16,040
回編集
細 (→道具の強迫的使用) |
細 (→他人の手兆候) |
||
84行目: | 84行目: | ||
しかし,後には手が本人の意思に反して勝手に行動するという現象に広く用いられるようになった。その中には拮抗失行(右手が意思を反映し,左手が意思に反する)や道具の強迫的使用(右手が意思に反し,左手が意思を反映する),脳梁離断症状ではない把握反射の亢進や,本能性把握反応等も含まれている。手が本人の意思に反して勝手に行動する場合には,脳梁膝部から脳梁体部前半,前頭葉内側,補足運動野等の関与が指摘されている。 | しかし,後には手が本人の意思に反して勝手に行動するという現象に広く用いられるようになった。その中には拮抗失行(右手が意思を反映し,左手が意思に反する)や道具の強迫的使用(右手が意思に反し,左手が意思を反映する),脳梁離断症状ではない把握反射の亢進や,本能性把握反応等も含まれている。手が本人の意思に反して勝手に行動する場合には,脳梁膝部から脳梁体部前半,前頭葉内側,補足運動野等の関与が指摘されている。 | ||
なお,片手が勝手に動くという症状そのものは大脳皮質基底核変性症(corticobasal degeneration)で生じることが多いが,それに関しては脳梁離断によるものとは考えにくい<ref name=Gilot1975 /><ref name=Amalnath2013><pubmed>23661956</pubmed></ref><ref name=綱本2017>'''網本和 (2017).'''<br>エイリアンハンド徴候(alien hand sign). 理学療法ジャーナル, 51(11), 1017. [DOI: 10.11477/mf.1551201040]</ref> [2][24][25]。 | |||
== 脳梁未形成(脳梁欠損) == | == 脳梁未形成(脳梁欠損) == | ||
脳梁未形成(Agenesis of the Corpus Callosum)は,脳梁が完全にまたは部分的に欠損している先天異常であり,55~70%は原因不明である。一部に染色体異常もあり,また遺伝的因子の関与も想定されている。発生頻度は,1.8/10,000人の割合とされている。通常,胎児期7週から20週で脳梁が形成されるので,脳梁欠損は妊娠20週以降の胎児超音波検査で診断されることが多い。脳梁以外の奇形や合併症がない単独型では無症状で,神経学的には異常所見を認めないことが多い。奇形を合併している脳梁欠損の場合でも,運動発達は80%以上の患者で正常,精神発達も大きな遅れはないと言われているが,てんかん,知的障害,発達障害などを生じる場合がある。 | 脳梁未形成(Agenesis of the Corpus Callosum)は,脳梁が完全にまたは部分的に欠損している先天異常であり,55~70%は原因不明である。一部に染色体異常もあり,また遺伝的因子の関与も想定されている。発生頻度は,1.8/10,000人の割合とされている。通常,胎児期7週から20週で脳梁が形成されるので,脳梁欠損は妊娠20週以降の胎児超音波検査で診断されることが多い。脳梁以外の奇形や合併症がない単独型では無症状で,神経学的には異常所見を認めないことが多い。奇形を合併している脳梁欠損の場合でも,運動発達は80%以上の患者で正常,精神発達も大きな遅れはないと言われているが,てんかん,知的障害,発達障害などを生じる場合がある。 |