「シャルコー・マリー・トゥース病」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
編集の要約なし
13行目: 13行目:
 正中神経運動神経伝導速度(正常 50 m/s 以上)が38m/sより遅いものを「脱髄型」、38m/sより速いものを「軸索型」、その前後のものを「中間型」と分類する。電気生理学的分類と遺伝形式、一部重症度により以下の様に診断分類される。
 正中神経運動神経伝導速度(正常 50 m/s 以上)が38m/sより遅いものを「脱髄型」、38m/sより速いものを「軸索型」、その前後のものを「中間型」と分類する。電気生理学的分類と遺伝形式、一部重症度により以下の様に診断分類される。


電気生理学的分類 遺伝形式 診断 備考
{| class="wikitable"
脱髄型 AD シャルコー・マリー・トゥース病1
|-
AR シャルコー・マリー・トゥース病4
! 電気生理学的分類!!遺伝形式!!診断!!備考
軸索型 AD, AR シャルコー・マリー・トゥース病2 ARのものはAR-シャルコー・マリー・トゥース病2と表現
|-
脱髄型・軸索型 AD, AR DSS*/シャルコー・マリー・トゥース病3 乳幼児期発症の重症型
| rowspan="2"|脱髄型 ||AD|| CMT1 ||
中間型 AD シャルコー・マリー・トゥース病-DI
|-
AR シャルコー・マリー・トゥース病-RI
| AR||CMT4||
脱髄型・中間型・軸索型 X染色体 シャルコー・マリー・トゥース病X 電気生理学的に中間型のことが多い
|-
*DSS: デジェリン・ソッタス病(Dejerine-Sottas 病)
| 軸索型||AD, AR||CMT2||ARのものはAR-CMT2と表現
|-
| 脱髄型・軸索型||AD, AR||DSS<sup>*</sup>/CMT3||乳幼児期発症の重症型
|-
| rowspan="2"|中間型||AD||CMT-DI ||
|-
| AR||CMT-RI || セル内のテキスト
|-
| 脱髄型・中間型・軸索型||X染色体||CMTX||電気生理学的に中間型のことが多い
|}
<sup>*</sup>DSS: デジェリン・ソッタス病(Dejerine-Sottas 病)


 厚生労働省の指定難病判定にも用いられる「シャルコー・マリー・トゥース病の診療向上に関するエビデンスを構築する研究班」による診断基準<ref name=シャルコー・マリー・トゥース病診療マニュアル編集委員会編>シャルコー・マリー・トゥース病診療マニュアル編集委員会編 シャルコー・マリー・トゥース病診療マニュアル. 2版. 京都:金芳堂;2015. p.127</ref>
 厚生労働省の指定難病判定にも用いられる「シャルコー・マリー・トゥース病の診療向上に関するエビデンスを構築する研究班」による診断基準<ref name=シャルコー・マリー・トゥース病診療マニュアル編集委員会編>シャルコー・マリー・トゥース病診療マニュアル編集委員会編 シャルコー・マリー・トゥース病診療マニュアル. 2版. 京都:金芳堂;2015. p.127</ref>[6]を下に示す。
[6]を下に示す。


シャルコー・マリー・トゥース病診断基準
{| class="wikitable"
 
|+表2. シャルコー・マリー・トゥース病診断基準
①以下の臨床症状(のうち2項目)を満たす。
|-
(ア)筋力低下・筋萎縮 
|
下肢優位の四肢遠位部の障害(凹足、扁平足、逆シャンペンボトル様の筋萎縮、手内筋萎縮、足趾骨間筋萎縮など)が典型的だが、まれに四肢近位部が優位に障害される場合もある。症状は、基本的に左右対称性である。
'''①以下の臨床症状(のうち2項目)を満たす。'''<br>
(イ)感覚障害
(ア)筋力低下・筋萎縮 <br>
下肢優位の手袋・靴下型の障害が典型的であるが、感覚障害が目立たない場合もある。
下肢優位の四肢遠位部の障害(凹足、扁平足、逆シャンペンボトル様の筋萎縮、手内筋萎縮、足趾骨間筋萎縮など)が典型的だが、まれに四肢近位部が優位に障害される場合もある。症状は、基本的に左右対称性である。<br>
症状は基本的に左右対称性である。
(イ)感覚障害<br>
(ウ)家族歴がある。
下肢優位の手袋・靴下型の障害が典型的であるが、感覚障害が目立たない場合もある。<br>
(エ)他の疾病によらない自律神経障害、声帯麻痺、視力障害、錐体路障害、錐体外路障害などの合併を認める場合もある。
症状は基本的に左右対称性である。<br>
(ウ)家族歴がある。<br>
(エ)他の疾病によらない自律神経障害、声帯麻痺、視力障害、錐体路障害、錐体外路障害などの合併を認める場合もある。<br>
   
