「注意のモデル」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
編集の要約なし
34行目: 34行目:
#実行制御ネットワーク: 反応行動生成時の葛藤制御や、課題の構えを維持するはたらきを担う。中前頭皮質、前帯状回が関わる。実行制御にも2つの下位ネットワークがあるともいわれる(Dosenbach et al., 2007) <ref name=Dosenbach2007><pubmed>17576922</pubmed></ref>。
#実行制御ネットワーク: 反応行動生成時の葛藤制御や、課題の構えを維持するはたらきを担う。中前頭皮質、前帯状回が関わる。実行制御にも2つの下位ネットワークがあるともいわれる(Dosenbach et al., 2007) <ref name=Dosenbach2007><pubmed>17576922</pubmed></ref>。


 これら3つの注意ネットワークの効率を測定する手法が注意ネットワーク検査である(Fan et al., 2009)。空間的手がかり課題とフランカ課題を組み合わせたもので、参加者は複数呈示される矢印のうち中央のものの方向(左または右)を答える。この矢印群の前に空間的手がかりとしての枠が呈示され、標的の位置やタイミングを知らせる。このとき、手がかりの有無条件間の差を覚醒・警戒ネットワークの効率の指標とする。空間的手がかりの一致・不一致の差、中央矢印と周辺矢印の一致・不一致の差をそれぞれ定位ネットワーク、実行制御ネットワークの効率の指標とする。これらの注意ネットワークは異なる皮質領域が関与し、独立に機能するといわれるが、この検査で測定した3つのネットワーク効率指標には一部相関がみられることから、これらの間での連関があると考えられる。この検査は子ども用も開発され、注意ネットワークの発達研究に利用されている(Arora et al., 2020)。
 これら3つの注意ネットワークの効率を測定する手法が注意ネットワーク検査である(Fan et al., 2009)<ref name=Fan2009><pubmed> 19269079 </pubmed></ref>
。空間的手がかり課題とフランカ課題を組み合わせたもので、参加者は複数呈示される矢印のうち中央のものの方向(左または右)を答える。この矢印群の前に空間的手がかりとしての枠が呈示され、標的の位置やタイミングを知らせる。このとき、手がかりの有無条件間の差を覚醒・警戒ネットワークの効率の指標とする。空間的手がかりの一致・不一致の差、中央矢印と周辺矢印の一致・不一致の差をそれぞれ定位ネットワーク、実行制御ネットワークの効率の指標とする。これらの注意ネットワークは異なる皮質領域が関与し、独立に機能するといわれるが、この検査で測定した3つのネットワーク効率指標には一部相関がみられることから、これらの間での連関があると考えられる。この検査は子ども用も開発され、注意ネットワークの発達研究に利用されている(Arora et al., 2020)<ref name=Arora2020><pubmed>32292363</pubmed></ref>


[[ファイル:横澤 注意のモデル Fig4.png|サムネイル|'''図4. 特徴統合理論 (Treisman & Gormican, 1988) <ref name=Treisman1988><pubmed>3353475</pubmed></ref>'''<br>第1段階の処理では、空間的に広がりを持つ特徴マップの集合がつくられ、第2段階の処理では、視覚的注意がある特定の領域に向けられ、それぞれのマップの情報を結合し、オブジェクトの照合が可能となる。視覚的注意は逐次的に次から次の項目へ向けられる。]]
[[ファイル:横澤 注意のモデル Fig4.png|サムネイル|'''図4. 特徴統合理論 (Treisman & Gormican, 1988) <ref name=Treisman1988><pubmed>3353475</pubmed></ref>'''<br>第1段階の処理では、空間的に広がりを持つ特徴マップの集合がつくられ、第2段階の処理では、視覚的注意がある特定の領域に向けられ、それぞれのマップの情報を結合し、オブジェクトの照合が可能となる。視覚的注意は逐次的に次から次の項目へ向けられる。]]
==特徴統合理論==
==特徴統合理論==


案内メニュー