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| 小泉修一[https://researchmap.jp/shuuichikoizumi/]
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| 山梨大学医学部薬理学
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| 英語名:neuron-glia interaction
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| {{box|text=これまでグリア細胞[]は神経細胞を支えるだけの細胞と考えられていたが、化学伝達物質等の液性因子、物理的接触因子等を介して、神経細胞と積極的にコミュニケーションを行っていることが明らかとなってきた。この神経・グリア連関により、シナプス伝達、神経細胞の興奮性、神経ネットワークの活動性・構築及び神経細胞の生死の制御に関与している。従って、本機能は脳の生理機能、また本機能の変調は、種々の脳疾患と強く関連していると考えられる。}}
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| ==歴史==
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| グリア細胞は、脳を構成する細胞数としては神経細胞よりも多い。しかし、グリア細胞は電気生理学的に非興奮性の細胞であるため、長年脳研究の表舞台に登場することはなかった。しかし、他の指標、例えば細胞内Ca2+濃度変動を指標にすると、非常に高い興奮性(Ca2+興奮性)を呈する。グリア細胞のCa2+興奮性は「グリア伝達物質」[]の情報に変換され、細胞間に情報が伝達される。特に最大数を占めるアストロサイト(星状神経膠細胞)[]は、その細かい突起でシナプスを取り巻く構造を呈し、シナプス伝達に強く影響すると考えられている。これまでの神経細胞のみが形成するシナプスに加え、このグリア細胞を加えた化学シナプスは、三者間シナプス(トライパータイトシナプス)[]と呼ばれ、シナプス伝達の基本単位と成っている可能性が示唆されている。また、グリア細胞は、シナプス構造や機能にも大きな影響を与えている。従って、グリア細胞は、脳の生理機能の制御に重要であるだけでなく、その機能異常が種々脳疾患と関連するものとして、注目を集めている。
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| ==神経・グリア連関の実際==
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| ===グリア伝達物質による神経・グリア連関===
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| ====アストロサイト====
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| =====グルタミン酸 (glutamate) =====
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| アストロサイトは、シナプスを取り構造を有することから、シナプスとの機能連関が最も強く研究されているグリア細胞である。グリア伝達物質による神経・グリア連関研究としては、海馬培養神経-グリア細胞を用いたAraque<ref><pubmed>10322493</pubmed></ref>らの研究が最初である。アストロサイトは刺激依存的にglutamateを放出し、これが近傍神経に作用して樹状突起シナプス外N-methyl-D-aspartate (NMDA)受容体を介したslow-inward current(SIC)誘発、さらに代謝型glutamate受容体 (mGluR)を介した前シナプス性の抑制を引き起こす 。これは、今日のグリア-神経連関の契機となった研究であると言える。その後の多くの研究が続き、グリア伝達物質glutamateを介したアストロサイトは、脳部位及び制御する神経細胞の違い等により、非常に複雑なシナプス伝達制御様式を呈することが明らかとなった。例えば、海馬Schaffer側枝刺激によりCA1領域アストロサイトは興奮してglutamateを放出するが、このglutamateはCA1錐体細胞の後シナプスに存在するNNMDA受容体(NR2B含有)に作用して、興奮性のSICを誘導する。これは、隣接した錐体神経発火の同期に関与し、CA1神経ネットワーク全体の興奮性制御に強く影響する12)。一方、貫通線維を刺激した場合には、歯状回(DG)アストロサイトから放出されたglutamateは、DG顆粒細胞の前シナプスに存在するNMDA受容体に作用し、興奮性シナプス伝達を亢進させる13)。さらにCA3-CA1シナプスでは、前シナプス性 mGluR(グループI)を介した興奮性シナプス伝達促進作用14)が認められている。抑制性シナプス伝達に対しては、CA1アストロサイトは前シナプス性 mGluR (グループII/III)を介して、そのシナプス伝達を抑制する15)。グリア伝達物質の初期の総説に、glutamate興奮性の制御、ATP抑制性の制御、のような記載がされているものがあるが、glutamateという1つのグリア伝達物質だけに注目しても、その制御様式は非常に多義にわたる。
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