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第4回コンソーシアムによるレビー小体型認知症の臨床診断基準<ref name=McKeith2017><pubmed>28592453</pubmed></ref> 3)を'''表1'''に示す。進行性の認知機能低下に加え、中核的臨床特徴のうち2つ、あるいは中核的臨床特徴1つと指標的バイオマーカー1つ以上が確認されればprobable レビー小体型認知症と診断される。中核的臨床特徴1つのみ、あるいは指標的バイオマーカー1つ以上のみ(中核的臨床特徴なし)の場合はpossible レビー小体型認知症と診断する。 | 第4回コンソーシアムによるレビー小体型認知症の臨床診断基準<ref name=McKeith2017><pubmed>28592453</pubmed></ref> 3)を'''表1'''に示す。進行性の認知機能低下に加え、中核的臨床特徴のうち2つ、あるいは中核的臨床特徴1つと指標的バイオマーカー1つ以上が確認されればprobable レビー小体型認知症と診断される。中核的臨床特徴1つのみ、あるいは指標的バイオマーカー1つ以上のみ(中核的臨床特徴なし)の場合はpossible レビー小体型認知症と診断する。 | ||
診断基準ではレビー小体型認知症は認知機能障害がパーキンソニズムより先行ないしほぼ同時に出現するものとされ、明らかなパーキンソン病発症から12ヶ月以降に認知症が出現した場合はパーキンソン病の認知症(Parkinson’s disease dementia, PDD) | 診断基準ではレビー小体型認知症は認知機能障害がパーキンソニズムより先行ないしほぼ同時に出現するものとされ、明らかなパーキンソン病発症から12ヶ月以降に認知症が出現した場合はパーキンソン病の認知症(Parkinson’s disease dementia, PDD)と診断される。しかしレビー小体型認知症とパーキンソン病の認知症は臨床・病理学的に連続したスペクトラムに属するため、両者を包括してレビー小体病(Lewy body disease)と呼ぶことが認められている。 | ||
{| class="wikitable" | {| class="wikitable" | ||
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=== | === レビー小体型認知症とパーキンソン病の認知症 === | ||
パーキンソニズムがある場合、認知症がパーキンソニズム発症前からあるか、あるいはほぼ同時に発症していればレビー小体型認知症と診断する。認知症を伴うパーキンソン病(Parkinson disease dementia, PDD)という用語は確固たるパーキンソン病の経過中に認知症を生じた場合に使用する。現実的には臨床状態を最も適切に表現する用語を用いるべきであり、レビー小体病(Lewy body | パーキンソニズムがある場合、認知症がパーキンソニズム発症前からあるか、あるいはほぼ同時に発症していればレビー小体型認知症と診断する。認知症を伴うパーキンソン病(Parkinson disease dementia, PDD)という用語は確固たるパーキンソン病の経過中に認知症を生じた場合に使用する。現実的には臨床状態を最も適切に表現する用語を用いるべきであり、レビー小体病(Lewy body disease)といった包括的用語がしばしば有用である。レビー小体型認知症とパーキンソン病の認知症を区別する必要がある研究では、認知症の発症がパーキンソニズム発症後の1年以内である場合をレビー小体型認知症とする“1年ルール”を引き続き用いるよう推奨する。 | ||
== 鑑別診断 == | == 鑑別診断 == | ||
アルツハイマー病との鑑別では、幻視、パーキンソニズム、RBD、認知機能の変動のうち1つが明らかな場合、指標的バイオマーカーの検査を計画すると良い。特に認知症が軽症の時期から幻視が明らか、あるいはRBDがみられればレビー小体型認知症である可能性は高い。幻視の類縁症状である実体意識性、通過幻視などは本人に質問して初めて判明することも多い。幻視がなくても認知症が軽症のうちから人物誤認などの誤認症状がみられる場合、レビー小体型認知症を疑う根拠になるのでバイオマーカーによる鑑別を検討する。ただし中等度以上に認知症が進行するとアルツハイマー病でも誤認症状はみられるようになるので慎重な鑑別が必要になる。一方で妄想、興奮、意欲低下はアルツハイマー病, レビー小体型認知症いずれでも初期からみられ、非特異的な症状である。また幻聴は幻視に比べるとレビー小体型認知症への特異性は低く、初期アルツハイマー病でも高齢女性では幻聴、特に幻音楽は時々経験する。 | |||
幻視はないが筋強剛、寡動が主体の非定型パーキンソニズムと認知症がみられる場合、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核症候群、多系統萎縮症などの鑑別が必要である。これらの疾患との鑑別にはMIBG心筋シンチグラフィーが有用である。筋強剛はないがすり足歩行、小股歩行がみられ認知症を呈する場合には正常圧水頭症、皮質下型血管性認知症が鑑別に挙がる。これらの疾患との鑑別には頭部MRI、脳血流SPECTが有用である。 | 幻視はないが筋強剛、寡動が主体の非定型パーキンソニズムと認知症がみられる場合、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核症候群、多系統萎縮症などの鑑別が必要である。これらの疾患との鑑別にはMIBG心筋シンチグラフィーが有用である。筋強剛はないがすり足歩行、小股歩行がみられ認知症を呈する場合には正常圧水頭症、皮質下型血管性認知症が鑑別に挙がる。これらの疾患との鑑別には頭部MRI、脳血流SPECTが有用である。 | ||
