「温度受容体」の版間の差分

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 マスタードオイル、活性酸素種、アクロレイン、Ca2+、Zn2+、細胞内アルカリ化、プロポフォールをはじめとした薬剤など、活性化刺激は多岐にわたる。
 マスタードオイル、活性酸素種、アクロレイン、Ca2+、Zn2+、細胞内アルカリ化、プロポフォールをはじめとした薬剤など、活性化刺激は多岐にわたる。
=== 機能 ===
=== 機能 ===
 Ca2+透過性をもつ非選択性陽イオンチャネルであり、感覚神経のTRPA1はポリモーダル受容器としてさまざまな化学侵害刺激の受容、侵害性冷刺激の受容に関与する<ref name=Kwan2006><pubmed>16630838</pubmed></ref>。また、急性痛のみならず、炎症性疼痛、神経障害性疼痛などの慢性疼痛の惹起に関わる<ref name=del Camino2010><pubmed>21068322</pubmed></ref><ref name=McNamara2007><pubmed>17686976</pubmed></ref><ref name=Obata2005><pubmed>16110328</pubmed></ref>。
 Ca<sup>2+</sup>透過性をもつ非選択性陽イオンチャネルであり、感覚神経のTRPA1はポリモーダル受容器としてさまざまな化学侵害刺激の受容、侵害性冷刺激の受容に関与する<ref name=Kwan2006><pubmed>16630838</pubmed></ref>。また、急性痛のみならず、炎症性疼痛、神経障害性疼痛などの慢性疼痛の惹起に関わる<ref name=delCamino2010><pubmed>21068322</pubmed></ref><ref name=McNamara2007><pubmed>17686976</pubmed></ref><ref name=Obata2005><pubmed>16110328</pubmed></ref>。


 非脊椎動物を含む広範な生物種においては侵害性熱刺激の受容に関わっている。哺乳類においても侵害性熱刺激の受容に関わることがTRPV1/TRPM3/TRPA1ノックアウトマウスの解析から報告された<ref name=Vandewauw2018><pubmed>29539642</pubmed></ref>。
 非脊椎動物を含む広範な生物種においては侵害性熱刺激の受容に関わっている。哺乳類においても侵害性熱刺激の受容に関わることがTRPV1/TRPM3/TRPA1ノックアウトマウスの解析から報告された<ref name=Vandewauw2018><pubmed>29539642</pubmed></ref>。


解熱鎮痛薬のアセトアミノフェンは侵害性一次求心性神経の中枢側に発現するTRPA1を活性化させて鎮痛作用をもたらすことが報告されている。アセトアミノフェン代謝物(N-アセチル-p-ベンゾキノンイミン;NAPQ1、p-ベンゾキノン;p-BQ)が中枢側のTRPA1の活性化により活動電位の減少と電位作動性カルシウムチャネルの不活性化を起こすことで二次求心性神経への情報伝達を抑制し、鎮痛作用を生じると考えられる<ref name=Andersson2011><pubmed>22109525</pubmed></ref>。
 解熱鎮痛薬のアセトアミノフェンは侵害性一次求心性神経の中枢側に発現するTRPA1を活性化させて鎮痛作用をもたらすことが報告されている。アセトアミノフェン代謝物(N-アセチル-p-ベンゾキノンイミン;NAPQ1、p-ベンゾキノン;p-BQ)が中枢側のTRPA1の活性化により活動電位の減少と電位作動性カルシウムチャネルの不活性化を起こすことで二次求心性神経への情報伝達を抑制し、鎮痛作用を生じると考えられる<ref name=Andersson2011><pubmed>22109525</pubmed></ref>。


 アストロサイトのTRPA1が髄鞘形成の促進や<ref name=Kakae2023><pubmed>37478173</pubmed></ref>や細胞内基底Ca2+濃度の維持に関与することが報告されている。TRPA1によるアストロサイトの基底Ca2+濃度調節は、GABAトランスポーター3(GAT-3)を介した抑制性シナプスの機能調節<ref name=Shigetomi2011><pubmed>22158513</pubmed></ref>やD-セリンの放出を介した海馬におけるNMDA依存的な長期増強(LTP)形成に関わるとの報告がある<ref name=Shigetomi2013><pubmed>23761909</pubmed></ref>。
 アストロサイトのTRPA1が髄鞘形成の促進や<ref name=Kakae2023><pubmed>37478173</pubmed></ref>や細胞内基底Ca2+濃度の維持に関与することが報告されている。TRPA1によるアストロサイトの基底Ca<sup>2+</sup>濃度調節は、GABAトランスポーター3(GAT-3)を介した抑制性シナプスの機能調節<ref name=Shigetomi2011><pubmed>22158513</pubmed></ref>や<small>D</small>-セリンの放出を介した海馬におけるNMDA依存的な長期増強(LTP)形成に関わるとの報告がある<ref name=Shigetomi2013><pubmed>23761909</pubmed></ref>。


=== TRPC5 ===
=== TRPC5 ===

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