   
②神経伝導検査の異常(のうち2項目)を満たす。
'''②神経伝導検査の異常(のうち2項目)を満たす。'''<br>
(ア)正中神経の運動神経伝導速度が38m/s以下
(ア)正中神経の運動神経伝導速度が38m/s以下<br>
(イ)正中神経の運動神経複合活動電位の明らかな低下
(イ)正中神経の運動神経複合活動電位の明らかな低下<br>
(ウ)他の末梢神経の神経伝導検査で軸索障害または脱髄性障害を認める。
(ウ)他の末梢神経の神経伝導検査で軸索障害または脱髄性障害を認める。<br>
なお、脱髄が高度な場合、全被検神経で活動電位が導出できない場合もある。
なお、脱髄が高度な場合、全被検神経で活動電位が導出できない場合もある。<br>
   
   
③シャルコー・マリー・トゥース病に特有の遺伝子異常がある。
'''③シャルコー・マリー・トゥース病に特有の遺伝子異常がある。'''<br>
|-
|}
 
(参考:現在判明している主な遺伝子異常は下記の異常)
(参考:現在判明している主な遺伝子異常は下記の異常)
peripheral myelin protein 22(PMP22)、myelin protein zero(MPZ)、gap junction protein beta 1(GJB1)、early growth response 2(EGR2)、ARHGEF10、periaxin(PRX)、lipopolysaccharide-induced TNF-α factor(LITAF)、neurofilament light chain polypeptide(NEFL)、ganglioside-induced differentiation-associated protein 1(GDAP1)、myotubularin-related protein 2(MTMR2)、SH3 domain and tetratricopeptide repeats 2(SH3TC2)、SET-binding factor 2(SBF2)、N-myc downstream regulated 1(NDRG1)、mitofusin 2(MFN2)、Ras-related GTPase 7(RAB7)、glycyl-tRNA synthetase(GARS)、heat shock protein 1(HSPB1)、HSPB8、lamin A/C(LMNA)、dynamin 2(DNM2)、tyrosyl-ARS(YARS)、alanyl-ARS(AARS)、lysyl-ARS(KARS)、aprataxin(APTX)、senataxin(SETX)、tyrosyl-DNA phosphodiesterase 1(TDP1)、desert hedgehog(DHH)、gigaxonin 1(GAN1)、K-Cl cotransporter family 3(KCC3)など。
peripheral myelin protein 22(PMP22)、myelin protein zero(MPZ)、gap junction protein beta 1(GJB1)、early growth response 2(EGR2)、ARHGEF10、periaxin(PRX)、lipopolysaccharide-induced TNF-α factor(LITAF)、neurofilament light chain polypeptide(NEFL)、ganglioside-induced differentiation-associated protein 1(GDAP1)、myotubularin-related protein 2(MTMR2)、SH3 domain and tetratricopeptide repeats 2(SH3TC2)、SET-binding factor 2(SBF2)、N-myc downstream regulated 1(NDRG1)、mitofusin 2(MFN2)、Ras-related GTPase 7(RAB7)、glycyl-tRNA synthetase(GARS)、heat shock protein 1(HSPB1)、HSPB8、lamin A/C(LMNA)、dynamin 2(DNM2)、tyrosyl-ARS(YARS)、alanyl-ARS(AARS)、lysyl-ARS(KARS)、aprataxin(APTX)、senataxin(SETX)、tyrosyl-DNA phosphodiesterase 1(TDP1)、desert hedgehog(DHH)、gigaxonin 1(GAN1)、K-Cl cotransporter family 3(KCC3)など。

案内メニュー