「14-3-3タンパク質」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
編集の要約なし
35行目: 35行目:


== 脳神経系における分布 ==
== 脳神経系における分布 ==
 各アイソフォームに特異的なcDNAを用いたin situ hybridization解析では、ラット脳の14-3-3mRNAはモノアミン合成ニューロンだけでなく、ほとんどすべての領域で発現していることが確認されている。いずれの領域でも、発現は神経細胞で顕著であり、特に嗅覚分裂細胞、海馬錐体細胞、小脳プルキンエ細胞、脳幹や脊髄の運動ニューロンなど、比較的大きな細胞体と高度に発達した樹状突起野を持つ投射型ニューロンで多量に検出されている<ref name=Watanabe1991><pubmed>1649368</pubmed></ref>[20]。一方、こうしたmRNAの発現には、ラットの発生初期から一貫して高レベルの発現を示すニューロン、発生初期に高発現を示し、その後成熟期と成体期に発現が減少するニューロン、発生を通じて低レベルの発現を示すニューロンの3つのタイプがあることが確認されている。さらに、ある種のニューロンでは、14-3-3mRNAの発現にアイソフォーム特異性があることが知られている<ref name=Watanabe1994><pubmed>7984035</pubmed></ref>[21]。
 各アイソフォームに特異的なcDNAを用いた''in situ hybridization''解析では、ラット脳の14-3-3タンパク質のmRNAはモノアミン合成ニューロンだけでなく、ほとんどすべての領域で発現していることが確認されている。いずれの領域でも、発現は神経細胞で顕著であり、特に嗅球僧帽細胞、海馬錐体細胞、小脳プルキンエ細胞、脳幹や脊髄の運動ニューロンなど、比較的大きな細胞体と高度に発達した樹状突起野を持つ投射型ニューロンで多量に検出されている<ref name=Watanabe1991><pubmed>1649368</pubmed></ref>[20]。一方、こうしたmRNAの発現には、ラットの発生初期から一貫して高レベルの発現を示すニューロン、発生初期に高発現を示し、その後成熟期と成体期に発現が減少するニューロン、発生を通じて低レベルの発現を示すニューロンの3つのタイプがあることが確認されている。さらに、ある種のニューロンでは、mRNAの発現にアイソフォーム特異性があることが知られている<ref name=Watanabe1994><pubmed>7984035</pubmed></ref>[21]。


 各アイソフォームに特異的な抗体を用いた免疫組織化学では、神経細胞の軸索や樹状突起を含む細胞体で発現が確認されている。また、ほとんどの原発性ヒト神経系腫瘍において14-3-3タンパク質の発現亢進が認められている<ref name=Cao2006><pubmed>16292484</pubmed></ref>[22]。一方、細胞分画法を組み合わせた生化学的な方法では、14-3-3タンパク質は主に細胞質画分に検出されるが、かなりの割合がシナプス膜などの不溶性画分にアイソフォーム特異的に検出されている<ref name=Martin1994><pubmed>7964746</pubmed></ref>[23]。
 各アイソフォームに特異的な抗体を用いた免疫組織化学では、神経細胞の軸索や樹状突起を含む細胞体で発現が確認されている。また、ほとんどの原発性ヒト神経系腫瘍において14-3-3タンパク質の発現亢進が認められている<ref name=Cao2006><pubmed>16292484</pubmed></ref>[22]。一方、細胞分画法を組み合わせた生化学的な方法では、14-3-3タンパク質は主に細胞質画分に検出されるが、かなりの割合がシナプス膜などの不溶性画分にアイソフォーム特異的に検出されている<ref name=Martin1994><pubmed>7964746</pubmed></ref>[23]。

案内メニュー