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ある連続的な複数の事象から一定の規則を用いて、カテゴリーや単位を区分し、切り出すことを意味する。特に[[言語獲得論]]において二つの用法がある。 | ある連続的な複数の事象から一定の規則を用いて、カテゴリーや単位を区分し、切り出すことを意味する。特に[[言語獲得論]]において二つの用法がある。 | ||
#[[ | #[[wj:乳児|乳児]]の発達初期の[[音声]]獲得に関与する。音声言語は[[wj:母音|母音]]、[[wj:子音|子音]]から構成される音節の連続体であるが、音響的にも各単位の明確な切れ目が存在しないため、乳児は言語入力を統計学習しつつ、この連続体の中から、単語という単位や特定の生起確率規則に適った[[wj:音節|音節]]の繋がりを切り出す必要がある。この切り出しのことを単語あるいは音節構造の分節化と呼ぶ。乳児は分節化を行えないと、意味、文法の学習という言語獲得の次の段階に進めない。[[ヒト]]乳児ばかりでなく、[[鳴禽類]][[ソングバード]]が親や他個体のさえずりを学習する場合にもフレーズの分節化が行われ、音声パタンの学習が進む。このように分節化はヒト乳児、[[鳥類]]に共通する言語能力の原初的な形態であり、言語の発達や進化を研究する上で重要なトピックである。 | ||
#概念と言語の意味に関与し、[[ | #概念と言語の意味に関与し、[[wj:言語哲学|言語哲学]]の領域でも用いられる。言語は概念の連続体を象徴化し、意味カテゴリーを作って、単語として記号化する。例えば連続的なスペクトル特性を持つ色彩を区分して、赤や青といった言語記号のラベルを付与する。この記号付与の過程も分節化と呼ばれる。 | ||
これらのうち前者の音声の分節化がより広く用いられているので、以降はこれについて、その背景、研究の動向についてふれる。 | これらのうち前者の音声の分節化がより広く用いられているので、以降はこれについて、その背景、研究の動向についてふれる。 | ||
==音声の分節化== | ==音声の分節化== | ||
有意味単語の分節化は、[[ | 有意味単語の分節化は、[[wj:英語|英語]]圏の乳児では8ヶ月齢で可能になる。単語を切り出す際には英語の[[wj:ストレスアクセント|ストレスアクセント]]を音響的手掛かりとして用いているとされ、発達初期段階では英語でより頻度の高い強弱パタンを1つの単語のまとまりと捉える傾向がある<ref><pubmed>10631011</pubmed></ref>。但し、アクセントが音響的に明確でない[[wj:フランス語|フランス語]]圏では、単語分節に使える音響的手掛かりが貧弱であるため1歳過ぎまで単語の分節化ができないと報告されている<ref>'''Nazzi, T., Iakimova, Q., Bertoncini, J., Frédonie, S., & Alcantara, C. (2006).'''<br>Early segmentation of fluent speech by infants acquiring French: Emerging evidence for crosslinguistic differences.<br>''Journal of Memory and Language,'' 54, 283-299. </ref> 。[[wj:ピッチアクセント|ピッチアクセント]]を持つ[[wj:日本語|日本語]]圏では遅くとも8、9ヶ月齢では単語の分節化ができる<ref>'''佐藤久美子・梶川祥世・坂本清恵・松本博文. '''<br>日本語母語乳児の文中からの単語切り出しにおけるアクセントと音素配列の役割. <br>''音声研究,'' 2007, 11, 38-47. </ref> 。 | ||
音節構造の分節化には何の規則を学習するかによって大きく2つの流れがある。 | 音節構造の分節化には何の規則を学習するかによって大きく2つの流れがある。 |