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== 臨床症状と病態生理 == | == 臨床症状と病態生理 == | ||
=== 認知機能障害の特徴 === | === 認知機能障害の特徴 === | ||
典型的なレビー小体型認知症ではアルツハイマー病と比較して、病初期~中期まではエピソード記憶障害が軽く、遅延再生や見当識の成績が良い2, <ref name=McKeith2017><pubmed>28592453</pubmed></ref> 3)。特に初期には明らかな記憶障害がみられないこともあるので診断する際に注意が必要である。一方レビー小体型認知症では記憶障害に比べて構成障害および視知覚機能障害が目立つ傾向がある2, <ref name=McKeith2017><pubmed>28592453</pubmed></ref> 3)。またレビー小体型認知症では注意障害、遂行機能障害もアルツハイマー病より目立つ。 | |||
=== 中核的臨床特徴 === | === 中核的臨床特徴 === | ||
==== 認知機能の変動 ==== | ==== 認知機能の変動 ==== | ||
レビー小体型認知症でみられる認知機能の変動(cognitive fluctuation)は一過性、周期性に生じる覚醒度や注意力の低下を伴い、問診では、日中の眠気、2時間以上の昼寝、長時間ボーッとする、一過性の混乱した会話などがポイントとなる<ref name=Ferman2004><pubmed>14745051</pubmed></ref> 4)。日中の眠気・過眠は診断基準の示唆的特徴にも挙げられている<ref name=McKeith2017><pubmed>28592453</pubmed></ref> 3)。またレビー小体型認知症ではアルツハイマー病に比べてせん妄の既往が多いだけでなく、経過中でもせん妄を生じやすく。しばしば認知機能変動との区別が難しいことがある。 | |||
==== 繰り返す幻視 ==== | |||
レビー小体型認知症で最も多い精神症状は有形幻視である。人物幻視が最も多く、次いで小動物や虫の幻視が多い。非生物の幻視は火や水に関連した幻視が多くみられる。 | |||
==== REM睡眠行動異常症 ==== | |||
REM睡眠行動異常症(Rapid Eye Movement sleep behavior disorder)は、骨格筋緊張の抑制を欠く異常なREM睡眠(REM sleep without atonia, RWA)を生じるため夢の精神活動が行動に表出され、大声での寝言、叫び、手足の激しい動きなどの異常行動がみられる<ref name=Chan2018><pubmed>30018672</pubmed></ref> 5)。認知症症状や運動障害に年単位で先行することも多く、時には10数年も先行することがある。 | |||
==== 特発性パーキンソニズム ==== | |||
パーキンソニズムはレビー小体型認知症に必須ではなく、ほとんどみられない場合もある。レビー小体型認知症のパーキンソニズムはパーキンソン病に比べると固縮と寡動、歩行障害が主体で振戦は少なく、左右差も少ない。またアルツハイマー病に比べるとレビー小体型認知症患者は有意に転倒し易い。レビー小体型認知症の易転倒性は診断の一助としての有用性のみならず、大腿骨骨折や脊椎圧迫骨折を生じて寝たきりになり易い、という危険があるため家族指導及びケア・マネジメントにおいても極めて重要な特徴である。 | |||
=== その他の症状 === | === その他の症状 === | ||
レビー小体型認知症では起立性低血圧、尿失禁、便秘、発汗異常など自律神経症状が高率に認められる。嗅覚障害も比較的多く、記憶障害より先行してみられることもあるため、示唆的特徴に挙げられている。ただし嗅覚障害はアルツハイマー病でも早期からみられることから、レビー小体型認知症とアルツハイマー病の鑑別における意義よりも、早期診断マーカーとしての意義が強調されている。また抗精神病薬に対する過敏性は新診断基準<ref name=McKeith2017><pubmed>28592453</pubmed></ref> 3)では中核的特徴から示唆的特徴に格下げされたが、治療時に注意が必要な点は変わりない。 | |||
=== | == 画像診断などのバイオマーカー == | ||
==== | === 指標的バイオマーカー === | ||
==== ドパミントランスポーター画像 ==== | |||
<sup>123</sup>I-ioflupaneなどを用いてSPECTで大脳基底核のドパミントランスポーターを評価すると、レビー小体型認知症では取り込みの低下がみられる。全ての症例で低下する訳ではなく、アルツハイマー病との鑑別能は感度78%、特異度90%程度である<ref name=McKeith2005><pubmed>16237129</pubmed></ref> 2)。 | |||
==== <sup>123</sup>I-meta-iodobenzylguanidine 心筋シンチグラフィー ==== | |||
