1、3番目の陽性の頂点ならP3と記載する。しかしながら、物理刺激の種類や個体差、年齢など様々な要因により波形は変化するため誘発電位の名称に関しては不統一のこともあるため注意が必要である。誘発脳磁界の場合は誘発電位の名称の最後に”m”をつける。例えば誘発電位のN30は誘発脳磁界ではN30mと記載する。この誘発電位波形の頂点の潜時によって短潜時(short latency)、中潜時(middle latency)、長潜時(long latency)反応と分類されることもある。一般的に、短潜時反応は脳幹や間脳などで発生する電位を反映しており、注意や[[睡眠]]、薬物などの影響を受けにくいが、長潜時反応は課題や意識の状態、刺激間時間間隔(inter-stimulus interval)などの影響を受けやすい[5]。デジタル記録する場合は短潜時反応や周期の短い反応を記録したい場合はサンプリング周波数を高く設定することに留意する必要がある。




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'''体性感覚誘発電位 (somatosensory evoked potential: SEP)'''
'''体性感覚誘発電位 (somatosensory evoked potential: SEP)'''


体性感覚誘発電位(SEP)は上肢や下肢の皮膚に電気刺激や機械的刺激を与えた際に誘発される電位である。潜時によって短潜時体性感覚誘発電位(< 40 msec)[7]、長潜時体性感覚誘発電位(40 msec ~ 250 msec)[8]と分類することができる。また脳磁法においても似た反応が得られることが知られている[9]。特に短潜時体性感覚誘発電位は、[[多発性硬化症]]など脱髄疾患、脳血管障害、脊髄後索の障害疾患等の診断に有効である[10]。
体性感覚誘発電位(SEP)は上肢や下肢の皮膚に電気刺激や機械的刺激を与えた際に誘発される電位である。潜時によって短潜時体性感覚誘発電位(< 40 ms)[7]、長潜時体性感覚誘発電位(40 ms ~ 250 ms)[8]と分類することができる。また脳磁法においても似た反応が得られることが知られている[9]。特に短潜時体性感覚誘発電位は、[[多発性硬化症]]など脱髄疾患、脳血管障害、脊髄後索の障害疾患等の診断に有効である[10]。




'''聴覚誘発電位 (auditory evoked potential: AEP)'''
'''聴覚誘発電位 (auditory evoked potential: AEP)'''


聴覚誘発電位は音の提示により誘発されその潜時によって短潜時聴覚誘発電位(< 10 msec)、中潜時聴覚誘発電位(10 ~ 50 msec)、長潜時聴覚誘発電位(50 msec <)と分類することができる[11]。短潜時聴覚誘発電位は聴性脳幹反応(Auditory Brainstem Response: ABR)とも呼ばれており、新生児聴覚スクリーニングや他覚的聴力検査、脳死の判定など幅広く臨床応用されている。ただ聴性脳幹反応はクリック音を用いて計測されるため周波数毎の聴力を計測するには不向きである。各周波数の聴力を客観的に検査したい場合は、振幅変調音を刺激音として用いる聴性定常反応(Auditory steady state response)を記録する[12, 13]。
聴覚誘発電位は音の提示により誘発されその潜時によって短潜時聴覚誘発電位(< 10 ms)、中潜時聴覚誘発電位(10 ~ 50 ms)、長潜時聴覚誘発電位(50 ms <)と分類することができる[11]。短潜時聴覚誘発電位は聴性脳幹反応(Auditory Brainstem Response: ABR)とも呼ばれており、新生児聴覚スクリーニングや他覚的聴力検査、脳死の判定など幅広く臨床応用されている。ただ聴性脳幹反応はクリック音を用いて計測されるため周波数毎の聴力を計測するには不向きである。各周波数の聴力を客観的に検査したい場合は、振幅変調音を刺激音として用いる聴性定常反応(Auditory steady state response)を記録する[12, 13]。




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