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Junko kurahashi (トーク | 投稿記録) 細 (→疾患との関わり) |
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''鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科''<br> | ''鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科''<br> | ||
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:年月日 原稿完成日:<br> | DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:年月日 原稿完成日:<br> | ||
担当編集委員:<br> | 担当編集委員:[https://researchmap.jp/wadancnp 和田圭司 (]国立精神・神経医療研究センター トランスレーショナル・メディカルセンター)<br> | ||
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英語名:cAMP responsive element binding protein | 英語名:cAMP responsive element binding protein | ||
略称: CREB | |||
{{box|text= CREBは転写制御因子のひとつであり、ゲノム上の遺伝子転写制御領域に存在するcAMP応答配列(CRE) | {{box|text= CREBは転写制御因子のひとつであり、ゲノム上の遺伝子転写制御領域に存在するcAMP応答配列(CRE)を介した転写活性化に関わる中心的な核タンパク質である。CREBは生体のほとんどの細胞で恒常的に発現しており、細胞の増殖や分化、生存を含む多様な細胞応答に関与している。CREBの転写活性はさまざまなセカンドメッセンジャー経路を介して制御されており、神経細胞においては名前の由来であるサイクリックAMP依存的な活性調節に加えて、シナプス活性化にともなう細胞内カルシウム濃度上昇や神経栄養因子による受容体活性化などがCREB活性化の主要な因子として働いている。CREBの生理機能は神経系においてよく解析されており、広範な生物種において長期記憶の形成に必要であることが明らかになっている。また、記憶機能以外にも、アルコールや薬物などへの中毒、さらには鬱などの精神症状などの疾患プロセスにもCREBが関与していることが示唆されている。}} | ||
== CREBとは == | == CREBとは == | ||
脳において神経活動依存的な[[遺伝子]]発現は神経[[分化]]や長期[[シナプス可塑性]]、[[記憶]]の[[記憶固定化|固定化]]・更新などさまざまな局面で重要な役割を果たしている<ref><pubmed>11691980</pubmed></ref>。神経細胞は[[神経伝達物質]]や[[細胞外シグナル分子]]を受け取ると、[[細胞内シグナル経路]]を介して[[mRNA]][[wj:転写 (生物学)|転写]]を活性化させ、新たな遺伝子発現プログラムを開始する。このとき、[[wj:細胞核|核]]において細胞内シグナルを受け取る[[転写制御因子]]の一つが[[サイクリックAMP]]応答配列結合タンパク質、またはCREB(cAMP-responsive element binding protein)である<ref name=Altarejos2011><pubmed> 21346730 </pubmed></ref><ref name=Mayr2001><pubmed> 11483993 </pubmed></ref><ref name= Shaywitz1999><pubmed> 10872467 </pubmed></ref>。 | |||
CREBは生体の様々な種類の細胞に広く発現しており、[[免疫]]細胞の分化・生存や[[wj:肝臓|肝臓]]細胞における[[糖新生]]などに関わることが知られるが<ref name=Altarejos2011/><ref name=Wen2010><pubmed>21084670</pubmed></ref>、神経系においては発生期の神経分化・生存および成熟神経細胞における多様な生理機能が明らかになっている<ref name=Barco2002><pubmed>11893339</pubmed></ref>。 | |||
CREBは核タンパク質であり、常に核内に存在していて一部は[[ゲノム]] | CREBは核タンパク質であり、常に核内に存在していて一部は[[ゲノム]]上に存在する[[cAMP応答配列]]CRE (cAMP-responsive element)に結合しているが、その転写促進活性はリン酸化によって厳密に制御されている<ref name= Shaywitz1999/>。CREBはもともと神経内分泌モデル細胞である[[PC12細胞]]において、細胞内cAMP濃度の上昇にともなう転写活性化に関わるDNA結合タンパク質として同定され、cAMP依存的タンパク質キナーゼ[[PKA]]によるリン酸化がその転写活性調節に重要であることが示されたが<ref><pubmed>2573431</pubmed></ref>、その後の研究により多様な細胞内シグナル伝達経路の複数の[[タンパク質リン酸化酵素]]によって調節されていることが明らかになった。<ref><pubmed>898022</pubmed></ref><ref><pubmed>1646483</pubmed></ref><ref><pubmed> 1512884 </pubmed></ref> | ||
== 構造 == | == 構造 == |