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== トランスフォーミング増殖因子βとは == | == トランスフォーミング増殖因子βとは == | ||
トランスフォーミング増殖因子β (transforming growth factors; TGF) は骨形成因子、抗ミュラー管ホルモン、アクチビン、インヒビンとともにTGF-βスーパーファミリータンパク質に含まれるサイトカインで、発生過程および成体において様々な細胞機能の調節を行っている<ref name=Burt1994><pubmed>8199356</pubmed></ref>。異なるTGF-βスーパーファミリーのメンバーは機能が重複している場合もあるが、互いの機能を拮抗させたりすることもある。ここでは哺乳類のTGF-βについて述べる。 | トランスフォーミング増殖因子β (transforming growth factors; TGF) は骨形成因子、抗ミュラー管ホルモン、アクチビン、インヒビンとともにTGF-βスーパーファミリータンパク質に含まれるサイトカインで、発生過程および成体において様々な細胞機能の調節を行っている<ref name=Burt1994><pubmed>8199356</pubmed></ref>。異なるTGF-βスーパーファミリーのメンバーは機能が重複している場合もあるが、互いの機能を拮抗させたりすることもある。ここでは哺乳類のTGF-βについて述べる。 | ||
[[ファイル:Nakajima TGFbeta Fig1.png|サムネイル|'''図1. TGF-β1 (small latent complex) の模式図''']] | |||
== 構造 == | == 構造 == | ||
TGF- | TGF-βは前駆体タンパク質(プレプロタンパク質)として細胞内で産生される'''(図1)'''<ref name=Blanchette1997><pubmed>9109442</pubmed></ref><ref name=Dubois1995><pubmed>7737999</pubmed></ref><ref name=Khalil1999><pubmed>10611753</pubmed></ref>。前駆体タンパク質は、N末端シグナルペプチド、潜在関連ペプチド(latency-associated peptide: LAP)、C末端成熟フラグメントの3つのフラグメントで構成されている。小胞体内腔で前駆体タンパク質からシグナルペプチドが切断された後、残りの前駆体タンパク質(プロタンパク質)はジスルフィド結合を介して二量体化し、ゴルジ装置に移行する。ゴルジ装置ではプロテアーゼであるフーリン(furin)によって成熟型(活性型)TGF-βと潜伏関連ペプチドの2つの部位に分解される。成熟TGF-βとLAPのそれぞれの二量体は非共有結合で相互作用し、small latent complex (SLC)と呼ばれる潜在型複合体となるが、このSLCは潜在型TGF-β結合タンパク質(latent TGFβ binding protein: LTBP)との結合によってlarge latent complex (LLC)と呼ばれるさらに大きな潜在型複合体となる。LLCはその後、細胞外マトリックスへ分泌される<ref name=Khalil1999><pubmed>10611753</pubmed></ref><ref name=Saharinen1996><pubmed>8617200</pubmed></ref>。実際に様々な生理学的作用を発揮するのはこの成熟TGF-βであり、TGF-βが生理的作用を発揮するにはLLC内のSLCから成熟型TGF-βが遊離される必要がある。LLCから分離した成熟TGF-βはC末端部分からの25kDaの二量体で、LAPはN末端領域からの65~75kDaの二量体である<ref name=Khalil1999><pubmed>10611753</pubmed></ref>。アシドーシスやタンパク質分解による切断など、LLCから成熟型TGF-βを遊離するメカニズム方法はin vitroの実験によっていくつか提唱されているが<ref name=Khalil1999><pubmed>10611753</pubmed></ref>、生体内での正確なメカニズムプロセスについては不明な点が多く残されている。 | ||
== サブファミリー == | == サブファミリー == | ||