「シナプス形成」の版間の差分

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==シナプス形成におけるグリア細胞の役割==
==シナプス形成におけるグリア細胞の役割==
これまでシナプス前部とシナプス後部の接点のみに焦点を当ててきたが、シナプス形成には第3の細胞要素であるグリア細胞も関与している<ref><pubmed>30309945</pubmed></ref><ref><pubmed>30347385</pubmed></ref>。シュワン細胞は神経筋接合部のグリア細胞であり、[[アストロサイト]]は中枢シナプスのグリア細胞である。シュワン細胞がシナプス形成や維持に与える影響については、シュワン細胞を除去した動物での神経筋接合部の異常から考察されている<ref><pubmed>27656017</pubmed></ref>。
これまでシナプス前部とシナプス後部の接点のみに焦点を当ててきたが、シナプス形成には第3の細胞要素であるグリア細胞も関与している<ref><pubmed>30309945</pubmed></ref><ref><pubmed>30359597</pubmed></ref><ref><pubmed>30347385</pubmed></ref>。シュワン細胞は神経筋接合部のグリア細胞であり、[[アストロサイト]]は中枢シナプスのグリア細胞である。シュワン細胞がシナプス形成や維持に与える影響については、シュワン細胞を除去した動物での神経筋接合部の異常から考察されている<ref><pubmed>27656017</pubmed></ref>。


グリア細胞の細胞表面にある分子と外部に分泌される分子の両方がシナプス形成に必要である。巨大な細胞外マトリックス分子であるトロンボスポンジン(thrombospondin) <ref><pubmed>15707899</pubmed></ref>、脂質であるコレステロール<ref><pubmed>12648780</pubmed></ref>、ヘヴィン(hevin) <ref><pubmed>21788491</pubmed></ref>などである。アストロサイトから分泌されるヘヴィンは、通常は相互作用しない細胞接着分子であるニューレキシンとニューロリギンの一部のアイソフォームを架橋することにより、シナプス形成を促進する<ref><pubmed>26771491</pubmed></ref>。アストロサイト上のグリピカン(glypican)は、シナプス前終末からAMPAレセプタークラスタリング因子ペントラキシン1(pentraxin1)の放出を誘発する<ref><pubmed>29024665</pubmed></ref><ref><pubmed>27986928</pubmed></ref>。また、シナプス形成に拮抗するSPARCなどのシナプスの負の調節因子も知られている<ref><pubmed>21788491</pubmed></ref>。また[[ミクログリア]]は、シナプス刈り込みに関与することで、神経回路の再編に関与する<ref><pubmed>31283900</pubmed></ref>。
グリア細胞の細胞表面にある分子と外部に分泌される分子の両方がシナプス形成に必要である。巨大な細胞外マトリックス分子であるトロンボスポンジン(thrombospondin) <ref><pubmed>15707899</pubmed></ref>、脂質であるコレステロール<ref><pubmed>12648780</pubmed></ref>、ヘヴィン(hevin) <ref><pubmed>21788491</pubmed></ref>などである。アストロサイトから分泌されるヘヴィンは、通常は相互作用しない細胞接着分子であるニューレキシンとニューロリギンの一部のアイソフォームを架橋することにより、シナプス形成を促進する<ref><pubmed>26771491</pubmed></ref>。アストロサイト上のグリピカン(glypican)は、シナプス前終末からAMPAレセプタークラスタリング因子ペントラキシン1(pentraxin1)の放出を誘発する<ref><pubmed>29024665</pubmed></ref><ref><pubmed>27986928</pubmed></ref>。また、シナプス形成に拮抗するSPARCなどのシナプスの負の調節因子も知られている<ref><pubmed>21788491</pubmed></ref>。また[[ミクログリア]]は、シナプス刈り込みに関与することで、神経回路の再編に関与する<ref><pubmed>31283900</pubmed></ref>。

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