「遺伝子多型」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
編集の要約なし
44行目: 44行目:
 とはいえ、エクソームシークエンスと比べるとSNPアレイは非遺伝子領域をきちんとカバーするし、WGSと比べるとSNPアレイはいまでもかなり安価である。CNVについては、結局SNPと連鎖不平衡にあるという評価であり、全ゲノムCNVを調べなくとも、GWASが検出した有意SNP周囲のCNVを探索(ファインマッピング)すれば足りそうだ。さらに、[[LDスコア回帰法]]<ref><pubmed>25642630</pubmed></ref>20のような最新の手法においては、たとえWGSの数千万バリアントの解析結果があったとしても、そこからわざわざ100万のtagSNPに結果を減らした方が遺伝統計学的に安定した妥当な結果を得られることが示されたり、あるいはWGSを元にしたシミュレーション解析によれば、WGS解析はSNPアレイを用いたGWASに対して、多因子形質マッピングにおけるアドバンテージはほとんどないとの推定がなされている(imputationをした場合<ref><pubmed>26323059</pubmed></ref>21)。遺伝統計学・量的遺伝学の界隈においては、SNPの役割はいまだ少しも減るところがない。
 とはいえ、エクソームシークエンスと比べるとSNPアレイは非遺伝子領域をきちんとカバーするし、WGSと比べるとSNPアレイはいまでもかなり安価である。CNVについては、結局SNPと連鎖不平衡にあるという評価であり、全ゲノムCNVを調べなくとも、GWASが検出した有意SNP周囲のCNVを探索(ファインマッピング)すれば足りそうだ。さらに、[[LDスコア回帰法]]<ref><pubmed>25642630</pubmed></ref>20のような最新の手法においては、たとえWGSの数千万バリアントの解析結果があったとしても、そこからわざわざ100万のtagSNPに結果を減らした方が遺伝統計学的に安定した妥当な結果を得られることが示されたり、あるいはWGSを元にしたシミュレーション解析によれば、WGS解析はSNPアレイを用いたGWASに対して、多因子形質マッピングにおけるアドバンテージはほとんどないとの推定がなされている(imputationをした場合<ref><pubmed>26323059</pubmed></ref>21)。遺伝統計学・量的遺伝学の界隈においては、SNPの役割はいまだ少しも減るところがない。


 集団における頻度によって遺伝的バリアントを分類する別の方法としては、頻度5%以上を[[コモンバリアント]]common variant、0.5または1-5%を[[頻度の低いバリアント]]low frequency variant、0.5%または1%未満のものを[[レアバリアント]]rare variantと呼ぶ分類がある。これは、適応進化にもとづく選択圧によって頻度分類ごとに疾患リスク効果が異なる(レアバリアントのリスク効果は全体的に高い)ことと、遺伝的関連解析においては頻度とリスク効果によって検出力が異なることに着目した分類であり、現代ではこちらの分類が主流となっているだろう。
 集団における頻度によって遺伝的バリアントを分類する別の方法としては、頻度5%以上を[[コモンバリアント]] common variant、0.5または1-5%を[[頻度の低いバリアント]] low frequency variant、0.5%または1%未満のものを[[レアバリアント]] rare variantと呼ぶ分類がある。これは、適応進化にもとづく選択圧によって頻度分類ごとに疾患リスク効果が異なる(レアバリアントのリスク効果は全体的に高い)ことと、遺伝的関連解析においては頻度とリスク効果によって検出力が異なることに着目した分類であり、現代ではこちらの分類が主流となっているだろう。


== 用語の確認 ==
== 用語の確認 ==

案内メニュー