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40~60歳に、多くは小脳性運動失調から発症し、次第に自律神経症状や[[錐体外路症状]]、錐体路症状を伴う病型をMSA-Cと呼ぶ。新潟大学の剖検例では、MSA-Cにパーキンソニズムを伴うのは74%であった。また、尿失禁や排尿困難、起立性低血圧や失神、男性では陰萎などの自律神経症状が発現する中央値は発症から2.5年であり、2.5年より早期から自律神経障害が出現すると、その後の進行が速かった。 | |||
多くはパーキンソン症状から発症し、次第に自律神経症状を伴う病型をMSA-Pと呼ぶ。小脳性運動失調症状はパーキンソン症状にマスクされやすく、MSA-Pが小脳性運動失調を伴う頻度は、新潟大学の検討では44%であった。MSA-Pの初期には、パーキンソン病との鑑別が困難な症例もある。パーキンソン病に比べて、[[レボドパ]]補充療法の効果が乏しく、進行が速く、症状の左右差や静止時振戦がまれであることが特徴とされるが、MSA-Pでもパーキンソン症状の左右差が明らかな例や、典型的な静止時振戦を示す例、レボドパも無効ではなく、改善を示す例がある。進行期になると、多系統萎縮症でも[[大脳皮質]]の著明な萎縮や、進行性の認知障害が認められる。 | |||
多系統萎縮症の全経過は約9年で、[[ | 多系統萎縮症の全経過は約9年で、[[wj::誤嚥性肺炎|誤嚥性肺炎]]や[[wj::敗血症|敗血症]]などの[[wj::感染症|感染症]]が死因となることが多いが、夜間の[[突然死]]も重要である。通常の低音のいびきとは異なる高調の喉頭喘鳴は、[[声帯外転麻痺]]を示唆する症候とされ、声帯外転麻痺による気道閉塞が突然死の原因と考えられてきた。しかし、麻酔薬により[[睡眠]]状態を再現して喉頭内視鏡検査を行うと、気道狭窄が生じている部位は[[wj:声帯|声帯]]に限らず、[[wj:被裂部|被裂部]]、[[wj::喉頭蓋|喉頭蓋]]、[[wj::舌根部|舌根部]]、[[wj::軟口蓋|軟口蓋]]など広範囲に及び、また吸気時に喉頭蓋が気管に引き込まれ、気道を閉塞する[[wikipedia:floppy epiglottis|floppy epiglottis]]と呼ばれる病態も合併することが明らかになった。MSAの睡眠呼吸障害に対する治療法として、マスクを用いた[[持続陽圧換気]](continuous positive airway pressure: CPAP)を不用意に行うと、floppy epiglottisでは気道狭窄が悪化する[[恐れ]]があり、注意を要する。 | ||
多系統萎縮症の睡眠呼吸障害に対して、CPAP装着や気管切開などを行っても、突然死を防げない症例が存在する。[[中枢性無呼吸]]や致死性[[ | 多系統萎縮症の睡眠呼吸障害に対して、CPAP装着や気管切開などを行っても、突然死を防げない症例が存在する。[[中枢性無呼吸]]や致死性[[wj::不整脈|不整脈]]などが原因と考えられ、気管切開による人工呼吸管理が必要になる。 | ||
== 診断 == | == 診断 == |