「Transient receptor potentialチャネル」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
114行目: 114行目:
 TRPV1は海馬錐体ニューロン、[[歯状回]]、[[青斑核]]、視床下部、黒質、小脳、大脳皮質などに発現しており、TRPV2も広く脳で発現している。また、TRPV3のmRNAは、大脳皮質、海馬、視床、線条体、小脳、TRPV4のmRNAは、視床下部、小脳、大脳基底核、海馬錐体ニューロンで検出されている。さらに、アストロサイトでは、TRPV1、TRPV2、TRPV3、TRPV4が発現している。
 TRPV1は海馬錐体ニューロン、[[歯状回]]、[[青斑核]]、視床下部、黒質、小脳、大脳皮質などに発現しており、TRPV2も広く脳で発現している。また、TRPV3のmRNAは、大脳皮質、海馬、視床、線条体、小脳、TRPV4のmRNAは、視床下部、小脳、大脳基底核、海馬錐体ニューロンで検出されている。さらに、アストロサイトでは、TRPV1、TRPV2、TRPV3、TRPV4が発現している。


 TRPV1は神経活動やシナプス可塑性の制御において重要な役割を担っており、TRPV1の活性化は、海馬介在ニューロンにおける興奮性シナプスの[[長期抑圧]](long term depression: LTD)の引き金となる。さらに、TRPV1は脳において興奮伝達を促進し、[[長期増強]](long term potentiation: LTP)を誘起する。体温上昇は発汗の増加が起こるため、[[バソプレシン]]により[[腎臓]]での水の[[再吸収]]を増加させることにより[[利尿]]を妨げることで体内の水分を調整している。この視床下部のバソプレシン産生ニューロンの温度感受性は、TRPV1の温度感受性が寄与している。
 TRPV1は神経活動やシナプス可塑性の制御において重要な役割を担っており、TRPV1の活性化は、海馬介在ニューロンにおける興奮性シナプスの[[長期抑圧]](long term depression: LTD)の引き金となる(ref)。さらに、TRPV1は脳において興奮伝達を促進し、[[長期増強]](long term potentiation: LTP)を誘起する(ref)。


 [[内側側頭葉てんかん]]の患者の大脳皮質や海馬では、TRPV1の発現が著しく上昇していることから、TRPV1はてんかんに関連している可能性が示唆されている。
 体温上昇は発汗の増加が起こるため、[[バソプレシン]]により[[腎臓]]での水の[[再吸収]]を増加させることにより[[利尿]]を妨げることで体内の水分を調整している(ref)。この視床下部のバソプレシン産生ニューロンの温度感受性は、TRPV1の温度感受性が寄与している。


 [[行動試験]]では、TRPV1[[アゴニスト]]の投与は[[不安]]惹起作用があるが、TRPV1[[アンタゴニスト]]は[[抗不安作用]]があったことから、TRPV1の活性化は、不安惹起作用を引き起こす可能性が示唆されている。
 [[内側側頭葉てんかん]]の患者の大脳皮質や海馬では、TRPV1の発現が著しく上昇していることから、TRPV1はてんかんに関連している可能性が示唆されている(ref)。
 
 [[行動試験]]では、TRPV1[[アゴニスト]]の投与は[[不安]]惹起作用があるが、TRPV1[[アンタゴニスト]]は[[抗不安作用]]があったことから、TRPV1の活性化は、不安惹起作用を引き起こす可能性が示唆されている(ref)。


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==

案内メニュー