「DARPP-32」の版間の差分

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DARPP-32は、ドパミン神経の投射を受ける線条体組織において、PKAによりリン酸化されるタンパク質をスクリーニングすることにより、1983年にPaul Greengard博士らにより発見された<ref><pubmed> 6296685 </pubmed></ref>。電気泳動(SDS-PAGE)において32 kDaの分子量であったため、“ドパミンおよび[[cyclic AMP]]によりリン酸化が制御される32 kDaのタンパク質”としてDARAPP-32と名付けられた。Greengard博士は、DARPP-32を中心とするドパミン情報伝達の解明により、2000年のノーベル生理・医学賞を受賞している。
DARPP-32は、ドパミン神経の投射を受ける線条体組織において、PKAによりリン酸化されるタンパク質をスクリーニングすることにより、1983年にPaul Greengard博士らにより発見された<ref><pubmed> 6296685 </pubmed></ref>。電気泳動(SDS-PAGE)において32 kDaの分子量であったため、“ドパミンおよび[[cyclic AMP]]によりリン酸化が制御される32 kDaのタンパク質”としてDARAPP-32と名付けられた。Greengard博士は、DARPP-32を中心とするドパミン情報伝達の解明により、2000年のノーベル生理・医学賞を受賞している。


• 構造
• 構造  
[[ファイル:Fig1 DARPP-32 構造.jpg|サムネイル|図1 DARPP-32の構造とリン酸化サイト マウスのDARPP-32アミノ酸配列とリン酸化サイトを上段に示す。Thr34がリン酸化されるとPP1活性を抑制し、Thr75がリン酸化されるとPKA活性を抑制する。また、P-Ser97は核外移行シグナル(NES)として機能する。下段には、ヒトのDARPP-32アミノ酸配列とt-DARPPアミノ酸配列を示す。]]
194-205アミノ酸(マウス 194; [[ラット]] 205; [[ヒト]] 204)より構成される酸性タンパク質である。リン酸化により機能が制御されるタンパク質であり、4つのリン酸化サイト[Thr34(PKA)、Thr75 ([[Cdk5]])、Ser97 (CK2)、Ser130 (CK1)(マウスアミノ酸配列による)]の機能的意義が明らかにされている<ref name=ref2 />。N末端の7-11アミノ酸配列(KKIQF)はPP1触媒サブユニット(PP1c)結合モチーフとなっており、PP1cとの結合に重要である。さらに、リン酸化Thr34(P-Thr34)を含む領域は、Thr34がリン酸化されるとPP1c活性部位と結合してPP1c活性を抑制する<ref><pubmed> 9651542 </pubmed></ref>。Ser97近傍の103-111アミノ酸配列は核外移行シグナル(nuclear export signal, NES)となっており、Ser97がリン酸化されたDARPP-32はchromosome region maintenance 1 protein(CRM1)と結合して核外に移行する<ref name=ref3><pubmed> 18496528 </pubmed></ref>。
194-205アミノ酸(マウス 194; [[ラット]] 205; [[ヒト]] 204)より構成される酸性タンパク質である。リン酸化により機能が制御されるタンパク質であり、4つのリン酸化サイト[Thr34(PKA)、Thr75 ([[Cdk5]])、Ser97 (CK2)、Ser130 (CK1)(マウスアミノ酸配列による)]の機能的意義が明らかにされている<ref name=ref2 />。N末端の7-11アミノ酸配列(KKIQF)はPP1触媒サブユニット(PP1c)結合モチーフとなっており、PP1cとの結合に重要である。さらに、リン酸化Thr34(P-Thr34)を含む領域は、Thr34がリン酸化されるとPP1c活性部位と結合してPP1c活性を抑制する<ref><pubmed> 9651542 </pubmed></ref>。Ser97近傍の103-111アミノ酸配列は核外移行シグナル(nuclear export signal, NES)となっており、Ser97がリン酸化されたDARPP-32はchromosome region maintenance 1 protein(CRM1)と結合して核外に移行する<ref name=ref3><pubmed> 18496528 </pubmed></ref>。


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