「運動前野」の版間の差分

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サイズ変更なし 、 2020年7月29日 (水)
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 Wiseらは、到達するターゲットを提示し、遅延期間後のGOシグナルとともに運動を実行する課題を開発した<ref name=ref7><pubmed>7119878</pubmed></ref>。この課題を行っている最中にサルの運動前野背側部から細胞活動を記録したところ、運動実行の際に上昇する活動(運動関連活動)に加えて、運動を指示されてからGOシグナルが提示される間に持続的に上昇する活動(準備関連活動)を多数見出した。この持続的な活動は行われる運動の内容(運動方向)を反映していたので、運動の準備状態の形成に関与すると考えられた。
 Wiseらは、到達するターゲットを提示し、遅延期間後のGOシグナルとともに運動を実行する課題を開発した<ref name=ref7><pubmed>7119878</pubmed></ref>。この課題を行っている最中にサルの運動前野背側部から細胞活動を記録したところ、運動実行の際に上昇する活動(運動関連活動)に加えて、運動を指示されてからGOシグナルが提示される間に持続的に上昇する活動(準備関連活動)を多数見出した。この持続的な活動は行われる運動の内容(運動方向)を反映していたので、運動の準備状態の形成に関与すると考えられた。


 さらに、運動前野背側部は、「[[条件付き視覚運動連合]]」(視覚情報に任意に連合された動作を遂行する行動)において中心的な役割を果たす。例えば、指示刺激が黄色なら左方向の運動が要求され、青色なら右方向の運動が要求されるといった場合がこれに該当する。この行動において、運動前野背側部細胞は、指示刺激そのもの(色や形など)は反映しないが、指示された動作内容をすみやかに表現し始める<ref name=ref8><pubmed>3345810</pubmed></ref>。さらに、この行動が運動前野背側部の損傷で傷害され<ref name=ref9><pubmed>4091963</pubmed></ref>、ヒトの脳機能画像研究はこの行動課題の遂行中に運動前野背側部の活動を同定している<ref name=ref10><pubmed>11715080</pubmed></ref>。
 さらに、運動前野背側部は、「[[条件つき視覚運動連合]]」(視覚情報に任意に連合された動作を遂行する行動)において中心的な役割を果たす。例えば、指示刺激が黄色なら左方向の運動が要求され、青色なら右方向の運動が要求されるといった場合がこれに該当する。この行動において、運動前野背側部細胞は、指示刺激そのもの(色や形など)は反映しないが、指示された動作内容をすみやかに表現し始める<ref name=ref8><pubmed>3345810</pubmed></ref>。さらに、この行動が運動前野背側部の損傷で傷害され<ref name=ref9><pubmed>4091963</pubmed></ref>、ヒトの脳機能画像研究はこの行動課題の遂行中に運動前野背側部の活動を同定している<ref name=ref10><pubmed>11715080</pubmed></ref>。


 これに留まらずに、複数の候補の中から一つの動作を選択する過程へ関与すること<ref name=ref11><pubmed>12574469</pubmed></ref>、使用する手と到達するターゲットの情報を統合すること<ref name=ref12><pubmed>11100727</pubmed></ref>、さらに、行動のゴールを運動情報へ変換する過程に関与することが<ref name=ref13><pubmed>18842888</pubmed></ref>、運動前野背側部に見出されている。こうした一連の結果は、運動前野背側部が動作の選択や企画といった動作発現の中心となる過程に深く関与することを示す。
 これに留まらずに、複数の候補の中から一つの動作を選択する過程へ関与すること<ref name=ref11><pubmed>12574469</pubmed></ref>、使用する手と到達するターゲットの情報を統合すること<ref name=ref12><pubmed>11100727</pubmed></ref>、さらに、行動のゴールを運動情報へ変換する過程に関与することが<ref name=ref13><pubmed>18842888</pubmed></ref>、運動前野背側部に見出されている。こうした一連の結果は、運動前野背側部が動作の選択や企画といった動作発現の中心となる過程に深く関与することを示す。

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