<sup>123</sup>I-meta-iodobenzylguanidine (MIBG)心筋シンチグラフィーは心臓交感神経機能評価の指標であるが、レビー小体型認知症およびパーキンソン病で高率に取り込み低下がみられるので、アルツハイマー病や他のパーキンソン関連疾患との鑑別を目的に用いられる(図2)。ただし全例で低下するわけではなく、アルツハイマー病との鑑別能は感度69%、特異度87%である<ref name=Yoshita2015><pubmed>25793585</pubmed></ref> 6)。MIBGの心筋への取り込みは虚血性心疾患や慢性心不全の合併、糖尿病、薬剤(三環系抗うつ薬など)の影響などでも低下するので注意を要する。 | |||
図2。レビー小体型認知症でみられるMIBG心筋シンチグラフィー取り込み低下 | 図2。レビー小体型認知症でみられるMIBG心筋シンチグラフィー取り込み低下 | ||
==== 睡眠ポリグラフ ==== | |||
睡眠ポリグラフ(polysomnography)における骨格筋緊張の抑制を欠く異常なREM睡眠 (RWA)の存在は、高確率でシヌクレイノパチーを示唆するとされる。大声の寝言などREM睡眠行動異常症を示唆する症状があっても、閉塞性睡眠時無呼吸症候群などREM睡眠行動異常症類似の症状を呈する状態との鑑別が必要になることがあり、その場合睡眠ポリグラフによる確認が望ましい。 | |||
=== 示唆的バイオマーカー === | |||
==== CT/MRI ==== | |||
側頭葉内側の萎縮はアルツハイマー病に比べると軽い傾向がみられる。しかし個々の症例では側頭葉内側萎縮が明らかな例もあるのでアルツハイマー病との鑑別には有用とはいえない。 | |||
==== PET/SPECT ==== | |||
<sup>18</sup>F-fluorodeoxyglucose(FDG) PETでは頭頂葉、側頭葉、後頭葉皮質での糖代謝が低下し、特に一次視覚野を含む後頭葉での低下はレビー小体型認知症に特徴的でアルツハイマー病との鑑別に有用である(図3A)。前頭葉から後頭葉まで皮質代謝がびまん性に低下する症例も多く、その場合には基底核や視床の代謝が相対的に高くみえる。相対的に後部帯状回付近の代謝が高く見える帯状回島徴候(cingulate island sign、図3B)がみられることもある <ref name=McKeith2017><pubmed>28592453</pubmed></ref> 3)。SPECTによる脳血流検査でもPETと同様の所見が得られるが、PETに比べると感度は劣る。 | |||
図3。アルツハイマー病, レビー小体型認知症, 健常者(NC)の脳糖代謝画像(文献3より引用) | |||
A) アルツハイマー病では後頭葉の糖代謝が保たれているが、レビー小体型認知症では頭頂側頭葉に加えて後頭葉の糖代謝も低下している(矢印)。 | |||
B) アルツハイマー病では後部帯状回の糖代謝が低下しているが、レビー小体型認知症では後部帯状回の糖代謝が保たれている反面、後頭葉の代謝が低下しているために後部帯状回がisland状にみえる(矢尻)。 | |||
髄液や血液の生化学マーカーでレビー小体型認知症に特異的といえるものは現時点ではない。髄液中のα-シヌクレイン濃度については報告によりばらつきが大きく診断的意義は低い。髄液Aβ1- | ==== 脳波 ==== | ||
まれな家族性レビー小体型認知症においてα-シヌクレイン遺伝子の異常(点変異、3重化) | レビー小体型認知症では頭頂後頭葉領域での徐波が増えることが報告されており、主にpre-α~θ帯域の周期的徐波がみられることがある。 | ||
=== その他のバイオマーカー === | |||
レビー小体型認知症でもアルツハイマー病病理を合併する例があるため、アミロイドPETでは50~80%の症例で大脳皮質におけるアミロイドβ(Aβ)結合能が高値を示す<ref name=Kantarci2020><pubmed>31862783</pubmed></ref> 7)。 | |||
髄液や血液の生化学マーカーでレビー小体型認知症に特異的といえるものは現時点ではない。髄液中のα-シヌクレイン濃度については報告によりばらつきが大きく診断的意義は低い。髄液Aβ1-42蛋白の低下はレビー小体型認知症でも認められ、アルツハイマー病病理合併を示すとされる。 | |||
まれな家族性レビー小体型認知症においてα-シヌクレイン遺伝子の異常(点変異、3重化)が報告されている。アルツハイマー病の危険因子として知られるアポリポ蛋白E 4アリルは、レビー小体型認知症でも正常対照よりも高率に認められる。 | |||
== 精神症状・感情障害 == | == 精神症状・感情障害 == | ||
レビー小体型認知症では多彩な精神症状がみられる(表2) <ref name=Nagahama2007><pubmed>17974867</pubmed></ref> <ref name=Nagahama2010><pubmed>19920063</pubmed></ref> 8,9)。幻視が最も多いが、幻視以外の精神症状として、実体意識性、人物誤認、被害妄想、場所誤認、幻の同居人などがしばしばみられる。Capgras症状や重複記憶錯誤など、いわゆる妄想性誤認症候群もみられることがある。“いない身内が居る”症状も時々みられるが、これは記憶錯誤の一種と考えられ幻視や幻の同居人とは異なる症状である。錯視も比較的よくみられ、レビー小体型認知症では精神症状と視覚認知障害の中間に位置する症状である。