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担当編集委員:[http://researchmap.jp/read0192882 古屋敷 智之](神戸大学大学院医学研究科・医学部 薬理学分野)<br> | 担当編集委員:[http://researchmap.jp/read0192882 古屋敷 智之](神戸大学大学院医学研究科・医学部 薬理学分野)<br> | ||
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英:histone methyl transferase<br> | |||
英略称:HMT | |||
{{box|text= | {{box|text= ヒストンメチル基転移酵素はヒストンは特定の残基にメチル化する。それにより、遺伝子発現、細胞周期、ゲノムの安定性、核構造の調節など、細胞の重要な機能が制御される。ヒストンメチル基転移酵素はヒストンリジンメチル基転移酵素(KMT)とタンパク質アルギニンメチル基転移酵素(PRMT)の2つに分類され、ヒストンリジンメチル基転移酵素はさらにSETドメイン型と非SETドメイン型に分類される。神経系では、ヒストンメチル基転移酵素はニューロンの発生、成熟、機能、維持に関与しており、その異常な活性化または不活性化は、神経疾患に繋がる。}} | ||
== 歴史・背景 == | == 歴史・背景 == | ||
1964年に[[ゲノム]][[DNA]]の[[mRNA]]への[[転写]]が[[ヒストン]]タンパク質の[[リジン]]のε-アミノ基のメチル化によって調節されることが見出された<ref name=Allfrey1964><pubmed>17836360</pubmed></ref>。しかし、[[w:Thomas Jenuwein|Thomas Jenuwein]]らにより、最初の[[ヒストンリジンメチル基転移酵素]]である[[ヒト]]および[[マウス]] [[suppressor of variegation 3-9 homolog1]] ([[SUV39H1]]、[[KMT1A]]としても知られる) が報告されたのは2000年になってからのことであった。その後、[[ショウジョウバエ]]の3つのタンパク質、[[Su(var)3-9]]、[[Enhancer of Zeste]]、[[Trithorax]]が共通して持つ[[SETドメイン]]とのホモロジー検索により、多くのヒストンリジンメチル基転移酵素が同定された<ref name=Dillon2005><pubmed>16086857</pubmed></ref><ref name=Jenuwein2006><pubmed>16857008</pubmed></ref>。 | |||
一方、タンパク質アルギニンメチル基転移酵素は、ヒストンやその他のタンパク質のアルギニン残基のメチル化を触媒することによって様々な生物学的プロセスに関与する。ヒストンタンパク質のアルギニン残基のメチル化が発見された1967年以降から現在までに哺乳類で9つが同定されている。 | 一方、タンパク質アルギニンメチル基転移酵素は、ヒストンやその他のタンパク質のアルギニン残基のメチル化を触媒することによって様々な生物学的プロセスに関与する。ヒストンタンパク質のアルギニン残基のメチル化が発見された1967年以降から現在までに哺乳類で9つが同定されている。 | ||
いずれも[[S-アデノシルメチオニン]] ([[S-adenosyl methionine]], [[SAM]]/[[Adomet]])を[[補因子]]として、アルギニン残基にメチル基を転移させる。[[酵母]]からヒトまで広く[[真核生物]]で進化的に保存されている<ref name=Rea2000><pubmed>10949293</pubmed></ref>。 | |||
== 構造 == | == 構造 == |