「内側視索前野」の版間の差分

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===母性行動・育仔行動===
===母性行動・育仔行動===
 ラットでは妊娠末期に血中プロゲステロン濃度が低下し、エストロゲンとプロラクチン濃度が上昇すると、分娩後母性行動が現れる。適切な母性行動の発揮には、まず新生仔を忌避し、敵対する行動が抑制される必要がある。未経産の雌ラットのケージに新生仔を入れると、雌はその場所を忌避する<ref name=Numan1997><pubmed>9071346</pubmed></ref>。雌マウス内側視索前野中心部の選択的破壊は、この部位に存在するgalaninの脱落により母性行動を消失させる<ref name=Wu2014><pubmed>24828191</pubmed></ref>。哺育中の母マウスは内側視索前野・扁桃核のエストロゲン受容体陽性ニューロンを介して、接近してきた新奇雄を激しく攻撃する母性攻撃行動を示す<ref name=Ogawa2004><pubmed>15817742</pubmed></ref>、この行動の一側面として、哺育中の母マウスはリスクを顧みずに仔を守る行動を取る。最近黒田らは脳幹へ投射する内側視索前野のカルシトニン受容体陽性ニューロンとリガンドであるアミリンがこのリスクテーキング行動に関わっていることを示した<ref name=Yoshihara2021><pubmed>34077719</pubmed></ref>。雌雄双方で内側視索前野のガラニン作動性ニューロンが育仔に関与する<ref name=Wu2014><pubmed>24828191</pubmed></ref>。他方、内側視索前野脳弓周辺部に分布するウロコルチンニューロンが雌雄マウスで新生仔の無視や攻撃といった育仔阻害を誘発する<ref name=Autry2021><pubmed>34423776</pubmed></ref>。
 ラットでは妊娠末期に血中プロゲステロン濃度が低下し、エストロゲンとプロラクチン濃度が上昇すると、分娩後母性行動が現れる。適切な母性行動の発揮には、まず新生仔を忌避し、敵対する行動が抑制される必要がある。未経産の雌ラットのケージに新生仔を入れると、雌はその場所を忌避する<ref name=Numan1997><pubmed>9071346</pubmed></ref>。雌マウス内側視索前野中心部の選択的破壊は、この部位に存在するgalaninの脱落により母性行動を消失させる<ref name=Wu2014><pubmed>24828191</pubmed></ref>。哺育中の母マウスは内側視索前野・扁桃核のエストロゲン受容体陽性ニューロンを介して、接近してきた新奇雄を激しく攻撃する母性攻撃行動を示す<ref name=Ogawa2004><pubmed>15817742</pubmed></ref>、この行動の一側面として、哺育中の母マウスはリスクを顧みずに仔を守る行動を取る。最近黒田らは脳幹へ投射する内側視索前野のカルシトニン受容体陽性ニューロンとリガンドであるアミリンがこのリスクテーキング行動に関わっていることを示した<ref name=Yoshihara2021><pubmed>34077719</pubmed></ref>。雌雄双方で内側視索前野のガラニン作動性ニューロンが育仔に関与する<ref name=Wu2014><pubmed>24828191</pubmed></ref>。他方、内側視索前野脳弓周辺部に分布するウロコルチンニューロンが雌雄マウスで新生仔の無視や攻撃といった育仔放棄を誘発する<ref name=Autry2021><pubmed>34423776</pubmed></ref>。




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