錯視を誘発する検査(パレイドリア・テスト)<ref name=Mamiya2016><pubmed>27171377</pubmed></ref> 10) | レビー小体型認知症では多彩な精神症状がみられる(表2) <ref name=Nagahama2007><pubmed>17974867</pubmed></ref> <ref name=Nagahama2010><pubmed>19920063</pubmed></ref> 8,9)。幻視が最も多いが、幻視以外の精神症状として、実体意識性、人物誤認、被害妄想、場所誤認、幻の同居人などがしばしばみられる。Capgras症状や重複記憶錯誤など、いわゆる妄想性誤認症候群もみられることがある。“いない身内が居る”症状も時々みられるが、これは記憶錯誤の一種と考えられ幻視や幻の同居人とは異なる症状である。錯視も比較的よくみられ、レビー小体型認知症では精神症状と視覚認知障害の中間に位置する症状である。錯視を誘発する検査(パレイドリア・テスト)<ref name=Mamiya2016><pubmed>27171377</pubmed></ref> 10)ではアルツハイマー病に比べてレビー小体型認知症で有意に多くの錯視反応がみられることが報告されており、レビー小体型認知症を診断する一助になる。 | ||
病態生理学的にはレビー小体型認知症の幻視は、頭頂葉・腹側後頭葉などの視覚連合野の機能低下との関連<ref name=Nagahama2010><pubmed>19920063</pubmed></ref> 9)や、thalamocortical dysrhythmia(TCD)によるdorsal/ventral attention network(frontal-parietal control network)とdefault mode network(DMN)のdecouplingとの関連<ref name=Onofrj2019><pubmed>31307115</pubmed></ref> 11)などが示唆されている。 病理では辺縁系のレビー病理が幻視の早期出現に関連すると報告されている<ref name=Ferman2013><pubmed>23182311</pubmed></ref> 12)。人物誤認は海馬、島皮質、前頭弁蓋部、扁桃体、側坐核などの大脳辺縁・傍辺縁系の機能低下による自伝的記憶障害やsalience network障害との関連が示唆されている<ref name=Nagahama2010><pubmed>19920063</pubmed></ref> 9)。病理では人物誤認、錯視は大脳皮質のレビー小体および神経原線維変化に関連すると報告されている<ref name=Ferman2013><pubmed>23182311</pubmed></ref> 12)。被害妄想は前頭葉吻内側部など社会能(social brain)の機能障害との関連が示されている<ref name=Nagahama2010><pubmed>19920063</pubmed></ref> 9)。 | |||
またレビー小体型認知症ではアルツハイマー病よりも抑うつの合併が多く、他の症状に先行することも珍しくないため、中高年の抑うつはレビー小体型認知症など認知症の前駆症状である可能性を考えて慎重に経過をみる必要がある。 | |||
表2。レビー小体型認知症でみられる精神症状<ref name=Nagahama2007><pubmed>17974867</pubmed></ref><ref><pubmed>name=Nagahama2010><pubmed>19920063</pubmed></ref> 8,9) | |||
{| class="wikitable" | |||
! 幻覚 !! 誤認 !! 妄想 | |||
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| "・有形幻視 | |||
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| ‐人物幻視 | |||
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| ‐動物/虫の幻視 | |||
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| ‐非生物幻視 | |||
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| ・要素性幻視 | |||
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| ・実体意識性 | |||
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| ・通過幻視 | |||
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| ・幻聴 | |||
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| ・幻臭 | |||
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| ・体感幻覚 | |||
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| ・錯視" || "・単純人物幻視 | |||
