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第三段階('''図1D''')では、第一段階で学習したS-R-O連関の「outcome画像」すべてが最初に提示される。そのうちいくつかには第二段階で学習した報酬無しの目印(×)がつけられている。続いて、「stimulus画像」が一つだけ提示される。提示された「stimulus画像」に対応する「outcome画像」がdevaluationされていなければ、被験者は対応するスイッチを押すことで報酬が得られる。提示された「stimulus画像」に対応する「outcome画像」がdevaluationされている場合は、スイッチを押さずに待機する必要があり、スイッチを押した場合は罰が与えられる。この時、「stimulus画像」の提示は短時間に設定されており、反応を急ぐことでエラーが起こりやすくなっている。S-R連関に依存した習慣的な意思決定が優位な場合、devaluationの有無にかかわらず「stimulus画像」の提示により対応したスイッチを押すresponseが行われやすい(Slips-of-Action)。第一段階、第二段階のスコアに差がない、つまりS-R-O連関の学習は正しく行われているにもかかわらず、第三段階でSlips-of-Actionの発生率が増えた場合、その被験者はより習慣的な意思決定に依存しやすいという考察が可能である。 | 第三段階('''図1D''')では、第一段階で学習したS-R-O連関の「outcome画像」すべてが最初に提示される。そのうちいくつかには第二段階で学習した報酬無しの目印(×)がつけられている。続いて、「stimulus画像」が一つだけ提示される。提示された「stimulus画像」に対応する「outcome画像」がdevaluationされていなければ、被験者は対応するスイッチを押すことで報酬が得られる。提示された「stimulus画像」に対応する「outcome画像」がdevaluationされている場合は、スイッチを押さずに待機する必要があり、スイッチを押した場合は罰が与えられる。この時、「stimulus画像」の提示は短時間に設定されており、反応を急ぐことでエラーが起こりやすくなっている。S-R連関に依存した習慣的な意思決定が優位な場合、devaluationの有無にかかわらず「stimulus画像」の提示により対応したスイッチを押すresponseが行われやすい(Slips-of-Action)。第一段階、第二段階のスコアに差がない、つまりS-R-O連関の学習は正しく行われているにもかかわらず、第三段階でSlips-of-Actionの発生率が増えた場合、その被験者はより習慣的な意思決定に依存しやすいという考察が可能である。 | ||
健常者と患者の比較など、条件の異なる被験者集団間の比較に用いられ、[[強迫性障害]]、[[トゥレット障害]]といった精神疾患患者や[[ストレス]]負荷、[[睡眠]]妨害、[[セロトニン]]および[[ドパミン]]欠乏状態によって習慣的な意思決定が優位となることが報告されている<ref name=Gillan2011><pubmed>21572165</pubmed></ref><ref name=Delorme2016><pubmed>26490329</pubmed></ref><ref name=Smeets2019><pubmed>29807661</pubmed></ref><ref name=Worbe2015><pubmed>25663044</pubmed></ref><ref name=Chen2017><pubmed>29109237 | 健常者と患者の比較など、条件の異なる被験者集団間の比較に用いられ、[[強迫性障害]]、[[トゥレット障害]]といった精神疾患患者や[[ストレス]]負荷、[[睡眠]]妨害、[[セロトニン]]および[[ドパミン]]欠乏状態によって習慣的な意思決定が優位となることが報告されている<ref name=Gillan2011><pubmed>21572165</pubmed></ref><ref name=Delorme2016><pubmed>26490329</pubmed></ref> <ref name=Smeets2019><pubmed>29807661</pubmed></ref> <ref name=Worbe2015><pubmed>25663044</pubmed></ref><ref name=Chen2017><pubmed>29109237</pubmed></ref>。 | ||
=== Two-Step Sequential Decision-Making Task === | === Two-Step Sequential Decision-Making Task === | ||
(日本語は?) | |||
[[ファイル:Asaoka 目的指向行動Fig2.jpg|サムネイル|'''図2.Two-Step Sequential Decision-Making Task''']] | [[ファイル:Asaoka 目的指向行動Fig2.jpg|サムネイル|'''図2.Two-Step Sequential Decision-Making Task''']] | ||
Slips-of-Action testと同様に主にヒトもしくは非ヒト霊長類の試験で用いられる課題であり、モニターに表示された画像に応じて手元のスイッチ(左右2つ)を押し分けることで報酬を獲得するという基本パラダイムは共通するが、こちらの課題では正解の選択があらかじめ明示されることはない。また、画像の提示や報酬の有無を含めたresponseは確率によって変動するなど、被験者に明確なルールが分からないように設計されている。このように正解の不確かな課題に対する行動戦略が心的モデルあり(model-based)かモデルなし(model-free)かを評価する <ref name=Daw2011><pubmed>21435563</pubmed></ref>。 | Slips-of-Action testと同様に主にヒトもしくは非ヒト霊長類の試験で用いられる課題であり、モニターに表示された画像に応じて手元のスイッチ(左右2つ)を押し分けることで報酬を獲得するという基本パラダイムは共通するが、こちらの課題では正解の選択があらかじめ明示されることはない。また、画像の提示や報酬の有無を含めたresponseは確率によって変動するなど、被験者に明確なルールが分からないように設計されている。このように正解の不確かな課題に対する行動戦略が心的モデルあり(model-based)かモデルなし(model-free)かを評価する <ref name=Daw2011><pubmed>21435563</pubmed></ref>。 |