「進行性核上性麻痺」の版間の差分

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=== レヴィー小体病 ===
=== レヴィー小体病 ===
 認知症、パーキンソニズムはPSPと共通である。 MDS基準ではレヴィー小体病を除外するために「起立性低血圧」、「幻視ないし覚醒度の変容」が必須除外基準に含まれている<ref name=Höglinger2017><pubmed>28467028</pubmed></ref> 。またPSPの中でレヴィー小体病と最も鑑別が難しいのはパーキンソニズムを主徴とするPSP-Pであるが、病理診断例における後方視的検討によれば、「進行期の薬剤誘発性ジスキネジア」、「進行期の自律神経障害」、「全経過を通じた幻視」は陽性的中率99%でパーキンソン病を示唆したと報告されている<ref name=Williams2010><pubmed>20108379</pubmed></ref> 。
 認知症、パーキンソニズムはPSPと共通である。 MDS基準ではレヴィー小体病を除外するために「起立性低血圧」、「幻視ないし覚醒度の変容」が必須除外基準に含まれている<ref name=Höglinger2017><pubmed>28467028</pubmed></ref> 。またPSPの中でレヴィー小体病と最も鑑別が難しいのはパーキンソニズムを主徴とするPSP-Pであるが、病理診断例における後方視的検討によれば、「進行期の薬剤誘発性ジスキネジア」、「進行期の自律神経障害」、「全経過を通じた幻視」は陽性的中率99%でパーキンソン病を示唆したと報告されている<ref name=Williams2010><pubmed>20108379</pubmed></ref> 。
上記2疾患はαシヌクレオパチーであるが、「起立性低血圧の欠如」はPSPをαシヌクレオパチーから区別するための最も強い自律神経系所見であることが病理診断例において報告されている<ref name=van Gerpen2019><pubmed>31484717</pubmed></ref> 。
 
 上記2疾患はαシヌクレオパチーであるが、「起立性低血圧の欠如」はPSPをαシヌクレオパチーから区別するための最も強い自律神経系所見であることが病理診断例において報告されている<ref name=vanGerpen2019><pubmed>31484717</pubmed></ref> 。
 
=== 大脳皮質基底核変性症 ===
=== 大脳皮質基底核変性症 ===
 大脳皮質基底核変性症はPSPとの鑑別が最も難しい疾患であり、現時点で診断基準の必須除外基準の中に大脳皮質基底核変性症を除外するための項目は設けられていない<ref name=Höglinger2017><pubmed>28467028</pubmed></ref> 。病理診断された大脳皮質基底核変性症の中で、生前の臨床診断大脳皮質基底核変性症は37%に過ぎず、2番目に多い生前診断はPSP23%であるとされている<ref name=Armstrong2013><pubmed>23359374</pubmed></ref> 。一方大脳皮質基底核変性症の典型的な臨床像である大脳皮質基底核症候群(Corticobasal syndrome)の背景病理は大脳皮質基底核変性症は半数以下で、PSPも2割弱含まれる<ref name=Aiba2012><pubmed>22481519</pubmed></ref> 。大脳皮質基底核変性症ではレヴィー小体型認知症Dementia with Lewy bodies (DLB)、PSP、アルツハイマー病などに比べてMRI上大脳萎縮の進行が速いという画像上の所見が知られている<ref name=Whitwell2007><pubmed>17347250</pubmed></ref> が、現時点でリチャードソン症候群の中で大脳皮質基底核変性症を除外することは極めて難しい。  
 大脳皮質基底核変性症はPSPとの鑑別が最も難しい疾患であり、現時点で診断基準の必須除外基準の中に大脳皮質基底核変性症を除外するための項目は設けられていない<ref name=Höglinger2017><pubmed>28467028</pubmed></ref> 。病理診断された大脳皮質基底核変性症の中で、生前の臨床診断大脳皮質基底核変性症は37%に過ぎず、2番目に多い生前診断はPSP23%であるとされている<ref name=Armstrong2013><pubmed>23359374</pubmed></ref> 。一方大脳皮質基底核変性症の典型的な臨床像である大脳皮質基底核症候群(Corticobasal syndrome)の背景病理は大脳皮質基底核変性症は半数以下で、PSPも2割弱含まれる<ref name=Aiba2012><pubmed>22481519</pubmed></ref> 。大脳皮質基底核変性症ではレヴィー小体型認知症Dementia with Lewy bodies (DLB)、PSP、アルツハイマー病などに比べてMRI上大脳萎縮の進行が速いという画像上の所見が知られている<ref name=Whitwell2007><pubmed>17347250</pubmed></ref> が、現時点でリチャードソン症候群の中で大脳皮質基底核変性症を除外することは極めて難しい。  

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