「グルタミン酸仮説」の版間の差分
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<font size="+1">[http://researchmap.jp/masanariitokawa 糸川 昌成]</font><br> | <font size="+1">[http://researchmap.jp/masanariitokawa 糸川 昌成]</font><br> | ||
''東京都医学総合研究所''<br> | ''東京都医学総合研究所''<br> | ||
DOI:<selfdoi /> | DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2017年1月19日 原稿完成日:2017年月日<br> | ||
担当編集委員:[http://researchmap.jp/tadafumikato 加藤 忠史](国立研究開発法人理化学研究所 脳科学総合研究センター)<br> | 担当編集委員:[http://researchmap.jp/tadafumikato 加藤 忠史](国立研究開発法人理化学研究所 脳科学総合研究センター)<br> | ||
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==歴史、根拠== | ==歴史、根拠== | ||
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1つは、多量体を構成して陽[[イオンチャネル]]を形成する[[イオンチャネル型]]であり、もうひとつはGタンパク質<ref group="注">'''[[Gタンパク質]]''':[[GTP]]([[グアノシン3リン酸]])結合タンパク質のことで、受容体にはGタンパク質と共役するタイプとしないタイプがある。神経伝達物質が[[Gタンパク質共役型受容体]]と結合すると、Gタンパク質と共役してGTPの結合に伴った細胞内シグナル伝達機能が変化する。</ref>と共役する代謝調節型である。 | 1つは、多量体を構成して陽[[イオンチャネル]]を形成する[[イオンチャネル型]]であり、もうひとつはGタンパク質<ref group="注">'''[[Gタンパク質]]''':[[GTP]]([[グアノシン3リン酸]])結合タンパク質のことで、受容体にはGタンパク質と共役するタイプとしないタイプがある。神経伝達物質が[[Gタンパク質共役型受容体]]と結合すると、Gタンパク質と共役してGTPの結合に伴った細胞内シグナル伝達機能が変化する。</ref>と共役する代謝調節型である。 | ||
イオンチャネル型は、さらにアゴニストの種類によって、[[AMPA型グルタミン酸受容体|AMPA]](α-amino-3-hydroxy-5-methyl-4-isoxazolepropionic acid)型、[[カイニン酸型グルタミン酸受容体|カイニン酸型]]、[[NMDA型グルタミン酸受容体|NMDA型]]の3つに分けられる。グルタミン酸受容体を候補遺伝子とした関連研究が多数行われ、有意な関連を示す[[SNP]] | イオンチャネル型は、さらにアゴニストの種類によって、[[AMPA型グルタミン酸受容体|AMPA]](α-amino-3-hydroxy-5-methyl-4-isoxazolepropionic acid)型、[[カイニン酸型グルタミン酸受容体|カイニン酸型]]、[[NMDA型グルタミン酸受容体|NMDA型]]の3つに分けられる。グルタミン酸受容体を候補遺伝子とした関連研究が多数行われ、有意な関連を示す[[SNP]]も報告された。 | ||
==グルタミン酸神経伝達に影響する可能性のある遺伝子の解析== | ==グルタミン酸神経伝達に影響する可能性のある遺伝子の解析== | ||
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=== カルシニューリン === | === カルシニューリン === | ||
これまでのポジショナルクローニングによって絞り込まれた遺伝子と異なり、遺伝子改変動物の行動解析から[[カルシニューリン]] ([[calcineurin]], | これまでのポジショナルクローニングによって絞り込まれた遺伝子と異なり、遺伝子改変動物の行動解析から[[カルシニューリン]] ([[calcineurin]], CN)が統合失調症との関連が示唆された。Miyakawaらは、CNのノックアウトマウスで、[[自発運動量]]の増大、[[社会性行動]]の減少、PPIの障害など統合失調症関連の行動異常を見出した<ref name=ref34><pubmed>12851457</pubmed></ref>。 | ||
その結果に基づいて、ヒトDNAの遺伝子解析を行って統合失調症との関連が示された<ref name=ref35><pubmed>12851458</pubmed></ref>。興味深いことに、CNの4つのサブユニット、CN結合タンパク質7つ、機能的にCNと共役するタンパク質5つが、これまでに連鎖が示唆された染色体座位にそれぞれ一致して存在しているという<ref name=ref35 />。それらの中で、多施設から連鎖の報告が出ている染色体領域にのっているサブユニット遺伝子[[PPP3R1]](calcineurin B subunit、染色体2p14)、[[PPP3CA]](calcineurin A・subunit、染色体4q24)、[[PPP3CC]](calcineurin A・subunit、染色体8q21.3)と結合タンパク質遺伝子[[FKBP5]]([[FK506 binding protein 5]]、染色体6p21.31)について12例の患者を解析し、同定したSNPについてアメリカ人の210組のトリオ(罹患者とその両親)を用いてTDTを行った結果、PPP3CCで有意な関連が認められた<ref name=ref35 />。PPP3CCの5つのSNPからなるハプロタイプは、南アフリカの200組のトリオでも関連の傾向が認められた。 | |||
我々もCN関連遺伝子を日本人統合失調症で網羅的に調べており、現在までに染色体8p上のCN関連遺伝子の関与を確認している(未発表)。CNのノックアウトマウスでは、NMDA型グルタミン酸受容体を介した[[海馬]]の[[長期抑圧現象]]が低下しており<ref name=ref36><pubmed>11733061</pubmed></ref>、CNもグルタミン酸神経系に機能的関連が示唆されている。 | |||
==参考文献== | ==参考文献== | ||
<references /> | <references /> | ||