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==== SMN2以外の修飾因子 ==== | ==== SMN2以外の修飾因子 ==== | ||
SMN2遺伝子のほか、SMN遺伝子の近傍にある[[neuronal apoptosis inhibitory protein]] ([[NAIP]])遺伝子、[[Small EDRK-Rich Factor 1]] ([[SERF1]])遺伝子などが重症度に関連している<ref name=He2013><pubmed>23352792</pubmed></ref>[12]。NAIP遺伝子は神経細胞の[[アポトーシス]]抑制に関与している<ref name=Roy1995><pubmed>7813013</pubmed></ref>[13]。SERF1遺伝子の機能は不明である<ref name=Scharf1998><pubmed>9731538</pubmed></ref>[14]。 | SMN2遺伝子のほか、SMN遺伝子の近傍にある[[neuronal apoptosis inhibitory protein]] ([[NAIP]])遺伝子、[[Small EDRK-Rich Factor 1]] ([[SERF1]])遺伝子などが重症度に関連している<ref name=He2013><pubmed>23352792</pubmed></ref>[12]。NAIP遺伝子は神経細胞の[[アポトーシス]]抑制に関与している<ref name=Roy1995><pubmed>7813013</pubmed></ref>[13]。SERF1遺伝子の機能は不明である<ref name=Scharf1998><pubmed>9731538</pubmed></ref>[14]。 | ||
[[ファイル:脊髄性筋萎縮症 Fig2.png|サムネイル|350px|'''図2. 治療戦略'''<br>SMN1遺伝子が欠損すると、SMNタンパク質が著明に減少し、SMNを発症する。SMN2は存在してもエクソン7を欠くmRNAは安定なタンパク質を形成できず、SMNタンパク質の量は低い。AVXS-101(オナセムノゲンアベパルボベク)はウイルスベクターで活性のあるSMN1遺伝子を導入する。ヌシネルセン、リスジプラムはエクソン7を含むSMN2 mRNAの産生を促す。]] | |||
== 治療 == | == 治療 == | ||
=== 支持療法 === | === 支持療法 === | ||
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5q型脊髄性筋萎縮症については、その遺伝子を標的とした治療が試みられている。 | 5q型脊髄性筋萎縮症については、その遺伝子を標的とした治療が試みられている。 | ||
==== ヌシネルセン ==== | ==== ヌシネルセン ==== | ||
[[ヌシネルセン]](商品名:[[スピンラザ]])は、[[アンチセンスオリゴヌクレオチド]] | [[ヌシネルセン]](商品名:[[スピンラザ]])は、[[アンチセンスオリゴヌクレオチド]]である。SMN2のpre-mRNAのエクソン7下流に結合し、[[スプライシング因子]]である[[serine/arginine-rich splicing factor 1]] ([[SRSF1]])の結合することでスプライシングを阻害し、Δ7 mRNAからエクソン7を含んだ完全長mRNAへと産生をシフトさせることで、機能性SMNタンパク質の産生量を増加させる。臨床試験で、I型の死亡率を低下させ<ref name=Finkel2017><pubmed>29091570</pubmed></ref>[17]、II、III型の機能予後を改善することが報告された<ref name=Mercuri2018><pubmed>29443664</pubmed></ref>[18]。成人例への投与例に関しては、観察研究の報告がある<ref name=Hagenacker2020><pubmed>32199097</pubmed></ref>[19]。 | ||
==== オナセムノゲンアベパルボベク ==== | ==== オナセムノゲンアベパルボベク ==== | ||
[[オナセムノゲンアベパルボベク]]( | [[オナセムノゲンアベパルボベク]](AVXS-101、製品名 [[ゾルゲンスマ]])は、[[ウイルスベクター#.E3.82.A2.E3.83.87.E3.83.8E.E9.9A.8F.E4.BC.B4.E3.82.A6.E3.82.A4.E3.83.AB.E3.82.B9.E3.83.99.E3.82.AF.E3.82.BF.E3.83.BC|アデノ随伴ウイルスベクター]]([[AAV vector]])にSMN1遺伝子を組み込んだ遺伝子治療薬である。正常なSMN遺伝子を導入し、SMNタンパク質の発現量を増加させる。乳児の臨床試験での有効性が報告された<ref name=Mendell2017><pubmed>29091557</pubmed></ref>[20]。 | ||
==== リスジプラム ==== | ==== リスジプラム ==== | ||
[[リスジプラム]](商品名[[エブリスディ]])は、経口投与が可能な小分子化合物である。SMN2 pre-mRNAの[[選択的スプライシング]]を修飾し、Δ7 mRNAからエクソン7を含んだ完全長mRNAへと産生をシフトさせることで、機能性SMNタンパク質の産生量を増加させる。臨床試験で機能を改善させた<ref name=Mercuri2022><pubmed>34942136</pubmed></ref><ref name=Darras2021><pubmed>34320287</pubmed></ref>[21] [22]。 | [[リスジプラム]](商品名[[エブリスディ]])は、経口投与が可能な小分子化合物である。SMN2 pre-mRNAの[[選択的スプライシング]]を修飾し、Δ7 mRNAからエクソン7を含んだ完全長mRNAへと産生をシフトさせることで、機能性SMNタンパク質の産生量を増加させる。臨床試験で機能を改善させた<ref name=Mercuri2022><pubmed>34942136</pubmed></ref><ref name=Darras2021><pubmed>34320287</pubmed></ref>[21] [22]。 | ||
== 疫学 == | == 疫学 == | ||
発症率は6000〜11000人の出生に1人とされている<ref name=Feldkotter2002><pubmed>11791208</pubmed></ref><ref name=Sugarman2012><pubmed>21811307</pubmed></ref>[23], [24]。日本では10000出生あたり0.51人との報告がある<ref name=Ito2022><pubmed>34452804</pubmed></ref>[25]。乳幼児の致死的遺伝性疾患として、脊髄性筋萎縮症は[[嚢胞性線維症]]と並んで最多の1つである<ref name=Burr2022><pubmed>32809522</pubmed></ref>[26]。 | 発症率は6000〜11000人の出生に1人とされている<ref name=Feldkotter2002><pubmed>11791208</pubmed></ref><ref name=Sugarman2012><pubmed>21811307</pubmed></ref>[23], [24]。日本では10000出生あたり0.51人との報告がある<ref name=Ito2022><pubmed>34452804</pubmed></ref>[25]。乳幼児の致死的遺伝性疾患として、脊髄性筋萎縮症は[[嚢胞性線維症]]と並んで最多の1つである<ref name=Burr2022><pubmed>32809522</pubmed></ref>[26]。 | ||
== 参考文献 == | == 参考文献 == | ||
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