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| ・幻の同居人 | |||
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| ・妄想性誤認症候群 | |||
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| ‐Capgras症状 | |||
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| ‐Fregoli症状 | |||
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| ‐重複記憶錯誤 | |||
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| ・いない身内がいる,生きている | |||
|- | |||
| ・場所誤認 | |||
|- | |||
| ・TV徴候 | |||
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| ・鏡現象 | |||
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| ・その他の誤認関連症状" || "・物盗られ妄想 | |||
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| ・被害妄想 | |||
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| ・迫害妄想 | |||
|- | |||
| ・嫉妬妄想 | |||
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| ・心気妄想 | |||
|- | |||
| ・微小妄想 | |||
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| ・妊娠妄想 | |||
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| ・恋愛妄想" | |||
|} | |||
== 治療とケア == | == 治療とケア == | ||
1。認知機能障害に対する治療 | 1。認知機能障害に対する治療 | ||
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RBDについてはクロナゼパムの眠前使用が有効な場合があるが、ふらつき、転倒のリスクが高まるため、ごく少量から慎重に使用する。その他、ラメルテオンやメマンチンがRBDや夜間せん妄に有効な場合がある。 | RBDについてはクロナゼパムの眠前使用が有効な場合があるが、ふらつき、転倒のリスクが高まるため、ごく少量から慎重に使用する。その他、ラメルテオンやメマンチンがRBDや夜間せん妄に有効な場合がある。 | ||
=== 身体症状に対する治療 === | === 身体症状に対する治療 === | ||
パーキンソニズムに対してはL- | パーキンソニズムに対してはL-DOPAの使用が第1選択となるが、パーキンソン病に比べると治療反応性は劣る。L-DOPA単独で効果が不十分な場合にはドパミン受容体アゴニスト、ゾニサミドなどの追加を考慮するが、精神症状を悪化させる可能性があるので慎重に使用する。トリヘキシフェニジルなどの抗コリン剤は認知症を悪化させるので避けるべきである。 | ||
レビー小体型認知症の自律神経症状に対する治療について明確なエビデンスはないが、起立性低血圧には弾性ストッキングの使用、水分・塩分摂取のほか、薬物治療としてミドドリン、メチル硫酸アメジニウム、ドロキシドパなどが用いられる。便秘については水分摂取や食事指導のほか、緩下剤、クエン酸モサプリド、漢方薬(大黄を含む製剤や大健中湯)が用いられる。 | レビー小体型認知症の自律神経症状に対する治療について明確なエビデンスはないが、起立性低血圧には弾性ストッキングの使用、水分・塩分摂取のほか、薬物治療としてミドドリン、メチル硫酸アメジニウム、ドロキシドパなどが用いられる。便秘については水分摂取や食事指導のほか、緩下剤、クエン酸モサプリド、漢方薬(大黄を含む製剤や大健中湯)が用いられる。 | ||
== 経過・予後 == | == 経過・予後 == | ||
レビー小体型認知症の初発症状は記憶障害、幻覚、妄想、抑うつ、パーキンソニズム、RBDなどさまざまである。中でもRBDは他の症状に数年~10数年先行することがあり、前駆症状として注目されている。難治性うつ病患者の中にレビー小体型認知症の前駆状態が含まれていることが指摘されており、臨床診断・治療をする上で注意を要する。 | レビー小体型認知症の初発症状は記憶障害、幻覚、妄想、抑うつ、パーキンソニズム、RBDなどさまざまである。中でもRBDは他の症状に数年~10数年先行することがあり、前駆症状として注目されている。難治性うつ病患者の中にレビー小体型認知症の前駆状態が含まれていることが指摘されており、臨床診断・治療をする上で注意を要する。 | ||
アルツハイマー病に比べるとレビー小体型認知症の進行は速い傾向があり、診断から死亡までの期間もアルツハイマー病より短い<ref name=Mueller2019><pubmed>30625375</pubmed></ref> 16)。発症から1、2年で急速に症状が悪化する症例もある。 | |||
== 疫学 == | == 疫学 == |