「グリコシルホスファチジルイノシトールアンカー」の版間の差分

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== 構造 ==
== 構造 ==
 GPIアンカーは、その末端にあるエタノールアミン(EtN)のアミノ基がタンパク質のカルボキシ末端とアミド結合を形成して付加している。GPIアンカーの基本骨格は全ての生物で保存されており、構造は、―エタノールアミンリン酸(EtN-P)―マンノース(Man)3残基―グルコサミン(GlcN)―イノシトールリン脂質である<ref name=Kinoshita2024><pubmed>39129667</pubmed></ref>(図1)。ここで、GlcNはアセチル化されていないことがGPIアンカーの特徴である。これは生合成の過程で付加されたN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)が脱アセチル化されてGlcNになることによる(図2のステップ2)。
 GPIアンカーは、その末端にある[[エタノールアミン]](EtN)の[[アミノ基]]がタンパク質のカルボキシ末端と[[アミド結合]]を形成して付加している。GPIアンカーの基本骨格は全ての生物で保存されており、構造は、[[エタノールアミンリン酸]](EtN-P)―[[マンノース]](Man)3残基―[[グルコサミン]](GlcN)―[[イノシトールリン脂質]]である<ref name=Kinoshita2024><pubmed>39129667</pubmed></ref>('''図1''')。ここで、GlcNは[[アセチル化]]されていないことがGPIアンカーの特徴である。これは生合成の過程で付加されたN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)が脱アセチル化されてGlcNになることによる('''図2'''のステップ2)。


 哺乳動物細胞のGPIではイノシトールリン脂質はPIで、第1Manに結合したEtN-Pが保存された側鎖として含まれる。さらにタンパク質によって、また細胞種によって第4Man側鎖、そして第1Manに結合したN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)から始まる側鎖を持っている。GalNAc鎖は、ガラクトースそしてシアル酸(N-アセチルノイラミン酸など)まで伸長することが知られている。特にプリオンタンパク質では、シアル酸まで伸びたGalNAc側鎖を持っており、脳内での増殖や神経細胞変性に関わっていることが知られている<ref name=Hirata2022><pubmed>35151686</pubmed></ref>。
 哺乳動物細胞のGPIではイノシトールリン脂質はホスファチジルイノシトールで、第1マンノースに結合したエタノールアミンリン酸が保存された側鎖として含まれる。さらにタンパク質によって、また細胞種によって第4マンノース側鎖、そして第1マンノースに結合した[[N-アセチルガラクトサミン]](GalNAc)から始まる側鎖を持っている。N-アセチルガラクトサミン鎖は、ガラクトースそして[[シアル酸]]([[N-アセチルノイラミン酸]]など)まで伸長することが知られている。特に[[プリオン]]タンパク質では、シアル酸まで伸びたN-アセチルガラクトサミン側鎖を持っており、脳内での増殖や[[神経細胞変性]]に関わっていることが知られている<ref name=Hirata2022><pubmed>35151686</pubmed></ref>。


 従来すべてのGPIアンカー型タンパク質はタンパク質がEtN-Pを介して第3Manに結合していると考えられていたが、最近ecto-5’-nucleotidase(CD73)やnetrinG2など一部のものはEtN-Pを介して第2Manに結合していることがわかった<ref name=Ishida2022><pubmed>35603428</pubmed></ref> ('''図1''')。
 従来すべてのGPIアンカー型タンパク質はタンパク質がエタノールアミンリン酸を介して第3マンノースに結合していると考えられていたが、最近ecto-5'-nucleotidase (CD73)やnetrinG2など一部のものはエタノールアミンリン酸を介して第2マンノースに結合していることがわかった<ref name=Ishida2022><pubmed>35603428</pubmed></ref> ('''図1''')。


== 生合成 ==
== 生合成 ==

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