「自由エネルギー原理」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
編集の要約なし
編集の要約なし
編集の要約なし
14行目: 14行目:


==理論の概要==
==理論の概要==
[[ファイル:自由エネルギー原理の概念図。.jpg|サムネイル|'''図1 自由エネルギー原理の概念図。'''ここでは、外界(飼い主)は生成モデルに従い隠れた状態変数(隠れ状態)から感覚入力を生成すると考える。エージェント(イヌ)は、自由エネルギーを最小化するように隠れ状態やパラメータの期待値や行動を更新することで能動的な推論を行う。図は総説論文<ref name=Isomura2022a><pubmed>34968557</pubmed></ref>より改変。]]
[[ファイル:自由エネルギー原理の概念図。.jpg|サムネイル|'''図1 自由エネルギー原理の概念図。'''ここでは、外界(飼い主)は生成モデルに従い隠れた状態変数(隠れ状態)から感覚入力を生成すると考える。エージェント(イヌ)は、自由エネルギーを最小化するように隠れ状態やパラメータの期待値や行動を更新することで能動的な推論を行う。図は総説<ref name=Isomura2022a><pubmed>34968557</pubmed></ref>より改変。]]


 自由エネルギー原理は、簡単にいうと「生物の知覚や学習、行動は変分自由エネルギーと呼ばれるコスト関数を最小化するように決まり、その結果生物は外界に適応できる」という理論である。変分自由エネルギーの最小化というシンプルな法則に基づき、生物の知能をベイズ推論により統一的に記述し理解することを目的としている<ref name=Friston2006><pubmed>17097864</pubmed></ref><ref name=Friston2010><pubmed>20068583</pubmed></ref>。
 自由エネルギー原理は、簡単にいうと「生物の知覚や学習、行動は変分自由エネルギーと呼ばれるコスト関数を最小化するように決まり、その結果生物は外界に適応できる」という理論である。変分自由エネルギーの最小化というシンプルな法則に基づき、生物の知能をベイズ推論により統一的に記述し理解することを目的としている<ref name=Friston2006><pubmed>17097864</pubmed></ref><ref name=Friston2010><pubmed>20068583</pubmed></ref>。
25行目: 25行目:


 また生成モデルは事前分布により特徴付けられることから、様々な精神障害の神経メカニズムを誤った生成モデルや事前分布に基づくベイズ推論・予測の破綻として理解することが提唱されている<ref name=Fletcher2009><pubmed>19050712</pubmed></ref><ref name=Friston2014><pubmed>26360579</pubmed></ref>。
 また生成モデルは事前分布により特徴付けられることから、様々な精神障害の神経メカニズムを誤った生成モデルや事前分布に基づくベイズ推論・予測の破綻として理解することが提唱されている<ref name=Fletcher2009><pubmed>19050712</pubmed></ref><ref name=Friston2014><pubmed>26360579</pubmed></ref>。
 以下では、変分ベイズ推論と能動的推論の概要について総説<ref name=Isomura2022a><pubmed>34968557</pubmed></ref>をもとに手短に紹介するが、より包括的な解説や議論に関しては他の優れた総説<ref name=Friston2010><pubmed>20068583</pubmed></ref><ref name=Buckley2017>'''Buckley, C. L., Kim, C. S., McGregor, S., & Seth, A. K. (2017).'''<br>The free energy principle for action and perception: A mathematical review. Journal of Mathematical Psychology, 81, 55-79.</ref><ref name=Bogacz2017><pubmed>28298703</pubmed></ref><ref name=DaCosta2020><pubmed>33343039</pubmed></ref><ref name=Friston2022>'''Friston, K. J., Da Costa, L., Sajid, N., Heins, C., Ueltzhöffer, K., Pavliotis, G. A., & Parr, T. (2022).'''<br>The free energy principle made simpler but not too simple. Preprint at arXiv 2201.06387.</ref>を参照していただきたい。


==変分ベイズ推論==
==変分ベイズ推論==
11

回編集

案内メニュー