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英語名:L1 | 英語名:L1 | ||
同義語:L1CAM | 同義語:L1CAM | ||
{{box|text= 細胞接着因子であり、6個の免疫グロブリン様ドメインと5個のフィブロネクチンIII型様ドメインからなる細胞外領域、1回膜貫通領域および細胞内領域から構成される。発生段階の神経組織に強く発現し、成体になると発現量は減少する。さまざまな種類の神経細胞、シュワン細胞、オリゴデンドロサイトで発現する。神経細胞では軸索に特に発現する。細胞外ドメインで、ホモフィリックな結合すると同時に、インテグリン、TAG1/アキソニン-1、F3/F11/コンタクティンなどの接着分子とのヘテロフィリック結合をする。細胞内では、アンキリン、エズリン/ラディキシン/モエシン、ダブルコルティンを介して、細胞骨格に結合する。機能としては、神経細胞移動の促進、軸索伸長の促進、軸索束形成の促進、ミエリン形成の促進、シナプス可塑性の制御などが挙げられる。ヒトでの変異は、L1症候群と称される一連の症候を示す。}} | |||
== 分子構造 == | == 分子構造 == | ||
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== 生理機能 == | == 生理機能 == | ||
ホモフィリック結合とヘテロフィリック結合により細胞間接着を媒介する。またL1の接着性および[[細胞骨格]]との連結は時空間的に制御されるため、L1は単なる静的な細胞間接着だけでなく、動的な細胞間相互作用(細胞移動など)にも関与する。神経系での具体的なL1の機能として、[[神経細胞移動]]の促進、軸索伸長の促進、軸索束形成の促進、[[ミエリン]]形成の促進、[[シナプス可塑性]]の制御などが報告されている<ref><pubmed> 17189949 </pubmed></ref>。また、L1とニューロピリン-1のヘテロ2量体はセマフォリン3A受容体として機能し、軸索の反発性ガイダンスを媒介する<ref><pubmed> 12456642 </pubmed></ref>。 L1の機能は、細胞内領域のリン酸化/脱リン酸化、エンドサイト−シス/[[エキソサイトーシス]]、細胞骨格との連結、[[プロテオリシス]]などによって制御されている。27番目のエクソンがコードするアミノ酸配列RSLEとそれに隣接するチロシン残基は、クラスリンアダプターAP2の認識配列YRSLを構成する。このチロシンがリン酸化された状態ではAP2に認識されないが、チロシンが脱リン酸化されたL1はAP2に認識されてクラスリン依存性エンドサイト−シス経路により細胞内へ取り込まれる<ref><pubmed> 12082080 </pubmed></ref>。取り込まれたL1は細胞内小胞輸送を経てエキソサイトーシスされる。L1のエンドサイト−シスとエキソサイトーシスは、細胞接着を空間的に制御して細胞移動に重要な役割を担う。L1は、アンキリンやERMなどの分子を介して[[アクチン]]骨格と結合し、神経突起が伸長するための駆動力を伝達する。タンパク質分解酵素[[ADAM]](a disintegrin and metalloprotease)はL1細胞外領域を細胞膜近傍で切断し、遊離したL1細胞外領域は隣接細胞あるいは同一細胞のインテグリンに結合して細胞移動を促進する。また、ADAMによるプロテオリシスに続き、[[γ-セクレターゼ]]が膜貫通領域を切断し、遊離したL1細胞内領域は[[wj:核|核]]内に移行して遺伝子の[[wj:転写|転写]]を制御する<ref><pubmed> 20237819 </pubmed></ref>。 | ホモフィリック結合とヘテロフィリック結合により細胞間接着を媒介する。またL1の接着性および[[細胞骨格]]との連結は時空間的に制御されるため、L1は単なる静的な細胞間接着だけでなく、動的な細胞間相互作用(細胞移動など)にも関与する。神経系での具体的なL1の機能として、[[神経細胞移動]]の促進、軸索伸長の促進、軸索束形成の促進、[[ミエリン]]形成の促進、[[シナプス可塑性]]の制御などが報告されている<ref><pubmed> 17189949 </pubmed></ref>。また、L1とニューロピリン-1のヘテロ2量体はセマフォリン3A受容体として機能し、軸索の反発性ガイダンスを媒介する<ref><pubmed> 12456642 </pubmed></ref>。 | ||
L1の機能は、細胞内領域のリン酸化/脱リン酸化、エンドサイト−シス/[[エキソサイトーシス]]、細胞骨格との連結、[[プロテオリシス]]などによって制御されている。27番目のエクソンがコードするアミノ酸配列RSLEとそれに隣接するチロシン残基は、クラスリンアダプターAP2の認識配列YRSLを構成する。このチロシンがリン酸化された状態ではAP2に認識されないが、チロシンが脱リン酸化されたL1はAP2に認識されてクラスリン依存性エンドサイト−シス経路により細胞内へ取り込まれる<ref><pubmed> 12082080 </pubmed></ref>。取り込まれたL1は細胞内小胞輸送を経てエキソサイトーシスされる。L1のエンドサイト−シスとエキソサイトーシスは、細胞接着を空間的に制御して細胞移動に重要な役割を担う。L1は、アンキリンやERMなどの分子を介して[[アクチン]]骨格と結合し、神経突起が伸長するための駆動力を伝達する。タンパク質分解酵素[[ADAM]](a disintegrin and metalloprotease)はL1細胞外領域を細胞膜近傍で切断し、遊離したL1細胞外領域は隣接細胞あるいは同一細胞のインテグリンに結合して細胞移動を促進する。また、ADAMによるプロテオリシスに続き、[[γ-セクレターゼ]]が膜貫通領域を切断し、遊離したL1細胞内領域は[[wj:核|核]]内に移行して遺伝子の[[wj:転写|転写]]を制御する<ref><pubmed> 20237819 </pubmed></ref>。 | |||
== 遺伝子変異 == | == 遺伝子変異 == |