「記憶想起」の版間の差分

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=== 消去学習 ===
=== 消去学習 ===
Extinction learning
Extinction learning
 
[[ファイル:記憶想起図3.png|サムネイル|300px|'''図3:消去学習'''<br> 長時間や繰返しのCS提示などにより、条件刺激に対する応答性が抑えられる。<br>  '''A.''' 復元: 消去学習後に弱いUSのみ与え、再度条件付けされたCSを提示すると再び高い応答性を示すようになる。 <br> '''B.''' 更新: 消去学習成立後に再度CSを提示すると、その後のCS提示に対して恐怖反応が再生される。<br> '''C.''' 自発的回復: 消去学習後、間隔(1ヶ月~)を置いてから再度CSを提示すると、再び元の高い応答性を示すようになる。 <br>]]
 消去学習とは、恐怖条件づけにより恐怖反応を誘発するようになった動物に対し、[[条件刺激]](CS;チャンバー、音、匂いなど)を繰返し与える、もしくは長時間再曝露することにより条件づけされた[[恐怖反応]]の表出([[すくみ反応]]など)が減弱する現象を指す。
 消去学習とは、恐怖条件づけにより恐怖反応を誘発するようになった動物に対し、[[条件刺激]](CS;チャンバー、音、匂いなど)を繰返し与える、もしくは長時間再曝露することにより条件づけされた[[恐怖反応]]の表出([[すくみ反応]]など)が減弱する現象を指す。


 重要なのは、恐怖記憶自体が消去されるのではなく、恐怖体験と恐怖条件づけに用いた条件刺激とのあいだに関連性がないことを改めて新規に学習するプロセスということである。つまり消去学習とは、想起した記憶とは相反する記憶を形成するプロセスであり、再固定化阻害によって引き起こされる恐怖記憶の消失とは異なり、消去学習後も、元の恐怖記憶自体は脳内に保存されているが、消去学習によって抑制されている状態となっている。したがって、消去学習により抑制された恐怖反応は、他の感覚刺激などが引き金となり再び回復し得ることが知られている。これまでに観察されている恐怖反応が回復する現象として、次のことが報告されている<ref name=ref14><pubmed>17160066</pubmed></ref><ref name=ref15><pubmed>25991441</pubmed></ref>(図3)。
 重要なのは、恐怖記憶自体が消去されるのではなく、恐怖体験と恐怖条件づけに用いた条件刺激とのあいだに関連性がないことを改めて新規に学習するプロセスということである。つまり消去学習とは、想起した記憶とは相反する記憶を形成するプロセスであり、再固定化阻害によって引き起こされる恐怖記憶の消失とは異なり、消去学習後も、元の恐怖記憶自体は脳内に保存されているが、消去学習によって抑制されている状態となっている。したがって、消去学習により抑制された恐怖反応は、他の感覚刺激などが引き金となり再び回復し得ることが知られている。これまでに観察されている恐怖反応が回復する現象として、次のことが報告されている<ref name=ref14><pubmed>17160066</pubmed></ref><ref name=ref15><pubmed>25991441</pubmed></ref>('''図3''')。


* [[復元]] ([[reinstatement]]): 消去学習成立後に、通常では恐怖条件づけが成立しないような弱い[[嫌悪刺激]]([[無条件刺激]](US)の再提示など)を与えることで、条件づけ刺激(CS‐US pairing)誘発性恐怖反応が再び現れる。
* [[復元]] ([[reinstatement]]): 消去学習成立後に、通常では恐怖条件づけが成立しないような弱い[[嫌悪刺激]]([[無条件刺激]](US)の再提示など)を与えることで、条件づけ刺激(CS‐US pairing)誘発性恐怖反応が再び現れる。

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