「進行性核上性麻痺」の版間の差分

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 欧米のゲノムワイド関連解析 Genome-wide association study (GWAS)の結果、孤発性PSPの疾患感受性遺伝子として、PSP脳に蓄積するタウをコードするmicrotubule-associated protein tau (MAPT)に加え、STX6、 EIF2A3K、 MOBPが同定された<ref name=Höglinger2011><pubmed>21685912</pubmed></ref> 。またtripartite motif-containing protein 11 (TRIM11)はPSPの臨床像修飾因子であることが報告されている<ref name=Jabbari2018><pubmed>30066433</pubmed></ref> 。さらに家族性パーキンソン病の原因遺伝子の一つであるleucine rich-repeat kinase 2 (LRRK2)の変異がPSPの生存に関連するというグローバルなGWASの結果が示された<ref name=Jabbari2020><pubmed>33341150</pubmed></ref> 。わが国においてはまだGWASは行われていない。
 欧米のゲノムワイド関連解析 Genome-wide association study (GWAS)の結果、孤発性PSPの疾患感受性遺伝子として、PSP脳に蓄積するタウをコードするmicrotubule-associated protein tau (MAPT)に加え、STX6、 EIF2A3K、 MOBPが同定された<ref name=Höglinger2011><pubmed>21685912</pubmed></ref> 。またtripartite motif-containing protein 11 (TRIM11)はPSPの臨床像修飾因子であることが報告されている<ref name=Jabbari2018><pubmed>30066433</pubmed></ref> 。さらに家族性パーキンソン病の原因遺伝子の一つであるleucine rich-repeat kinase 2 (LRRK2)の変異がPSPの生存に関連するというグローバルなGWASの結果が示された<ref name=Jabbari2020><pubmed>33341150</pubmed></ref> 。わが国においてはまだGWASは行われていない。


 タウタンパク質は微小管結合タンパク質で、第17番染色体に存在する遺伝子 MAPTから選択的スプライシングにより生成される。MAPTはH1/H2ハプロ多型に分類され、H1ハプロタイプがPSPのリスクである<ref name=Baker1999><pubmed>10072441</pubmed></ref> 。この2つのハプロタイプは、遺伝子が局所で逆方向となっているのに加え、複数のSNPが見いだされている。日本人はPSPかどうかにかかわらずH1ハプロ多型であり、PSP発症のリスクが高い集団であると言える。わが国における有病率が欧米に比し高い<ref name=Takigawa2016><pubmed>28031995</pubmed></ref> こととの関連性が示唆される。また、本疾患は孤発性の疾患であるが、家族性のPSPも報告されている<ref name=Fujioka2013><pubmed></pubmed></ref> 。  
 タウタンパク質は微小管結合タンパク質で、第17番染色体に存在する遺伝子 MAPTから選択的スプライシングにより生成される。MAPTはH1/H2ハプロ多型に分類され、H1ハプロタイプがPSPのリスクである<ref name=Baker1999><pubmed>10072441</pubmed></ref> 。この2つのハプロタイプは、遺伝子が局所で逆方向となっているのに加え、複数のSNPが見いだされている。日本人はPSPかどうかにかかわらずH1ハプロ多型であり、PSP発症のリスクが高い集団であると言える。わが国における有病率が欧米に比し高い<ref name=Takigawa2016><pubmed>28031995</pubmed></ref> こととの関連性が示唆される。また、本疾患は孤発性の疾患であるが、家族性のPSPも報告されている<ref name=Fujioka2013><pubmed>24080486</pubmed></ref> 。


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